第4話-②

文字数 542文字

・・・・・・朝が来た。

目が覚めると、真女子、まろやの姿はなかった。

誰もいなかった。

私は寝間を出て、離れにいる庄司殿のもとへ飛び込んだ。

このままでは、お嬢様の命が危うい。

物の怪に憑りつかれてしまったんです!

婿殿、まぁ落ち着いて。

まずは白湯(さゆ)でも召し上がられよ。

私は、これまでの経緯(いきさつ)を洗いざらいすべて、

庄司殿に伝えた。

にわかには信じられませぬな。
夢ではありませぬ。

みな(うつつ)の出来事にございます。

しかし婿殿がそうまで申されるなら、妻にも話をし、

思案してみるとしましょう。

このまましばし待たれよ。

幸い、庄司殿の奥方は怪異にくわしいところがあった。

それならちょうどよい。

今、都の鞍馬寺より霊験あらたかな法師様が来ておられます。

向かいの山寺に泊っておられます。

流行り病に物の怪、蝗害いなむしなどみなよう払うてくださるとか。

私は藁にもすがる思いで、法師のもとを急ぎ訪ねた。

お願いします。法師様、何卒私を救ってください。

お願いします。

私はいくらか包んで、繰り返し頭を下げた。

おまえさん、ご安心なさい。

そのような魔物を取り押さえるなど、わしにかかればたやすいこと。

大船に乗った気持ちでいなさい。

法師は満面に笑みをたくわえ、カカカと笑うので、

私はようやく人心地ひとごこちついた。

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登場人物紹介

豊雄(とよお)

真女子(まなご)

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