娘の音

文字数 420文字

空気の振動 音 ぼくの人よりも小さな
脳を揺らして 動かして
こめか

まだたったの十年ぐらいしか
動いていない心臓の ちから
強さに 音に
圧倒されて 母も 父も
ぼくはぼくとして誰だったのかをようやく思
 い出せそうで
気のせいなんかじゃ なくて
体育館の 白い線の 向こう側
 音 ずっと
音が
 なっている
   頭と 心臓
      骨
         きしんでいく
            悲しみ
               許せ
                  父の
               いない
              お前の
           音
       音符
こすり合わせる手のひらを見つめる
 ひび割れた祖父の
祖母の
 少ない慰謝料 「
感慨 」
 鳴り響く マーチ 行進する
(過去
 未来)が光り輝いて 光
  二の足 三の

きみの小さな
 心臓の
    音
     まだ
       まだ
          響け
               。
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