第4話 バルトス
文字数 1,906文字
「ぐっ、ぐぐぐ……うぐぐっ……
ここは、一体……」
「気付いたか、エヴァン君」
頭には白い包帯を巻き、病衣を着ているエヴァン。
どうやらここはカルベロッカの同盟国である国のバルトス将軍の敷地内の地下の病室であり、エヴァンは意識を失っている間ここに連れ込まれたのだ。
バルトス将軍はエヴァンより年が一つ上。そして軍人でこの国の総指揮官であり、頭も良く、特にまだ若いのに決断力に長ける。
エヴァンが近頃世界各国が集まる首脳会議に出席せず不信を抱き何事だろうと思っていた矢先、この時バルトス将軍はカルベロッカに密かに使者を送った。
が、その者達はカルベロッカで行方不明になり、
(おそらく吸血鬼化したカルベロッカの住人が襲いかかり餌か、吸血鬼の仲間入りになったのだろうか)バルトス将軍はこの時思いきって自分の国から兵を出し、音信不通になってるカルベロッカにそのまま乗り込んだ。
そしてその中の一人の兵士が城の中で仮面を被った魔族がいるとの情報が入り、人が皆、吸血鬼化しているのはこいつが原因だろうと睨み、そのままその魔族を連れ出し生け捕りにしようとした。
が、ハーバーはいなかった。
人間達がこの国に乗り込んだのに気づき先に姿を消したのだろう。
城はもぬけの殻となり、 王室には誰もいないガランとした薄暗い静かな部屋と化していた。
エヴァンはその経緯の話を聞いてバルトスに向かって、
「……そうか、奴(ハーバー)はすでにいなくなっていたか……。
私はレオに城から外に連れていかれて……
……っ、そうだ!
レオは、私の弟子はどこにいるんです?
確か城から抜け町の中に入った時から意識がとぎれ始め……
彼は一体どこに……?」
その話を聞いたバルトスはスッとレオのいる所に連れていった。
それは長く暗い地下施設の本館から離れた場所。
レオはエヴァンとは違って凶暴化していて手に負えない事。
エヴァンも吸血鬼化した国民もそうだが、捕らえた時にはある術式がバルトス達によって体の中に刻まれている。
それは凶暴性を押さえる術式。
直接魔力で放ってる相手から信号を遮断し、無理矢理その魔力を押え、封印術に属するこの国特製の術だった。
だが、意識を完全に回復したのはエヴァンだけだった。
エヴァンは一度レオと戦った時、ミシェランのトラウマの記憶で一度自身の自我を取り戻している。
どうやら、ハーバーのこの吸血鬼化にする能力も大きなトラウマの記憶が突発的に甦れば理性を取り戻す事が可能みたいで、自分を取り戻し自我を保つ事が出来るみたいだ。
だが、バルトスはエヴァンに向かって続きを言う。
「君(エヴァン)の場合、直接吸血鬼の主に噛まれ吸血鬼化した。
極めて悪質な毒で、今は凶暴化を抑えているが、たちまちその術式の効力も失せ、奴(ハーバー)の支配下に陥ってしまう。
何せ直接だからな。
しかも術者の能力の魔力も高く極めて厄介な呪いだ。
時間が経過をすればたちまち効力も無効になり、人に襲いかかり吸血鬼化するだろう。
だからその前に人間に戻る方法を探さなくては……
……、さあ、着いたぞ。
君の……ここにいる弟子が今の姿のレオだ」
「ぐがああぁあ!!」
ガチャン、ガチャン、ガチャン!
レオは両手を鎖に繋がれ、暴れるその反動で手首から血を流し喚いていた。
驚愕な姿のレオを見て絶句するエヴァン。
そして叫び喚いているレオの姿を見てレオに対してエヴァンは、
「……そんな、ごめん、レオ……
君は私を助けにきて一緒に逃げたのにこんな事になるなんて……
許してくれ、レオ……
私は、私はどうしたらいい、バルトス将軍。
レオや、そして他の皆が元に戻れるには一体私は何をすればいい……
教えてくれ、バルトス将軍」
それを聞いたバルトスは、下を向きレオの前で俯いているエヴァンに向かってこう言った。それは、
「術者を倒すか、それかこれだけ強い魔族だ。
何か昔の文献を調べれば出てくるはず……
だが、君のタイムリミットも早い……
もって後何日間だ。
君が我々人間の敵になるなら、その時はわかるな。
だが全力を遣わそう。
君を失いたくない……
さあ、今は何をしても今夜は遅い。
体をゆっくり休めてまた眠るがいい、エヴァン君」
そうバルトスがエヴァンに言うと、バルトスはエヴァンの元を離れた。
二人っきりになったエヴァンとレオ。
エヴァンは暗い牢屋で手首を繋がれているレオを見てただただ彼に謝り、涙を流し下を向いているしかなかった。
ここは、一体……」
「気付いたか、エヴァン君」
頭には白い包帯を巻き、病衣を着ているエヴァン。
どうやらここはカルベロッカの同盟国である国のバルトス将軍の敷地内の地下の病室であり、エヴァンは意識を失っている間ここに連れ込まれたのだ。
バルトス将軍はエヴァンより年が一つ上。そして軍人でこの国の総指揮官であり、頭も良く、特にまだ若いのに決断力に長ける。
エヴァンが近頃世界各国が集まる首脳会議に出席せず不信を抱き何事だろうと思っていた矢先、この時バルトス将軍はカルベロッカに密かに使者を送った。
が、その者達はカルベロッカで行方不明になり、
(おそらく吸血鬼化したカルベロッカの住人が襲いかかり餌か、吸血鬼の仲間入りになったのだろうか)バルトス将軍はこの時思いきって自分の国から兵を出し、音信不通になってるカルベロッカにそのまま乗り込んだ。
そしてその中の一人の兵士が城の中で仮面を被った魔族がいるとの情報が入り、人が皆、吸血鬼化しているのはこいつが原因だろうと睨み、そのままその魔族を連れ出し生け捕りにしようとした。
が、ハーバーはいなかった。
人間達がこの国に乗り込んだのに気づき先に姿を消したのだろう。
城はもぬけの殻となり、 王室には誰もいないガランとした薄暗い静かな部屋と化していた。
エヴァンはその経緯の話を聞いてバルトスに向かって、
「……そうか、奴(ハーバー)はすでにいなくなっていたか……。
私はレオに城から外に連れていかれて……
……っ、そうだ!
レオは、私の弟子はどこにいるんです?
確か城から抜け町の中に入った時から意識がとぎれ始め……
彼は一体どこに……?」
その話を聞いたバルトスはスッとレオのいる所に連れていった。
それは長く暗い地下施設の本館から離れた場所。
レオはエヴァンとは違って凶暴化していて手に負えない事。
エヴァンも吸血鬼化した国民もそうだが、捕らえた時にはある術式がバルトス達によって体の中に刻まれている。
それは凶暴性を押さえる術式。
直接魔力で放ってる相手から信号を遮断し、無理矢理その魔力を押え、封印術に属するこの国特製の術だった。
だが、意識を完全に回復したのはエヴァンだけだった。
エヴァンは一度レオと戦った時、ミシェランのトラウマの記憶で一度自身の自我を取り戻している。
どうやら、ハーバーのこの吸血鬼化にする能力も大きなトラウマの記憶が突発的に甦れば理性を取り戻す事が可能みたいで、自分を取り戻し自我を保つ事が出来るみたいだ。
だが、バルトスはエヴァンに向かって続きを言う。
「君(エヴァン)の場合、直接吸血鬼の主に噛まれ吸血鬼化した。
極めて悪質な毒で、今は凶暴化を抑えているが、たちまちその術式の効力も失せ、奴(ハーバー)の支配下に陥ってしまう。
何せ直接だからな。
しかも術者の能力の魔力も高く極めて厄介な呪いだ。
時間が経過をすればたちまち効力も無効になり、人に襲いかかり吸血鬼化するだろう。
だからその前に人間に戻る方法を探さなくては……
……、さあ、着いたぞ。
君の……ここにいる弟子が今の姿のレオだ」
「ぐがああぁあ!!」
ガチャン、ガチャン、ガチャン!
レオは両手を鎖に繋がれ、暴れるその反動で手首から血を流し喚いていた。
驚愕な姿のレオを見て絶句するエヴァン。
そして叫び喚いているレオの姿を見てレオに対してエヴァンは、
「……そんな、ごめん、レオ……
君は私を助けにきて一緒に逃げたのにこんな事になるなんて……
許してくれ、レオ……
私は、私はどうしたらいい、バルトス将軍。
レオや、そして他の皆が元に戻れるには一体私は何をすればいい……
教えてくれ、バルトス将軍」
それを聞いたバルトスは、下を向きレオの前で俯いているエヴァンに向かってこう言った。それは、
「術者を倒すか、それかこれだけ強い魔族だ。
何か昔の文献を調べれば出てくるはず……
だが、君のタイムリミットも早い……
もって後何日間だ。
君が我々人間の敵になるなら、その時はわかるな。
だが全力を遣わそう。
君を失いたくない……
さあ、今は何をしても今夜は遅い。
体をゆっくり休めてまた眠るがいい、エヴァン君」
そうバルトスがエヴァンに言うと、バルトスはエヴァンの元を離れた。
二人っきりになったエヴァンとレオ。
エヴァンは暗い牢屋で手首を繋がれているレオを見てただただ彼に謝り、涙を流し下を向いているしかなかった。