第5話

文字数 1,734文字

 将棋思考法

 将棋思考法を私は三十年くらいまとめて来た。公式化し言語化して、最善手を短時間で選ぶことを目的としている。
 将棋は頭脳のF1だ。将棋が分かれば頭の良さについて分かるのではないか? そういう仮説で将棋に取り組んだ。だが、将棋のように複雑で多岐にわたるものを理解するには、情熱がいるのだ。努力できることが才能ならば、その原動力は面白がることだ。将棋自体の魅力、創造性、ひらめき、論理性、決断力…努力できると成長できること。魅力が努力を生み、努力が才能を伸ばすのだ。三十年続けることができたのは将棋に魅力があるからだ。
 将棋は技術の発展とともにある。棋譜はパソコンで整理された。ネット時代では、「誰でも情報にたどり着けるので高速道路で一気に強くなり、その先に渋滞が起こる」という比ゆが広がった。渋滞を抜け出すには研究とか才能とか努力がいる。また、人工知能と人間の対決が話題になった。将棋界の流れについて行ったら技術の流れについて行くことになった。
 人工知能との対局の経験は私の将棋思考法にも活かされた。
 2018年、私は10回目の日本将棋連盟支部対抗戦東地区大会団体戦浜松支部代表となった。団体戦は、ベスト4になると四段の免状とともに次回以降の出場ができなくなる。私が代表を漏れた時に浜松支部は準優勝だった。私は代表を漏れたおかげで10回出場できることになった。
 私の親戚の高見泰地七段は、少年時代、私のところへ対局に来ていた。その頃、私はプロを倒す中学生チャンピオンの伊藤大悟君を浜松の大会で破って優勝していた。プロ棋士に飛車を落としてもらって勝ったとのことで、私が飛車落ちでやったらまだまだ勝てた。彼には「頭脳を鍛える名言集」https://novel.daysneo.com/sp/works/11eb993ea6185eb7c958cea8d6bb8018.html
としてまとめたものを渡した。堀口当時四段の「将棋が強くなる本」の答えでもある。そして、3冊の本を渡した。大山康晴十五世名人の『勝負のこころ』だ。『勝負のこころ』は奨励会員の必読書だ。この本には、私と堀口七段と中学、高校、大学で日本一となった伊藤大悟君の指紋がある。 鈴木鎮一の『愛に生きる』「"勘"とは、合理的な経験を土台に瞬間的に働く確実性でした。訓練なくしてその"勘"は育たない」という文言が印象的だ。黒川康正の『資格三冠王の大学受験合格作戦』は、効率性とか合理的思考についての本だ。テレビで「将棋は効率だ」と高見七段が言ったのはこの本の影響かもしれない。
 私は将棋思考法を彼には渡した。プロで通用するのかは全くわからないが1%くらいの足しにはなったのではないか? もちろん、プロで活躍できたのは勝又教授他石田門下の力、若手同士の切磋琢磨が大きい。
将棋思考法2020|村木多津男 @humourmuraki https://note.com/murakitatsuo/n/n98d60dfc5c63
 この思考法の威力を試すのに東日本大会団体戦に挑んだ。そして、叡王戦は私の親戚の高見泰地六段と金井恒太六段で争うことになった。
 東地区大会の前夜祭の時に叡王戦の前夜祭があり、私の祝辞が読まれたと参加者から連絡があった。ホテルの部屋で団体戦メンバー3人でその様子を視聴した。浜松でもなく叡王戦の行われる名古屋でもなく東京で視聴するのは不思議な感慨があった。これまでのあらましと最後に「これからのお二人の活躍をお祈りします」というのが読まれた。
 私はコンピュータソフトに勝ったら100万円の電王戦で食らったくるくる角に苦しめられた。大変優秀な作戦だ。東地区大会団体戦の結果は3位だった。浜松支部(村木多津男・相曾 剛史・神谷 友暁)。相曾君は浜松支部道場を運営している。神谷君は当時静岡大学の学生だった。名城大学の学生王座の優勝メンバーで準学生名人の大村和隆君にも勝っている。
 私たちは日本将棋連盟の四段の免状を授かった。
2018年 日本将棋連盟支部対抗戦東地区大会
https://www.shogi.or.jp/event/2018/04/4725.html
 叡王戦は高見叡王に決まった。

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