ドクター・オフィスラブ

文字数 1,497文字

ドクター・オフィスラブ。準備ができました。
うむ
そう、私はドクター・オフィスラブ。
人は皆、私の事をそう呼ぶわけがない。
マリカくん、なんだね? そのオフィス……?
ドクター・オフィスラブ。
そう、それだ。私は、そんな名前ではなかったと思うのだが。
あら、でも先ほど、うむ!とおっしゃいましたわ。
それは頷いたのではないのだ。
うむ? と首を捻る感じのつもりだったのだが、伝わらなかったようだな。
……私はインフォームドコンセント(正しい情報伝達の上での合意)という奴がどうも苦手だ。
自宅でも配線が下手で、ともすればタコ足だらけのぐちゃぐちゃになってしまう。スーファミのコンセントなのか、プレステのアダプタなのか、あるいはニンテンドー64だったか、Wiiだったかと、いつも抜くときにビクビクする羽目になる。
下手に抜くとやってる最中のゲームが切断されてしまうからな。
だから、私はいつもセーブしてからコンセントを抜くようにしている。
それはさておき、だ。
マリカくん。いったいなぜ、唐突に私の事をオフィスラブなどと?
うふ、それは、昨日本で読みましたの。
オフィスラブものの素敵な小説でしたわ。
なるほど。
彼女のうっとりした顔つきで合点がいった。
小日向マリカくんは優秀なナースだが、どうもロマンチストすぎるきらいがある。そして影響を受けやすい。いつものことであったか。
まあ、熱しやすく冷めやすいタイプなので、そのうち飽きて元の呼び名に戻るだろう。
先生はお医者様ですもの。ですから、ドクターをつけて、ドクター・オフィスラブとお呼びしようかと。
なるほど。
医者というよりは、職場恋愛のトラブルシューターのようなイメージだが、それはそれでカッコいい気もする。
素敵ですのよ……オフィスラブ。
それは私の事か、それともオフィスラブのことか。
まあ、彼女はナースで私は医者で、しかも男性なのだから、二人が恋に落ちればオフィスラブと言っても差し支えなかろう。
ドクター・オフィスラブとオフィスラブか。
ならばキミは差し詰めラブナースといったところかな。
まあ、先生ったら!
実際、彼女とは毎晩ウチでマリオカ〇トをする仲だ。
私のルイ〇ジと彼女のピ〇チ姫が抜きつ抜かれつ大ハッスルという奴だ。
あながち間違ってはいない。
……しかし、だ。
オフィスというのは「事務室」のことではないのかな?
そうですわね。
ここは「オペ室」なのだから、ラブは控え目にな。
でないとオペルーム・ラブになってしまう。
きゃうーん!
発情した猫のようにきゅんと肩をすくませたマリカがぷりんっとお尻を向けて手術道具を棚から降ろし始める。
ねえ、センセ。先生の年収って一千万超えているんでしょう?
そんなことを尋ねながらも手を止めない所はさすが優秀だ。
うむ。
今度こそ、私は頷いた。
超えてはいるが、クランケの前でそういう話は控えるように。
……。
いいじゃありませんか。どうせ麻酔がかかっているんですもの。
……局部麻酔がね。
ほらね!
愛くるしくニッと微笑むマリカ。
白衣の天使とは彼女のためにあるような言葉だ。
キミは「局部」の意味をわかっているのかね。
やだ……そんなの知ってるに決まってるじゃないですか、だって毎晩センセがはふぅ
そう言ってマリカが私の局部に取りつく。
しまった、スイッチが入ってしまったか。
こうなると私には止められない。
何故なら、すでに手を洗ってしまったので、術野に触れるまでは両手を降ろせないからだ。
優秀なナースであるマリカのことだ、そんなことも計算の内だろう。
手を降ろせないでいる私のズボンを、慣れた手際でスルスルと降ろしていく。
ドクター・オフィスラブは抵抗できぬまま、なされるがまま……。
……。
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登場人物紹介

ドクター・オフィスラブ。



小日向マリカ。



クッパ。



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