学園側の追手(2)
文字数 1,395文字
三時間程度の睡眠を交代でとり、朝になるともう、館は学園側・学園連合の追っ手に取り囲まれていた。
代表らしき人物が、拡声器で呼ばわる。
代表らしき人物が、拡声器で呼ばわる。
館に立て篭もる、雲の間に学園の女生徒諸君。聞きなさい。
草里楓は、罪人である。我々学連の今回の任務は、この罪人を捕えその罪を暴き正しく裁くこと。
いいか! よく聞くのだ。罪人は草里 楓のみである。他の者には一切の罪はなし。速やかに、投降しなさい。館に留まれば、罪人・草里楓を匿った罪に問われる可能性がある。草里楓は我々が責任を以て捕える。余計なことはせずともよい。他の者はできる限り速やかに、投降のみしなさい!
草里楓は、罪人である。我々学連の今回の任務は、この罪人を捕えその罪を暴き正しく裁くこと。
いいか! よく聞くのだ。罪人は草里 楓のみである。他の者には一切の罪はなし。速やかに、投降しなさい。館に留まれば、罪人・草里楓を匿った罪に問われる可能性がある。草里楓は我々が責任を以て捕える。余計なことはせずともよい。他の者はできる限り速やかに、投降のみしなさい!
罪人は、草里楓だけ。
草里はやはり一つの苦々しい表情も見せずに、動揺もない。動揺するのは、周囲の女生徒らだ。
草里についてきた。結果、昨夜までに六人が死んだ。それは事実だった。無論この世界に住まうわたしたちにとって死との距離は近い。それでも、わたしたちが死の覚悟をもって、実際に犠牲を伴って行ったこの行為。
草里楓には、この包囲網を突破してひとり生き延びるだけの力はあるだろう。
皆、草里を信じ、慕い、ついてきた。草里にしっかりした計画がなかったのなら、皆は失望し、無駄死にになった級友らの無念を代わって恨むだろうか。草里は彼女らを連れてくる必要はあったのだろうか。自分が生き延びるための手駒、あるいは地下組織に売り込むための兵の数増しでしかないと、草里が思っているってことはあるだろうか。
パレード潰しをもっと早くに成功させていれば、地下組織の方から接触があったのかもしれなかったろうか。
草里はやはり一つの苦々しい表情も見せずに、動揺もない。動揺するのは、周囲の女生徒らだ。
草里についてきた。結果、昨夜までに六人が死んだ。それは事実だった。無論この世界に住まうわたしたちにとって死との距離は近い。それでも、わたしたちが死の覚悟をもって、実際に犠牲を伴って行ったこの行為。
草里楓には、この包囲網を突破してひとり生き延びるだけの力はあるだろう。
皆、草里を信じ、慕い、ついてきた。草里にしっかりした計画がなかったのなら、皆は失望し、無駄死にになった級友らの無念を代わって恨むだろうか。草里は彼女らを連れてくる必要はあったのだろうか。自分が生き延びるための手駒、あるいは地下組織に売り込むための兵の数増しでしかないと、草里が思っているってことはあるだろうか。
パレード潰しをもっと早くに成功させていれば、地下組織の方から接触があったのかもしれなかったろうか。
また、学連の呼びかけが再開される。
郡さんが草里に代わって、喝を入れるように指示を回す。
郡さんは、引っ張り出されてきた入間 薫を引きずって、窓を開けた。ギュウギュウに縛られ真っ赤な顔できいきい言ってる。今こうして見ると少し不憫かも……。
入間の姿を見ると、学連側はにわかにざわつき、協議を始めたようだった。
程なく、拡声器でさきとは別の男が呼ばわる。
程なく、拡声器でさきとは別の男が呼ばわる。
オ、オイ! 今すぐ愛しの我が娘を放せっ。許さんぞっ。きーっ!
それを聞いて入間がパパーっと叫ぶ。入間の父、か。
郡さんが目を細め、入間を見据える。
郡さんは無視して、
どうする? と問う目で、草里を見る。
香鳥さん、蟻江さんもひっしと草里を見る。他の皆も、草里を見る。彼女らの目からは、草里にすがる思いが感じてとれる。彼女らはまだ、草里を信じているのだ。草里……わたしも、草里を。だけど。
草里は、皆の見守るなか、無言のまま、入間の元自室へと引き下がっていった。
自由にしろ。という意味か。打つ手はないの。
さすがの草里も、さっきの学連の演説や今の状況が、堪えているのかしら。草里が、こんなつらい状況なんて今まであったかな。このままでは皆、心が離れてしまう?
さすがの草里も、さっきの学連の演説や今の状況が、堪えているのかしら。草里が、こんなつらい状況なんて今まであったかな。このままでは皆、心が離れてしまう?