第五話 「ベヒモス狩り」03

文字数 1,269文字

 ある日の夕刻、レイキュアがいつもながらの派手な姿でランツィアの事務所に顔を出す。

2017/12/03 12:20
「ちょっと出ない?」
2017/12/03 12:20
「ああ、俺はもう上がる。後は頼んだぞ」
2017/12/03 12:20
「はい」
2017/12/03 12:20
「それからこれ、このあいだのレアクリスタルの売り上げ」
2017/12/03 12:21
 レイキュアがギルドの小切手が入った封筒を差し出した。
2017/12/03 12:21
「半分でこんなになったんですか?」
2017/12/03 12:21
 小切手の金額を見てアルバーが驚く。中身は二分割した金額だ。
2017/12/03 12:22
「ええ、ついてたわ。上客に売れたのよ」
2017/12/03 12:22
 シュンはアルバーたちに任せて事務所を出る。
 二人でいつものバーに入りカウンター席に座った。
 今日はビールと食事も注文する。
2017/12/03 12:22
「最強から落ちちゃったのか。残念だったわね」
2017/12/03 12:22
 二人で大盛りの一皿からフォークでパスタを絡めとる。
2017/12/03 12:23
「構わないよ、そのうちまたチャンスが来るさ」
2017/12/03 12:23
「ウチの隊員に聞いたのよ。チーム・ディボガルドは凄いわね」
2017/12/03 12:24
「ああ、あんなのがデス・キャニオンに行けばいいのさ」
2017/12/03 12:30
「これ……」
2017/12/03 12:30
 レイキュアが内ポケットから紙片を取り出して広げた。
 それはデス・キャニオン見取り図だった。
2017/12/03 12:30
「やる気満々だなあ……」
2017/12/03 12:31
「ええ、見て。街に近い南付近の出入り口を何カ所か封鎖するの」
2017/12/03 12:31
「うん……、北から侵入するのか。妥当だな」
2017/12/03 12:32
 それにしても、まだ発表もされていないクエストなのに、随分とレイキュアは詳しい。
2017/12/03 12:32
「チームを分けてもいいのよ。トップランカーが中に入って、他を封鎖部隊に志願させてもいいの」
2017/12/03 12:33
「う~ん……」
2017/12/03 12:37
 チームを分けるのはどうかとシュンは思ったが、現実的に分けるのは仕方がなかった。
 二つのチーム全員で集団行動などはできない。
2017/12/03 12:38
「ここがポイントね」
2017/12/03 12:38
 レイキュアが指さした場所は渓谷が交差して広くなっている。
2017/12/03 12:38
「ポイント?」
2017/12/03 12:38
「台地に観覧席を作ってここで戦うのよ。こんな場所がいくつかあるの」
2017/12/03 12:39
「なるほどねえ……」
2017/12/03 12:39
 レイキュアのネタ元はどうやら企業のようだった。
 ただこれだけ大仕掛けの理由が戦闘の観覧では納得できない。
 報酬にしても準備にしても金がかかりすぎる。何か他に意図があるように思えた
2017/12/03 12:39
「誰に聞いたんだ?」
2017/12/03 12:40
「内緒よ」
2017/12/03 12:40
「企業関係だろ?」
2017/12/03 12:41
「まあね」
2017/12/03 12:41
 レイキュアはそう言って笑う。
 ジェンヌも父親が有力企業の人間だから、その辺からも情報を得ているのだろう。
 チーム・ディボガルドが何かをやるための仕掛けなのか? シュンは一瞬そう思った。
 ディボガルドが全力で行くとの、ジェンヌ言葉を思い出す。
2017/12/03 12:41
「ねえ、出る気になった?」
2017/12/03 12:42
「そうだな、封鎖に参加させるだけでも金になるなら、どのチームも助かるだろう。稼げないチーム、特に金のないところはな。ウチも出すよ」
2017/12/03 12:42
「もう! 中に入って戦う方よ!」
2017/12/03 12:42
「やってみるか……、お前の所でカノーアの次は誰になるんだ?」
2017/12/03 12:43
「そうねえ……、ヒュミユとクーリアね」
2017/12/03 12:43
「二人か……」
2017/12/03 12:43
 シュンは顔を思い出した。先日の合同訓練の時、前列の中心にいた二人だ。
 力がどの程度か後でブレイソンに実力を確認してみようと思った。
2017/12/03 12:44
「そうだなあ……、その二人にブレイソンを付けるよ、封鎖部隊の指揮を取ってもらおうか」
2017/12/03 12:44
「分かったわ」
2017/12/03 12:45
「俺とアルバー、そしてお前とカノーアで中に入ろう」
2017/12/03 12:46
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登場人物紹介

シュン/主人公の若者。チーム・ランツィアのリーダー。北城塞グロッセナでランキングトップ、最強の称号を手に入れた。

マヤ/シュンの恋人。同じ孤児院で幼い頃からシュンと共に過ごしていた。

アルバー/ランツィアのサブリーダー。商家の出で戦うが経理、総務的な仕事もこなす。

ブレイソン/ランツィアのサブリーダー。天才肌、軍人の家系に反発して家を出た。スキルと強さを求めている。

レイキュア/チーム・スカーレッドの隊長。女ばかりのチームを率いる女傑。シュンが街に来た頃からの知り合い。

カノーア/スカーレッドの副隊長。雷撃の才能がある。涙もろい。

ジェンヌ/チーム・バウザーナでリーダー格の将軍を自称。父親は大企業の経営者。最強称号への執念を見せる。シュンをライバル視しているが……。

リスティ/子供ばかりの四人でチームを作っている。

セバスティ/チーム・エスプロジオーネの頭(ヘッド)。

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