第44話麻友の制裁③

文字数 1,122文字

三人の少女との交情を激しめに終え、芳樹は一人で、ベランダに出た。
4月初旬の夜で、肌寒い。
火照った身体が、あっという間に冷めてくる。
少女たちが眠る部屋には、すぐには戻りたくなかった。
一人静かに、芳樹自身の考えをまとめたいと思ったのである。

「確かに、東都物産も、俺にマウントを取った陽平も気に入らねえ」
「今でも吐きたいほど、銚子の倉庫は酷かった」
「この俺に、そんなことをした東都物産をぶっ壊したいほど、気に入らねえ」
「それは、うそ偽りない」

「少女三人組は、偶然というか、モノのハズミだ」
「でも、浩二さんと亜里沙姉さんは、格が違う」
「裏切れない、その方が怖い」

桜の葉が舞って、芳樹の頬についた。
「野球漬けの俺に風流はない」
芳樹は、桜の葉を頬から取って、捨てた。

「でもなあ・・・望月昇・・・」
「あそこまでするのが、極道か」
「指を切り取って、ブツを切らせ、犬に食わせた」
芳樹は、背中まで寒くなった。
人殺しやら爆破やら、デカいことを口にするが、実際は惨たらしくて、恐ろしくなって来た。

「デッドボールは、威嚇のためだ」
「意識して当てるのも戦略、全員に当てるわけではない」
「もともとが、内角を攻めて、外角で打ち取るための布石だ」

芳樹の頭が混乱した。(不安も強くなった)
「もう、極道の世界に入っちまったのか」
「確かに会社勤めは、していない」
「今さら、清廉潔白でもない」
「ガキ女三人と浩二さんと亜里沙姉さん、由紀のオヤジさんの組とチームを組んで生きるしかないのか」
「下手に抜けたら、俺どころか、高知の田舎の親も・・・」

麻友が起きて、ベランダに出て来た。
ゆさゆさと揺れる胸を芳樹の背中につけた。
「ねえ・・・風邪ひくよ」
「やだよ、芳樹の風邪なんて」
そのまま、芳樹を後ろから抱いた。

「そうだな、麻友」
芳樹は、麻友の腕を解き、唇を吸った。
唇の中で、麻友を犯した。
(清水亜里沙に習った技術を駆使した)

麻友の身体が途端に、揺れた。
腰が抜けたように、フラフラしている。

「仕方ない」
芳樹は麻友を抱いたまま、部屋に戻った。
由紀と夏子を起こさないように、静かに求め合った。

「起きたら、アキバに行く?」
「あ・・・いいよ、俺、行ったことない」
「マジ?芳樹って天然記念物?」
「そこまででも」
「私、芳樹好きだよ、そういうとこ、骨っぽくて」
「俺、我がままで超自己中だぞ」
「そう?最近違うよ、チームリーダーみたい」
「ほめても、もうできないぞ」
「回復を待たねば?(笑)」
「麻友は、最近スケベだ」
「だって、芳樹美味しいもの」
「俺は食い物か?」
「うん、ベッドの中では」

夏子と由紀が目を覚ましたようだ。(実は起きていたらしいが)
麻友に目配せをして、芳樹の両サイドに寝た。

結局、「夜通し」になってしまった。
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