第4話 縁談結果
文字数 2,317文字
その後もリラックスしながら、趣味の話などをして過ごした。
気がつけば1時間ほど過ぎていたのでお見合いの席に戻り、解散となった。
別れ際、自然に目が合ったのでアイコンタクトで「ありがとう」と伝えた。
すると、ニッコリしてお辞儀をして去っていった。
*
その後は袴をレンタルに返し、自宅に戻った。
母からは、
「2人にしたら、直ぐに戻って来ちゃうかもって思っていたけど、1時間以上も一緒にいたのね。気が合ったのじゃないの?」
と言われた。
確かに、お見合いの席での彼女はとてもお嬢様だったが、2人の時に彼女は自然でとても親しみやすかった。
それに、最初に見合いの部屋に入ってきた、毅然としてしっかりとした感じが非常に印象的だった。
『お嬢様ではあるけど弱々しくなく、しっかりと自分をお持ちなんだな』
『ちゃんとした大人の女性だ』
と尊敬に値すると思えた。
会うまでは、釣り合いの取れない縁談話だと感じていたが、見合いの後は印象がまったく変わっていた。
『釣り合うとかではないな。こういうのは縁だ』
と強く思えた。
*
その夜、夜食にお風呂も入り、あとは寝るだけとなったので、恒例のイメージングを試してみた。
結婚前提に付き合いだしデートを繰り返す……
そして結婚……
しばらくの間、2人で暮らす……
まず男の子が生まれる……
次に、女の子が生まれる……
子供たちが、どんどん成長していく……
やがて子も恋愛し、結婚して家から去っていく……
また、2人での暮らしに戻って過ごす……
孫ができ、息子と娘が連れてきて楽しいひと時を過ごす……
やがて年老いていき、この世を去るときがくる……
お婆ちゃんになった彼女の姿が隣に映る……
そして、最後にはイリスの微笑みながら頷く様子が浮かんできた。
『!!』
初めてイメージできた。
自分でも驚くほど、しっくりしていた。
『これが、母が言っていたことなんだな』
と体感できたのだ。
そう思ったら、もう心は決まっていた。
*
リビングに行き、寝ていた両親を起こして早速伝えた。
「彼女と結婚を前提に話を進めたい。明日、そのように専務に報告する」
と……
両親は大喜びだった。
母なんか、どこにしまってあったのかクラッカーでパーーーンとお祝いしてくれた。
「いや。そりゃ2人にしたら、1時間以上も戻ってこなかったらからな。これは! っと思ったぞ」
「お母さんもね。あの子、すっごく気に入っちゃったのよ。バンザーーーイ!」
とはしゃいでいた。
「いやさ。こちらはそうでも、先方の意思次第なんだから、まだ早すぎるよ」
と自分の自制させると共に、両親に伝えた。
*
翌日になって、専務に電話をし
「恵さんと結婚を前提に話を進めたい」
と意向を伝えた。
「よし! 分かった。先方にそう伝えるな」
と嬉しそうに言ってくれた。
『あとは彼女次第か。まぁ、少なくとも1週間以上は答えがでないだろうな』
とたかをくくっていた。
が、夕方に専務から電話があった。
正直、驚いた。
『早すぎる! まぁ、一応お見合いをして、義理は立てたからなんだろう』
と電話に出た。
「おぉ! 白藤か」
「喜べ。彼女も同意見だそうだ」
「エェェ!」
と思わず声が出た。
「なんかなー、言付けがあったぞ」
「“あのイメージをやってみましたよ”だそうだ。なんだ、そのイメージというのは?」
『!!』
「そうですか。いえ、2人の時に話したことですよ。そっかーーー。彼女も同じだったのか」
そう呟いた。
「じゃ、そういうことで両家納得の上、お付き合い決定だな。彼女の携帯番号を伝えるぞ」
と言ってくれたので、早速メモを取りお礼を述べて電話を切った。
*
その件を両親に伝えると、昨日以上にハイテンションで喜んでくれた。
その両親の喜びも見て、
『まるでプロポーズにOKを貰ったあとのようだな』
と思った。
「お父さん、お母さん、ありがとう」
「やっと、自分で納得できる相手に巡り合えた気がするよ」
と感謝と共に伝えた。
*
どうも、落ち着かない。
『携帯番号を聞いたは良いが、いつ電話したらいいんだ?』
『直ぐって……なんかがっついているように思える……かと言って、今日電話しないのも失礼な気がする』
と珍しく優柔不断に陥った。
こんな思いがぐるぐると反芻していた。
『もう、えーーーいだ。電話せずに後悔するなら、がっついていると思われてもいいから電話をしよう!』
と決断した。
緊張しながら、携帯の番号を押す。
「プルル。プルル」
と鳴る。
心臓が、もうバクバクだ。
すると、直ぐに電話に出て
「はい。恵でございます。勇輝さん! お電話遅いですよ」
を口一番に言われてしまった。
「……それは、失礼しました」
「交際をお受けくださるとは、正直思っていなかったですし、こんなに早い連絡だったので、やはりお断りされた思ったくらいです」
「ですので、電話するタイミングが分かりませんでした」
と素直に話した。
「……そうなんですか」
「私は、お見合いの席でお別れするときにアイコンタクトが取れたことで、ほぼ心は決まっていましたよ」
と、まぁしっかりとしたお答えだった。
「ご伝言をお聞きになったと思いますが、わたくしちゃんとイメージできましたのよ」
「自分も初めて、自分が死ぬところまでイメージできました」
と伝えると
「これから交際を始めようとしているのに、自分が死ぬところまでイメージできたって言うのもおかしな話ですね」
と言ってお互い笑いあった。
「恵さん。自分と結婚を前提にお付き合いください。よろしくお願いします」
とハッキリ伝えた。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
としっかりとした意思を感じる返答が耳の奥まで響いた。
気がつけば1時間ほど過ぎていたのでお見合いの席に戻り、解散となった。
別れ際、自然に目が合ったのでアイコンタクトで「ありがとう」と伝えた。
すると、ニッコリしてお辞儀をして去っていった。
*
その後は袴をレンタルに返し、自宅に戻った。
母からは、
「2人にしたら、直ぐに戻って来ちゃうかもって思っていたけど、1時間以上も一緒にいたのね。気が合ったのじゃないの?」
と言われた。
確かに、お見合いの席での彼女はとてもお嬢様だったが、2人の時に彼女は自然でとても親しみやすかった。
それに、最初に見合いの部屋に入ってきた、毅然としてしっかりとした感じが非常に印象的だった。
『お嬢様ではあるけど弱々しくなく、しっかりと自分をお持ちなんだな』
『ちゃんとした大人の女性だ』
と尊敬に値すると思えた。
会うまでは、釣り合いの取れない縁談話だと感じていたが、見合いの後は印象がまったく変わっていた。
『釣り合うとかではないな。こういうのは縁だ』
と強く思えた。
*
その夜、夜食にお風呂も入り、あとは寝るだけとなったので、恒例のイメージングを試してみた。
結婚前提に付き合いだしデートを繰り返す……
そして結婚……
しばらくの間、2人で暮らす……
まず男の子が生まれる……
次に、女の子が生まれる……
子供たちが、どんどん成長していく……
やがて子も恋愛し、結婚して家から去っていく……
また、2人での暮らしに戻って過ごす……
孫ができ、息子と娘が連れてきて楽しいひと時を過ごす……
やがて年老いていき、この世を去るときがくる……
お婆ちゃんになった彼女の姿が隣に映る……
そして、最後にはイリスの微笑みながら頷く様子が浮かんできた。
『!!』
初めてイメージできた。
自分でも驚くほど、しっくりしていた。
『これが、母が言っていたことなんだな』
と体感できたのだ。
そう思ったら、もう心は決まっていた。
*
リビングに行き、寝ていた両親を起こして早速伝えた。
「彼女と結婚を前提に話を進めたい。明日、そのように専務に報告する」
と……
両親は大喜びだった。
母なんか、どこにしまってあったのかクラッカーでパーーーンとお祝いしてくれた。
「いや。そりゃ2人にしたら、1時間以上も戻ってこなかったらからな。これは! っと思ったぞ」
「お母さんもね。あの子、すっごく気に入っちゃったのよ。バンザーーーイ!」
とはしゃいでいた。
「いやさ。こちらはそうでも、先方の意思次第なんだから、まだ早すぎるよ」
と自分の自制させると共に、両親に伝えた。
*
翌日になって、専務に電話をし
「恵さんと結婚を前提に話を進めたい」
と意向を伝えた。
「よし! 分かった。先方にそう伝えるな」
と嬉しそうに言ってくれた。
『あとは彼女次第か。まぁ、少なくとも1週間以上は答えがでないだろうな』
とたかをくくっていた。
が、夕方に専務から電話があった。
正直、驚いた。
『早すぎる! まぁ、一応お見合いをして、義理は立てたからなんだろう』
と電話に出た。
「おぉ! 白藤か」
「喜べ。彼女も同意見だそうだ」
「エェェ!」
と思わず声が出た。
「なんかなー、言付けがあったぞ」
「“あのイメージをやってみましたよ”だそうだ。なんだ、そのイメージというのは?」
『!!』
「そうですか。いえ、2人の時に話したことですよ。そっかーーー。彼女も同じだったのか」
そう呟いた。
「じゃ、そういうことで両家納得の上、お付き合い決定だな。彼女の携帯番号を伝えるぞ」
と言ってくれたので、早速メモを取りお礼を述べて電話を切った。
*
その件を両親に伝えると、昨日以上にハイテンションで喜んでくれた。
その両親の喜びも見て、
『まるでプロポーズにOKを貰ったあとのようだな』
と思った。
「お父さん、お母さん、ありがとう」
「やっと、自分で納得できる相手に巡り合えた気がするよ」
と感謝と共に伝えた。
*
どうも、落ち着かない。
『携帯番号を聞いたは良いが、いつ電話したらいいんだ?』
『直ぐって……なんかがっついているように思える……かと言って、今日電話しないのも失礼な気がする』
と珍しく優柔不断に陥った。
こんな思いがぐるぐると反芻していた。
『もう、えーーーいだ。電話せずに後悔するなら、がっついていると思われてもいいから電話をしよう!』
と決断した。
緊張しながら、携帯の番号を押す。
「プルル。プルル」
と鳴る。
心臓が、もうバクバクだ。
すると、直ぐに電話に出て
「はい。恵でございます。勇輝さん! お電話遅いですよ」
を口一番に言われてしまった。
「……それは、失礼しました」
「交際をお受けくださるとは、正直思っていなかったですし、こんなに早い連絡だったので、やはりお断りされた思ったくらいです」
「ですので、電話するタイミングが分かりませんでした」
と素直に話した。
「……そうなんですか」
「私は、お見合いの席でお別れするときにアイコンタクトが取れたことで、ほぼ心は決まっていましたよ」
と、まぁしっかりとしたお答えだった。
「ご伝言をお聞きになったと思いますが、わたくしちゃんとイメージできましたのよ」
「自分も初めて、自分が死ぬところまでイメージできました」
と伝えると
「これから交際を始めようとしているのに、自分が死ぬところまでイメージできたって言うのもおかしな話ですね」
と言ってお互い笑いあった。
「恵さん。自分と結婚を前提にお付き合いください。よろしくお願いします」
とハッキリ伝えた。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
としっかりとした意思を感じる返答が耳の奥まで響いた。