「サリーちゃん、空気読め」

文字数 988文字

 私には、小さいころに見たアニメの『魔法使いサリー』で、いまだに印象に残っている回がある。
 そもそも、ご存知でない方に説明すると、サリーちゃんは魔法の国の王女で、人間界では小学五年生の少女(なぜ日本に来たかなどは失念)。

 その友達に、よしこちゃんとすみれちゃんという子がいるのだが、よしこちゃんは、ハッキリ言ってしまえば見た目はよくないし、おまけに貧乏。
 すみれちゃんは、見ようによっては主人公のサリーちゃんより美人で、父親は医者。控えめな性格で、勉強もできる。
 この時点で格差を感じるのだが、その格差が最大限伝わってきた回があったのだ。

 なにせもう数十年前に見たアニメなので、間違っているところも多々あると思うが、概要を書く。
 ある日、すみれちゃんの誕生日パーティーが開かれたのだが、よしこちゃんは持っていくプレゼントがない。
 仕方がないので、勉強用の新品のノートを持っていくことに。

 ほかの友達は、「私はラジカセ!」「私は万年筆!」と、時代は感じさせられるものの、当時は一流品であったであろうプレゼントを次々に渡していく。
 そこでよしこちゃんのプレゼントだ。
「これ、つまらないものなんだけど、ノートなの……」
 このよしこちゃんのプレゼントに対し、すみれちゃんはなんと、「ありがとう! ちょうどノート切らしてたのよ」と神対応。
 サリーちゃんは、「そうよよしこちゃん、気持ちよ気持ち」とフォローになってないフォローをしていた。

 ただ、私がこの回で一番印象に残っているのは、そこではない。
 肝心の、主人公のサリーちゃんがすみれちゃんに渡したプレゼントなのだ。
 なんだと思うだろうか。正解は、手編みのマフラーである。
 手編みのマフラーといえば、昔の少女漫画で、好きな人にプレゼントするというのが定番のアイテムだった。

 冷静に考えると、付き合っていたとしても重いプレゼントなのに、付き合っていない間柄では、あまりにも重すぎるプレゼントだ。
 ましてや、サリーちゃんとすみれちゃんは、お互いのことを恋愛対象として見ている描写はいっさいない。
 すみれちゃんにはそれこそ着けたいマフラーがたくさんあったであろうに、ハッキリ言って、大迷惑だろう。

 私は今もだが、昔はもっと空気が読めなかったので、その場にいたら、言ってしまうかもしれない。
「サリーちゃん、それノートより困るプレゼントだよ」と。
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