第1話 無音のASH
文字数 554文字
たった一文だけで、この宗教団体が一線を画しているのは明らかであった。
普通、この手の手合いは一般人――いわゆる、凡人に触手を伸ばすもの。
超能力などを有した超人は団体の代表及び幹部が掲げる謳い文句であって、誘い文句として使われるのは非常に珍しい。
現代では、宗教=儲かると思っている人は決して少なくはないだろう。
それどころか、善良な人々を騙していると決め付ける人のほうが多い傾向にある。
それゆえにインチキ、詐欺、洗脳と揶揄されやすい超能力や奇跡といった単語は、比較的持ち得ないのがこの業界の常識ですらあった。
そんな情勢でありながらも、この団体は堂々とトップページに例の言葉を飾っているのだ。
その上、少しずつだが確実に入信者を増やしている。
しかし、目立った活動は見当たらない。
それ以前に、いつから存在していたのかさえも世間は知らなかった。
人目に触れたのは、この団体に著名人らが名を連ね始めたからだ。
だが、それすらもネットに置ける口コミで広まっただけでマスコミは沈黙に徹していた。
そういった経緯もあり、この団体