文字数 836文字

 何時ものように眠と僕が白木の部屋で、放課後の時間を怠惰に過ごしていた時、ふと、隣の部屋にOLが住んでいることを思い出し、
「隣の女はなかなかええ女らしいにや、ちょっと覗いてみるか」
 と、冗談交じりに僕が言うと、眠も眠そうな目をニヤーとたらして笑った。   
 白木の押入れの中に小さな穴をあけて隣をうかがってみた。覗いた先は隣室の押入れになっており、部屋の様子を窺うことはできなかった。
 隣のOLはまだ仕事から帰っていない。それもそのはず、まだ四時過ぎだった。
 僕と眠は、さらにスケベ心をおこして、
「隣の部屋は、屋根伝いにいけるろう。窓んあいちょったら、はいっちみんか」
「おお、そうやにや」
 眠もこういうことが、好きである。
 白木のアパートは二階建てで、八部屋あったが、学生は白木だけだった。白木の部屋は、アパートの二階の東の端にあり、南隣にOLの部屋、西隣に会社員の部屋があった。
 アパートには東隣の民家が密接しており、民家の屋根伝いに隣室に行った。
 ついていることに、OLの部屋の窓に鍵がかかっていなかった。眠と僕は思わずニヤッと笑い部屋に忍び込んだ。
 女の部屋は甘ったるい匂いに満ちていた。僕と眠は、照れくささから、ニヤニヤ笑ったまま部屋の中を物色した。
 部屋の片隅に、カラフルな女の下着が干してあった。
 今度は眠が、
「あれを、白木の部屋に干して、あいつがどんな反応するか見てみんか」
 と、女の下着のほうを目配せしながら言った。
「そりゃあ、面白いにや」
 と、僕もすぐさま賛同した。
 こういった類のいたずらに関しては、眠が一番好きだった。
 白木のグンゼの白いパンツの中に女のピンクのパンティーを目立たぬように干して、僕達はゲラゲラ笑った。
 しかし翌日会った時、案に反して白木は僕達に何も言わなかった。僕達の冗談に気づいて真顔になって怒るとばかり思っていたから、白木が何も言わないことに拍子抜けした。
 童貞の僕達は、そういったいたずらで、満たされない欲望を発散させていた。
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