第43話:リチャード夫婦、復興、日本へ行きたい

文字数 1,356文字

 2011年・平成23年3月11日・金曜日にアメリカでは2010年の朝であったがニュース速報をリチャードとサリーが見ていた。そんな時、長男のハロルドと奥さんのジャネット・加藤がリチャード家を訪ねて来て心配そうに東日本の大震災のテレビ放送を食い入るように見ていた。少しして海の向こうから黒煙が上がり、やがて炎にかわり大火事のシーンが映し出された。実際には、2011年3月11日の午後2時46分に発生した巨大地震で津波の第1波は同3時半ごろ気仙沼湾に進入し、その引き波が朝日町の重油タンクを破壊した。

 その日の夜20時ごろ、強い風の中、突然、火があがり本格的に燃えだし火は市街地から海面まで全てを覆い尽くした。これを見ていたジャネットは、思わず悲鳴を上げ大声で泣き出した、ハロルドがその肩を抱きしめたが、なんで、なんで、こんな、ひどい事をするのと叫んだ。それを見ていた、サリーも思わず、ひどい、ひどすぎると泣き出して、当たりの空気が凍り付いた。翌日は、とても仕事をする気にならず会社に電話し休暇をとった。その後、たまらずリチャードが安田商事の橫浜営業所に国際電話をしたが繋がらない。

 やきもきして、何回も電話を繰り返し、昼過ぎに、やっと電話が通じて安田商事の橫浜支店では、棚から物が落ちたりした程度で社員に怪我人はいないと報告を受けた。東日本大震災の義捐金を送りたいのだか、そちらで窓口になってくれないかというと、橫浜支店の安田太郎支店長に電話を代わって、話をすると本社と安田商店、ニュヨーク本社の安田健一社長と相談してから、詳細を決めて、決まり次第、連絡をすると言ってくれた。

 すると1時間後、橫浜支店の安田太郎支店長から電話が入り三菱銀行・橫浜支店に安田商店、独自に寄付のための口座を作り安田太郎さんが窓口になって募金活動することになったと連絡が入り、リチャードが、入金前に連絡して送金するというと了解しましたと言ってくれた。早速、翌日、朝、日本時間の夕方に安田太郎支店長に1億円をリチャードの名前で、個人的に義捐金を送ると伝えて、入金されたら、領収書を送ると言ってくれた。

 その後も、毎日のように、日本の大地震のニュースをリチャード、サリーは、ずーっと見ていて、スーパーマーケットに列を乱すことなく、買い物を待ってる日本人達を見て、素晴らしい。本当に、こんな素晴らしい人ばかりなのよと息子のハロルドとトーマスに説明いた。トーマスが、良い所ばかり映してるんじゃないの信用しないと日本に行ってみればわかるよとサリーが睨むように言った。3月15日、長男のハロルドと奥さんのジャネット・加藤がリチャードの家に来て、突然、長男のハロルドが安田商事の横浜支店に転勤したいと言い出した。

 その理由は、奥さんのジャネット・加藤が、日本に行き東日本大震災の支援をしたいと言い、ハロルドが、その意見に賛同したからだ。すぐに安田商事の橫浜支店の安田太郎支店長に電話をして、話をすると、ちょうど人手が足りなくて、本社の安田健一社長に、直接、応援要請をしようと思っていた矢先だと言われ、直ぐに、了解してくれ、安田太郎支店長からも話してみると言ってくれた。しばらくして、了解が取れたと連絡が入り、ハロルドに代わり、細かい打ち合わせをした。
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