第17話 王子からの贈り物
文字数 572文字
海賊騒ぎからさらにひと月の後、阿梨たちを乗せた船はマルバ王国の港に到着した。
船が接岸すると、ぞろぞろと供の者を従え、黒のドレスに白いエプロンをつけた女性が歩み寄ってくる。
「羅紗国の阿梨王女殿下でございますね」
いかにも、と阿梨がうなずくと、女性はうやうやしくお辞儀をして、
「ようこそ、マルバ王国へ。わたくしは王宮の女官長を務めておりますルキアと申します。国王陛下のお申し付けにより王女殿下をお迎えにあがりました」
見れば、ルキアの背後には出迎えの豪奢な馬車が控えている。
「今夜は羅紗国の方々を歓迎する宴が開かれます。どうぞ華やかな宴にて旅のお疲れを癒してくださいませ」
「ご配慮、かたじけなく存じます」
社交儀礼的に阿梨が頭を下げると、ルキアは眼で合図して、そばにいた二人の侍女に純白の衣装を広げさせた。
「あの、それは……?」
不吉な予感を覚えつつ、困惑する阿梨に向かって、にこやかに、
「こちらはセルト王子よりの贈り物。王女殿下にあらせられましては、ぜひともこのドレスをお召しになって今宵の宴にご出席されるように、との王子のお言葉でございます」
侍女が二人がかりで広げる豪華な衣装を前に、阿梨の表情がひきつるのを勇駿は見た。
船が接岸すると、ぞろぞろと供の者を従え、黒のドレスに白いエプロンをつけた女性が歩み寄ってくる。
「羅紗国の阿梨王女殿下でございますね」
いかにも、と阿梨がうなずくと、女性はうやうやしくお辞儀をして、
「ようこそ、マルバ王国へ。わたくしは王宮の女官長を務めておりますルキアと申します。国王陛下のお申し付けにより王女殿下をお迎えにあがりました」
見れば、ルキアの背後には出迎えの豪奢な馬車が控えている。
「今夜は羅紗国の方々を歓迎する宴が開かれます。どうぞ華やかな宴にて旅のお疲れを癒してくださいませ」
「ご配慮、かたじけなく存じます」
社交儀礼的に阿梨が頭を下げると、ルキアは眼で合図して、そばにいた二人の侍女に純白の衣装を広げさせた。
「あの、それは……?」
不吉な予感を覚えつつ、困惑する阿梨に向かって、にこやかに、
「こちらはセルト王子よりの贈り物。王女殿下にあらせられましては、ぜひともこのドレスをお召しになって今宵の宴にご出席されるように、との王子のお言葉でございます」
侍女が二人がかりで広げる豪華な衣装を前に、阿梨の表情がひきつるのを勇駿は見た。