第3話(14)

エピソード文字数 2,316文字

 ω?
 あつめる、しゅーしゅー? だれだそれ。

「ボクと厚芽流はコレクター仲間であり、ライバルっ。セブンナイツのトップに与えられる武器をゲットして、彼に見せびらかしたいのですよ!!
「「「「「…………」」」」」
「珍しい武器はないかと次元を飛び回り、ラミラミミーで伝承を知得したのが十七年前。一人前の鑑定士が持つ名品の気配を感じられる秘技・『名器発見(めいきはっけん)』を用いて長年探していたけれど、見つけられなかったのです……!」
「「「「「…………」」」」」
「けれど数十分前、奇跡は起きた。突然気配を感じられるようになり、ボクは温めていた作戦と共にワープしたのですよっ!」
「「「「「…………」」」」」

 こ、これは酷い。自慢のためだけに、毒を盛ったのかよ……。

「あ、あのね、爽水。いいか爽水。地球は、それがないと滅びるんだよ?」
「はい、存じておりますよ。それがなにか?」

 おっさん、可愛くキョトンとしやがった。

「何事にも犠牲はつきもの。諦めてください」
「諦めれるかボケナス!! 『チェンジ・マナ』で魔力にされたくなかったら、ただちに浄化薬をよこせ!!

 俺はヤツに詰め寄り、ガッと首を掴む。
 脅されたら、それ以上に脅せばいい。世界はシンプルだ。

「おっと、その脅しは通用しません。ボクが死んだら薬が手に入らなくなり、仲間が人生を棒に振ってしまいますよ?」
「――っっ」

 そうきたか。こう返されたら、こちらは手出しできない……!

「ちなみに解毒薬は別の場所にありますし、拷問されても口を割りません。さて、どうなさいますか?」

 この男、きっちり対策を取ってやがる。こいつは地味に絶体絶命だ。

「さあさあ。皆さん、お返事を聞かせてください」
「……い、色紙様……。どう、されますか……?」

 聖なる剣、ラーとミー。あれさえあれば、封印は可能らしいからな。


 麗平さんを見殺しにする。というのが賢い方法だ。


 けど、そんな真似は絶対にしない。されど聖剣がなくなったら、地球は終わる。
 俺らは、最悪の二択を突き付けられてしまった……。

「…………レミア。『チェンジ・マナ』で毒を消すのは、無理なんだよね?」

 ダメ元で、問うてみる。こちらに都合のいい展開になっては、くれないのか……?

「にゅむぅ。毒自体は、消せるんだけどねー……」
「すでに支配された脳は、毒を消しても元通りにはならないわ。救えるのは、解毒薬だけよ……」
「世の中には解毒能力を持つ方が沢山いらっしゃいますから、解毒されても効く物を選んだのですよ。作戦大成功ですね」

 ちくしょう……っ。コイツ、考えてやがる。

「………………なら、さ。レミア達の国に、その薬は――ないんだよね」

 あったら、焦ってはいない。

「仰る通りでございます。ベロリン茸の解毒薬は『その粉末の元となった物』から精製しないと効かない為、あの者しか所持していないのですよ」
「個体ごとに特別な遺伝子があって、それが一致しないと意味がないのですよ。ボクにとっては、とても有難いシステムです」

 チィッ。そいつは、こっちにとっては最低なシステムだぜ……。

「そういえば皆さん、長話をしていたらタイムアップになりますよ? どうなさいますか?」
「……………………色紙クン。封印を頼みますわ」

 麗平さんは双剣を出し、俺に差し出してきた。
 彼女は……。自ら、『犠牲になる』を選んだ。

「ウチ一人と、約六十億。こっちの方が得ですわよ」
「…………………………そう、だな。やっぱり、そうするべきだよな」

 世の中ってのは、漫画の主人公みたいな気持ちだけじゃ生きていけない。時には、非情な決断だって必要。天秤にかけるという行為も、必要だ。

「ゆ……。ゆーせー君……」
「ウチの意見を呑んでくれて、サンクスですわ。助かりました」

 彼女は涙を浮かべ、こちらに微笑んだ。
 当たり前の話、死が怖くない人なんて滅多にいない。この人の中には今、『救える安心感』と『死亡の恐怖』が同居してるんだ。

「辛い選択をさせちゃって、ごめんなさいですわ。色紙クン、ほんとにありがとう」
「いいや、礼なんて要らないよ。俺は、見捨てたりしないからね」
「??? ボク目線では良い判断なのですが、理解に苦しみますね。キミはその子に、『そうするべき』だと――」
「バーカ。そりゃあくまで、客観的な考えだ」

 客観、的。優星がやるとは、一言も言ってない。

「あのな、ガキってのは無茶をやるもんだ。大人ほど賢くなくてバカなんで、利口なやり方をしないもんだ」

 だから、さ。

「クズ野郎。俺は足掻いて足掻いて、足掻きまくって解決してやるよ」
「はははっ、お見事お見事っ。熱くて素敵な台詞でした! ですが――どうやって、解毒薬を手に入れるのです?」
「…………相手に言う事を聞かせる時は、あれしかないでしょ。拷問、するんだよ」

 俺が、低い声でそう発すると――。レミア、シズナ、サク、麗平さんが、息を呑んだ。

「はぁ、キミは何を言っているのですか。ボクは、何をやられても耐えますよ」
「そう。どいつもこいつも、最初はそう言うんだ」

 アイツも、そうだったな。行う前は、『余裕で耐えられる』と豪語していた。

「い、色紙様……。貴方様は、拷問の経験がおありなのですか……」
「従兄、くん。貴方、これから何をするつもりなの?」
「ふふふ。それはな」

 俺は指をバキッと鳴らし、犬歯を剥いてこう声帯を震わせた。


「この男の、腋をくすぐるんだよ」
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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