その2『バイセンテニアル・マン』(ベスト3の2作目)
文字数 2,591文字
『バイセンテニアル・マン』アイザック・アシモフ(お薦め度☆☆☆☆☆)
私の父なら、たぶんその通りだと思うよ。(笑)
アシモフは他にも『ファウンデーション・シリーズ』が有名だけれど、彼が描いた「銀河帝国」というアイディアは、その後に宇宙戦争を描いたSF小説や、『スターウォーズ』をはじめとする映画やアニメの原点らしいね。ただ、私は宇宙に行ってまで階級闘争や戦争を見たくないし、本当のことを言うとSF小説はつまみ食いで、銀河帝国と名前に付くものはあまり読んでないんだ
アシモフは他にも『ファウンデーション・シリーズ』が有名だけれど、彼が描いた「銀河帝国」というアイディアは、その後に宇宙戦争を描いたSF小説や、『スターウォーズ』をはじめとする映画やアニメの原点らしいね。ただ、私は宇宙に行ってまで階級闘争や戦争を見たくないし、本当のことを言うとSF小説はつまみ食いで、銀河帝国と名前に付くものはあまり読んでないんだ
アシモフのオリジナルは中編小説なんだ。
『われはロボット』から四半世紀以上経って、彼が五十代のときに書いた作品なんだよ。
1977年にネビュラ賞とヒューゴー賞の中編小説部門を受賞してる。
最初の翻訳は1978年に『SFマガジン』に掲載されて、その後に短編集『聖者の行進』に収録された。ただ、今出版されているのはロバート・シルヴァーバーグが長編化したものだけで、オリジナルを含む『聖者の行進』はなかなか入手できないみたいだね。
アニメや映画では、原則を守らないマッドサイエンティストや、犯罪組織の手先みたいな科学者も出てくるけど、基本的に私たちロボット工学に携わる人間は、決して軽んじてはいけない「ロボットや人工知能の倫理規則」と考えている
読んでみると、きっと面白いと思うよ。
『聖者の行進』は自分で買った本だけど、アシモフがロボットを描いた小説の中で一番気に入った。特にこの『バイセンテニアル・マン』は、ロボット自身が三原則の一つ「命令への服従」を破る話なんだよ。それで私は、より人間に近いロボットを夢見るようになったんだ。
『聖者の行進』は自分で買った本だけど、アシモフがロボットを描いた小説の中で一番気に入った。特にこの『バイセンテニアル・マン』は、ロボット自身が三原則の一つ「命令への服従」を破る話なんだよ。それで私は、より人間に近いロボットを夢見るようになったんだ。
ロボット工学というより、ロボットを超える存在の原点かな?
アンドリューは自分を主従関係から解放するために裁判を起こすんだ。人間として認めて貰うための裁判というのが実にアメリカ的だけど、その動機が奴隷解放に繋がるところもまたアメリカ的だね。
アンドリューは自分を主従関係から解放するために裁判を起こすんだ。人間として認めて貰うための裁判というのが実にアメリカ的だけど、その動機が奴隷解放に繋がるところもまたアメリカ的だね。
そうだね。それがあまり強すぎると面白くなくなるけど、アシモフはそれほどあからさまじゃない。
父の時代は人とロボットが主従関係だったけど、この小説で描かれているのは、今当に私が実現しようと取り組んでいる「ヒューマノドロイド」のテーマなんだよ。
先日書き上げたばかりの著書で、初めて解説した私の造語だ。
人間と区別がつかないアンドロイドを「Human o'droid」と名付けたんだ。
直訳すると「ドロイドによる人」或いは「ドロイド人」と言ったらわかりやすいかな?
今、書店では購入できないみたいだけど、もし短編集の『聖者の行進』を図書館とか古書店で見つけたら、是非読んで欲しいな。表題作のオチも微笑ましいし、『バイセンテニアル・マン』以外にも面白い話が収録されてるから。