最終話 森羅万象
文字数 793文字
マグノの山々は燃え、地中深くではマグマが膨れ上がり、各地で噴火した。燃え上がった火は上昇気流を作り真黒な雲を作り出したかと思うと、雷と大粒の雨が大地を襲う。
マグノの川は一斉に氾濫し、海は荒れ、海岸沿いを飲み込んだ。流れは渦を巻き、建物を一瞬にして消し去っていく。
マグノの大気は、熱風と冷風が交互に大地を襲い、巻き上げた。動物も人も区別なく吹き飛ばし、大地に叩きつける。
マグノの大地は震え、各地で起きた地震は地を割り、隆起させ、山も谷も崩れていった。全ての地形を作り替えていく。
ナッカ城もトステの皇室も崩れ去り、アスナ峰もケルト川もコルナス山脈も…マグノの全てがその姿を変えていった。
四人は、その身を捨て去りマグノの大地を上から見下ろしていた。そしてどんどん上昇していくと、マグノから離れた場所に数々の島や大地がある事に気づく。世界はマグノだけではなかった。そしてさらに上昇すると、黒い空間に放り出される。そこには無数の星々が見え、マグノを含めた自分達がいた世界は、その星の一つでしかなかった。
『これは宇宙と言う。人の子よ…いや新たな
森羅万象を司る神達
よ。』アマノイシが語りかける。
『お前達がやって来た事は無駄ではない。「人間を救う」とは「人間の魂を救う」という事だ。失われた命はお前達に宿る。その魂も然り。お前達はマグノの地に「人間を救う」という意志を持つ新たな神々として誕生した。さあ、戻るがいい。そして、マグノを見守るのだ。お前達が生まれた故郷を。お前達の意志と共に…。』
アマノイシが新たな四神に使命を与えた瞬間、マグノは静けさを取り戻した。
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国破れて山河あり 城春にして草木深し
時に感じて 花にも涙をそそぎ
別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
<春望より>