【迷子3】 「運命廻し」栗洲樹あぬ

文字数 1,657文字

「運命廻し」 栗洲樹あぬ
2018/10/19 13:05

wick-reacher

えー、それでは……ゴホン!

迷子のみなさん、こんばんは!

これからみんなのお父さんやお母さんに来てもらうため、みんなの姿形を私がアナウンスします。

ええ、もう泣いちゃっている方も居ますが、どうか私に協力してください。よろしくお願いしまーす!

2018/10/19 13:15

はい、それではこの部屋のあちらこちらに、私が持っているような紙があると思います。

そこにですね。今日、みんなが着ているコスプレの情報を書いてください。

あ、順番が来てからでもいいからね。

わからなくても大丈夫だよ。こんなものだった気がする、というのでも大丈夫です。

それでは、いってみましょう!

2018/10/19 13:18
うう……
2018/10/19 13:21

はい。ありがとうございます。

えーと……

2018/10/19 13:22

作品名 : 兄と一緒にゾンビと闘っていたら異世界転移! 今日も俺はボウガンでモンスターを狩っています。

 の、登場人物のコスプレをされています。キャラクター名は不明。デニムのジャケットを羽織っています。この男の子のご家族、ご友人は迷子センター3までお越しください。

2018/10/19 13:23
ママー!
2018/10/19 13:29
もう、この子は!
2018/10/19 13:30

ふう、よかった!

はい、次の方ー!

2018/10/19 13:30
うう……
2018/10/19 13:31

はい。ありがとうね。

えーと……

2018/10/19 13:31

作品名 : 今までずっと自分が人間だと思って生きてきたけど、検査されたらロボットでした。そのショックで異世界転生! 私は今、商人ギルドを取り仕切ってます。


 の、キャラクター、レイチェル・ネクスト・サクセス・666のコスプレをされている女の子のお連れ様。迷子センター3までお越しください。

2018/10/19 13:33
ママー!
2018/10/19 13:37
もう、この子ったら……
2018/10/19 13:38

ああ、よかった。

さて、次の方、どうぞー!

2018/10/19 13:39
うう……
2018/10/19 13:40

はい、ありがとうございます。

えーと、どれどれ……

2018/10/19 13:41

作品名 : 俺は天才開発者。機密保持の為に記憶を消すのは通常の手順だが、その時の手違いで異世界転移! スプレーとライターでモンスターの大軍を切り抜けろ!


 の、キャラクター、レッドレギンス・ライオット・ランチャー、のコスプレをされている男の子のお連れ様。迷子センター3までお越しください。

2018/10/19 13:42
ママー!
2018/10/19 13:47
もう、この子ったら、本当に……!
2018/10/19 13:48

はい。よく頑張りました。また来てね!

次の方、どうぞー!

2018/10/19 13:49
うぇーん……
2018/10/19 13:50

はーい。ありがとう。

さてさて……

2018/10/19 13:51

作品名 : 女性シークレットサービスとしてバリバリ働いていたある日、テロに巻き込まれて人質に!? 潜入工作員にパンツを覗かれ、ショックのあまり異世界転移! 新米近衛兵奮闘記!


 の、キャラクター、ジェニファー・ヴァンゲル・サランデル・ブルムグフィスト・ヴェンネルストレムのコスプレをされている女の子のお連れ様。迷子センター3までお越しください。

2018/10/19 13:52
パパー!
2018/10/19 13:56
まったく心配かけて……
2018/10/19 13:57

はい、よく頑張りました。

また今度ね。

さーてとぉ……

2018/10/19 13:58
 時は過ぎ、部屋を埋め尽くしていた子供たちはみんな、それぞれの居場所へと帰って行った。
2018/10/19 14:02

wick-reacher

ぶへぇー!

今日は一際ハードだったぁー!

喉がカラカラ。

お水が美味しい!

2018/10/19 14:05
お姉ちゃん。お疲れ様。
2018/10/19 14:07

あれ!? まだ残ってた!?

ごめんなさい! すぐアナウンスするね!

えーと、あなたは……

2018/10/19 14:08

ずっと見てると面白くなっちゃって。

あれだけ頑張ってるんだから何かお礼をしたいと思ったの。

2018/10/19 14:09

え?

お礼?

2018/10/19 14:11

私が今日貰ったお菓子を分けてあげたいと思ったんだ。ただ、それだけだとつまらないから、「ん」を言った数だけお姉ちゃんにあげようとしたんだ。でも、数えていたら、私が持っているお菓子よりも多くなっちゃった。

だから、これ全部貰って!

じゃあね!

2018/10/19 14:12

あ、ちょっと!

待って!

2018/10/19 14:14

 私はその少女の後を追いかけた。扉を開けて通路に飛び出したが、そこには誰も居なかった。でも、そんな筈は無い。ここに隠れる場所は無い。それに通路には警備の人も居る。


 その人たちに聞いてみたが「そんな少女は見ていない」という言葉が返ってくるのみだった。


 迷子センター3に戻ってみると、さっき少女がくれたお菓子の山がある。

2018/10/19 14:15

wick-reacher

何だったんだろう?

疲れが見せた幻覚?

でも、そうだとするとこのお菓子は?

2018/10/19 14:18

まあいいか!

貰っとこう!

それにしても、珍しいほどにシンプルだったなぁ。

カボチャの被り物なんて。

2018/10/19 14:19
(運命廻し 了)
2018/10/19 14:20

wick-reacher

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