第十四話『買い物って難しい』

文字数 1,622文字

球技大会を終えた翌日。

休日のこの日は、晴天に恵まれていた。

ミリリとジェノは、学園外にある商店街へと来ていた。

さあ、ついたぞ。

ここがこの町で一番大きい商店街。

金の亡者が蔓延る場所だ!

ほほー、こりゃまた随分と人がごったがえしているな。

ところで、ここに何をしに来たんだ?

我は大事なことを忘れていた。

最強のサーヴァントには最強の装備を与えてやらぬとな。


つまりオイラの装備を買いに来たってわけか。

そりゃありがてえ。得物がないと何かと不便だからな!

ミリリ達は、意気揚々と商店街の道を進む。
うわっ!何だコイツ!?
ひぃぃ!

言葉に出せない邪悪なモノが道を歩いているざます!

普段は乱雑としている商店街であったが、

ミリリ達が通る場所は、モーゼの如く人が退避していく。

なんだなんだ。

何で皆、俺達を避けて通るんだ?

フッフッフ……。

我らの威圧に恐れ慄いたのであろう!

意気揚々と歩くミリリ達に近づく影が二つ。
慌てて人が避けていくと思ったら、やっぱりお前達か……。


あ、ライナちゃんとマンマルー。

二人も買い物に来てたの?

ハハッ!

本日はライナ様の日用品を買いに来たのであります!

私は荷物運びなどを勤めさせていただいております。

お前達は何を買いに来たんだ?
我らは、ジェノの装備を買いにきたのだ!


……。

うんこが装備できる武器や防具って存在するのか?

伝説の装備を探すぐらい大変だと思うぞ。

いや、スライム用の装備とかを流用すればいいから……。

別に専用装備探す必要なくない?

スライム達もえらい奴に

自分達の装備を使われたもんだな。

ていうかそいつに装備って必要か?

必要じゃん!このままじゃ手を握れないし、

転んだ拍子にジェノにぶつかったら大変なことになるし。

あー、それもそうか……。

前回、それで酷い事になったからな……。

思い出させないで……。
ミリリはライナと共にこの商店街で一番大きい

装備屋へと向かった。

失礼するぞ!
いらっしゃいませ!

魔物専門装備店へようこそ!

オーダーメイドでも何でも喜んでいたしますよ。

本日はどのお方の装備をご希望でございますか?


こいつの装備を見繕ってくれ!
おう、頼んだぜ!

出来るだけ上質な素材の装備がいいな!

は……?

なんだコイツ……。

えっ。

今なんて?

あ、いえいえ!ゴホンッ!

ブフォンッ!

えー、こちらの話でございます!


えっと……それで……その……。

そのお方の装備をご要望で……?

そうだ、頼んだぞ!


えーと……。

えーと…………えーと…………。


あの、すみません、急用を思い出しまして……。

えっと、その……本日は閉店とさせていただきます。

えっ。
ミリリ達は仕方なくその装備屋を後にした。

その後、他の大通りに面した装備屋へ入る。

失礼するぞ!
いらっしゃいませ!
コイツに見合った装備を売ってほしいのだが。
頼んだぜ!

出来るだけ、丈夫な素材がいいな!

……えっ。

え……?うん……え?

……どうかしたか?
あ、いえ、その……あの……。


あっ!ああっ!

ド、ドロボー!ドロボー!!

待てー!ドロボー!!

店主は明後日の方向を指差しながらどこかへ消えた。
……あの人、戻ってこないね。
……そうだな。
ミリリ達は仕方なくこの装備屋も後にする。

そして商店街の外れの方にある装備屋へやってきた。

失礼するぞ!
いらっしゃいませ。

武器と防具の店『コマンドー』へようこそ。

我がサーヴァントの装備を買いにきたぞ!
おう!

小さいが、中々品揃えがよさそうじゃねえか!


うんこじゃねーか!!
えっ。
あ、いえ……!

その……。えっと……。


またのご来店をお待ちいたしております。

いや、まだ何も買ってな……。
またのご来店をお待ちいたしております。
あの……だから。
またの、ご来店を、お待ち、いたして、おります。
あ、はい……。
ミリリ達は外へ出た。
……ライナちゃん。
言いたいことは何となくわかるが、どうした?
買い物って、こんなに難しいものだったっけ……?
まあ……なんつーか……。

売るほう、買うほう、

双方にとってハードモードって感じかな……。

ミリリ達は途方に暮れた。
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登場人物紹介

ミリリ・アルベール


15歳。

中ニ病ぎみな女の子。

よくわからない事を呟いてカッコつけているが、

事あるごとに素の口調に戻ってしまう。

また、友達と一緒の時も素の口調であることが多く

中ニ病に入門したてと言ったところ。

胸が小さく、そこを突っ込まれると怒る。

幼い頃、猫の集団に襲われたことがあり、猫は大の苦手。

見かけるとトラウマが蘇ってヘタレる。

ジェノ・サインダー

『我が操るは、混沌から現れた強大な悪夢』

ミリリの相棒である魔物。

形容しがたい形と色と感触をしている。

強大な悪夢、というのはあながち間違いではない。

すし屋の大将で、歴戦の戦士という

よくわからない経歴を持っている。

ネオン・ライナーン


15歳。お金持ちのお嬢様。

事あるごとにミリリに嫌味を言ってくるミリリのライバル的存在。

……と本人は思っているがミリリには影が薄いと思われており、

その存在を中々覚えてもらえない。


自分の相棒は世界一の魔物と思い込んでおり、

色々な生徒に自分の相棒を自慢して周っている。

生徒達からは『何言ってんだこいつ』という目で見られているが、

本人はそのことに気づいていない、ある意味幸せな子。

金持ちの癖に頭が悪い。

ローズマリー


ネオンの使い魔。♀。

顔に合わない口調で喋る壺。

壺なので割れると絶命するが、

破片を集めると生き返ることができる。

ライナ・バーバレン


ミリリの友達。

中学生の時から一緒で仲が良い。

男のようなガサツな言葉遣いをして、

下品な言葉も平気で口にする残念な女の子。

めんどくさいことが大嫌いで、

自分の使い魔の名前すらも適当につけてしまった。

やることなすこと大体適当。

マンマルー


ライナの使い魔。

ライナに絶対的な忠誠を誓っている。

基本的に温厚な性格だが、ライナを侮辱する者や

攻撃する者には口調が荒くなり容赦がなくなる。

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