第99話 生物の生存競争と寿命

文字数 2,568文字

老年になって豊かな人と、余裕のない人がいる。さらにやっと生きている人貧しい人もいる。
それは今までの結果かもしれない。どうにもならない運命だったかもしれない。
ただ、人間として生まれてきた人は、どんな状況でもそれだけでも好運といえる。
豚でもなく、雀でもなく、ゴキブリでもなく、コロナのような微生物でもない。
そしてそれぞれが、生まれた環境に応じて生涯を過ごす。
苦しい悲惨な生涯であっても、自分の五感を通してこれまでの人生を歩んでいる。
思い通りにならなかった生涯であっても、今生きているという事は最大の幸せといる。

人間は生物の中での寿命は一番長いほうです。
さらに日本人の寿命がこの何年かで急に延びて、ずいぶん長寿の時代になりました。
今までは、50歳位で役割が終えて老衰して、消えていくのが当たり前の時代だったのです。

本来の人間の寿命は30年くらいだと言います。
ではなぜ日本人の寿命こんなに伸びたのでしょうか。
縄文時代以前のヒトの寿命は15歳ぐらいだったという事です。
人間もゴリラのように自然のままに生きた場合は、30歳前後が寿命だという事です。
現在は文明が発達して、安定した食料の供給や最先端の医療技術で寿命が延びました。
安全な生活や環境の改善などによって、この数十年で人間が一気に長寿化しました。
こんなに寿命が延びると、老後は何をしていいかわからい人が多くなってきます。

役割のない人生の過ごし方が、私にはどうしていいかわからなかった。
定年後30年というのは、就職してから定年までとほぼ同じ長さになります。
過去の時代の前例がないから、これから先は自分で考えなければならないのです。
ただ生きているだけでは虚しいし、世間から老害として敬遠されます。
だからって、これからやっと人間らしく生きられのに、ひっそりと生きていくのは寂しい。
私は50歳の時に、その事をつくづく感じました。
勤続してから約30年。これからの人生が約30年。ものすごい不安を覚えました。
会社時代は、会社という船に乗って安心して過ごしてきました。
船には定員があります。役割を終えた人は下船しなければならない。
私のいた会社は、沈没しそうになりました。それで50歳以上の社員をリストラしました。
その後の30年は自分で生きていく。妻子のためにも生きていかなければならなかった。
長寿という一見幸せな要素が、人によっては最大の不幸にもなるのです。

寿命に関する資料を調べてみました。参考になる「寿命」の比較がありました。

<時代別の人間の寿命>
縄文時代      15歳前後
弥生時代      18歳前後
古墳時代      25歳前後
飛鳥・奈良時代   20歳前後
平安時代      30歳前後
鎌倉時代      24歳前後
室町時代      16歳前後
安土桃山時代    35歳前後
江戸時代      30前後
明治時代      44歳(明治24~31年の平均)
大正時代      43歳(大正10~14年の平均)
昭和20年代    50歳前後
昭和40年代    70歳前後
平成時代      83歳前後、
現在        男性が81.64歳、女性は87.74歳

<主な生物の寿命>
クジラ:約68年
ゾ ウ:約69年
カ メ:約40年
ツ ル:約38年
ク マ:約31年
ウ マ:約28年
イ ヌ:約20年
ネ コ:約17年
ヘ ビ:約 9年
カエル:約 7年
ウサギ:約 6年
ネズミ:約 3年
昆 虫:約 1年
「鶴は千年、亀は万年」と言われていますが、調べてみると意外に短い寿命ですね。

<国別平均寿命  2019年の男女平均>
日 本       84.3歳
スイス       83.4歳
韓 国       83.3歳
シンガポール    83.2歳
アメリカ      78.5歳
中 国       77.4歳
メキシコ      76.0歳
ロシア       73.2歳
北朝鮮       72.6歳
ミャンマー     69.1歳
南アフリカ     65.3歳
ソマリア      56.5歳
中央アフリカ共和国 53.1歳

日本人はこんなに恵まれている寿命です。
どうせ生きるなら楽しんで生きたいものです。でも工夫しなければ楽しさはやってこない。
裕福だろうが、貧しかろうが。幸せも不幸も気持次第でどうにでもなります。
ウナギを食べて幸せだなあと思う人もいれば、納豆や卵が一番幸せだという人もいる。

私は人一倍の小心者で、臆病者です。死ぬのは怖い気がします。
死という未知の世界が、どういうものかわからなくて不安で怖いのです。
死なんてたいした事ではないと思いたい。死なんてなんて何でもないと思いたい。
そのために、安心できる金言や、処世訓を探します。そして自分を納得させているのです。
何を調べようが、どう思おうが、何も変わらないのはわかっています。
ただ、安心も不安も感情なんだから、自分なりに思いこめば安心できると思うんです。

できれば、楽しく笑っているうちに制限時間が来て「無」になりたい。
そんな私の気持ちを安心させてくれた金言をいくつか紹介します。

◆飯を喰って静かに息をついていたらいつの間にか日が暮れて 、気がついた時は墓場の中
・・・・・・相田みつを

◆世の中は食うて、かせいで、寝て起きて、さてその後は死ぬるばかりぞ
・・・・・・一休宗純

◆明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ
・・・・・ガンジー

◆死が訪れた時に死ぬのは俺なんだ。だから自分の好きなように生きさせてくれ
・・・・・ジミ・ヘンドリックス

◆私は死を恐れないが、死に急いでいるわけでもない。その前にしたいことは山ほどある
・・・・・スティーヴン・ホーキング

◆死が老人だけに訪れると思うのは間違いだ。死は最初からそこにいる
・・・・・へルマン・ファイフェル

◆人はいつか必ず死ぬという事を思い知らなければ、生きている事を実感することもできない
・・・・・・M.ハイデッガー

◆死は人生の終末ではない。生涯の完成である
・・・・・ルター

何億年か前、人間の起源は微生物だったという事です。
コロナも生存競争で変異しながら生き抜こうとしています。
人はこの先何億年も、すべての生物の生存競争を勝ち抜くでしょう。
人間はたった80~90年の命。生きているうちは楽しい人生を送りたいものです。
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