庭園の和菓子
文字数 304文字
6月のお庭でお茶を頂くことになりました。立派なお庭でしなやかな緑色のもみじにちょうど見頃の紫陽花が大層映えていました。私は身の丈に合わない場所で小さくなりながら、庭の主人を大人しく待ちました。主人は「どうぞお寛ぎください」と和菓子とお抹茶を出して下さいました。和菓子を見て、私の背筋はすうっと伸びました。透明なピラミッドの様な寒天の中に石畳を思わせる金粉、底は黒砂糖だろうか庭の手入れの行き届いた地表を思わせる、この庭をまさに凝縮した様な美しいものであった。「美しいです。」私は感嘆の声を漏らした。主人は嬉しそうに「それはよかった」とそして「菓子の名前は"天空"と言うんです。」言った。危ないところだった。