第82話  おっぱい職人 2

エピソード文字数 3,713文字


 ※


 俺と平八さんが喋ってる中、華凛がスマホを止めて立ち上がる。



お姉ちゃん。お風呂入ってくる~

 華凛が自分用のダンボールを開けると、中から出てきたフワフワ生地のパジャマを持ち、リビングから消えた。


 その瞬間だけ。平八さんが華凛を見ていたが、すぐにその視線が俺の胸へと戻ってくる。

そいえばおっぱい職人ってどういう意味なんですか?

 すると平八さんは胸に固定されていた視線を俺の顔に向けてくるではないか。

 そして執事のジャケットから出てきたのはスマホであった。

一応。平八めはツイッタをやっておりましてな
 え? 何? 平八さんって結構デジタルなのか?
これって平八さんのページ?
左様でございます

 マジかよ。フォロワーが十万超えてるんだけど。


 俺も小説用にツイッタのアカウントは持ってるが、フォロワーなんて百人も居なかったというのに。  

 

 しかもヘッダー画像が……水着の女性なのはいいのだが、見たことのあるような感じがする。顔は映っていないので何とも言えないが……




 これ。ぜってー俺の親父だろ?

 髪の毛とか写り込んでるので、絶対間違いない。

これ。親父?
さすが楓蓮お嬢様ですな。正解でございます
それはいいんだけど。これ。親父知ってるの?
勿論でございます。顔を出さないのなら勝手にしろと、ありがたい言葉を頂いております

 本当かよ。


 まぁでも、スマホを弄る平八さんがやっと俺の胸から視線を離してくれたのにホッとしたぜ。

 隙を見せたら顔を埋めて来そうな位置にまで来てたからな。

このように平八めは、素晴らしいおっぱいを見かけるとツイッタにアップしております

 マジでおっぱいしかアップしてねー。

  スクロールしてもずっと同じような画像しか出てこない。

 

 だけど全ての画像はちゃんと服やらブラジャーをしており、危ない部分は写っていないし、顔も顎辺りまでで隠している。その辺は平八さんも配慮しているらしいな。


 それにしてもすげーコメントの数だな。

 

 いいねの数も半端じゃない。

 少なくても千は超えてるし、トップページに載ってた親父の画像とか、万越えしてやがる。

凄いですね。ここまで見られてるって結構有名人じゃないですか

 これは社交辞令でもなく本気でそう思ったからだ。

 このフォロワーの数やいいねの数だけは嘘は付けないからな。

おっぱい職人ですからな。別名おっぱいアナライザーとも言われております

 あまり意味が分からないがうんうんと頷いておこう。


 などと余裕ぶっこいていると、画面に見えた一枚の画像が目に入ってくる。

ちょっと待って。これ……俺でしょ?
いかにもその通りでございますな

 服が今着てる奴と一緒じゃねーか! 顔は隠してるが髪型がポニテだし、背景までこのリビングだし。


 ってかいつの間に撮られたんだ? 


 じゃなくて勝手にツイッタで上げるとかダメでしょ。


 そう思ってたら、今度は……ん~~~~? 

あれ? 聖奈か?

中々鋭い洞察力をお持ちですな。エクセレントですぞ。

いかにも。これは聖奈お嬢様でございますな

 分かったのは何となく。だ。

 髪型とか、何となくだが……聖奈だと思ったんだよ。

ちょ。平八さん? これ。聖奈に許可取ってるの?
勿論でございます。何なら直に聞いても構いませぬぞ

 下着姿だぞ。しかもポーズまで取ってるし。口元まで写ってるが、わりとノリノリのような感じさえしてくるんだけど。


 こんな事を聖奈がやってんのか? 俄かに信じられない。

 しかも、いいねが三千くらい逝ってて俺よりも遥かに多かった。

聖奈お嬢様は平八めの趣味に寛大でしてな。快く承諾してくださっております

 確かに聖奈は平八さんのおっぱい職人の話にはあまり嫌悪感は感じられなかったよな。だけどこういう画像を提供させるのはどうかと思うが。

ちなみにおっぱい職人である平八めに撮影を依頼する人は、世界中におります
マジかよ。そう突っ込みたい所だが……
どちらかと言いますと、カメラマンとしての知名度の方が高いのかもしれませぬな

 そうなんだよ。


 平八さんのカメラワークは確かに上手い気がする。どこかのグラビア撮影のような感じであり、素人とは思えないレベルだ。

しかしながら、私はあくまで、おっぱい職人としてツイッタに投稿しておりますれば、この世には至高のおっぱいがあるという事を世の中の人々に知っていただきたいのでございます

 おっぱいに掛ける情熱がひしひしと伝わってくる。

 俺や親父、聖奈の他にも……華凛まであるじゃねーか。




 題名、爆乳以上確定のおっぱい。覚醒前。


 なんつー下品な題名なんだよ。

 しかも俺よりもいいねが多いし、そろそろムカついてきたぞ。



 何で俺は評価が低いのか納得できな……

え?
 俺が疑問符を自然に吐き出したのは一枚の画像である。
いかが致しました?

 今までのおっぱいとは違う画像を食い入るように見る俺。


 おっぱいと言うよりも、この場合髪の色に注目していると言った方が正しい。

平八さん。この人。知り合いですか?

彼女は昔の知り合いでございますな。麗華様と互角のおっぱいを持っており、ツイッタ上では「魔乳」と称えられております。


麗華さんの「神乳」と彼女の「魔乳」は、おっぱい職人の間では常識でございますれば、その知名度は全世界まで知れ渡っておりますぞ。

 そんな事はどうでもよくて……


 おいおい。この画像の女性なんだけど、これ多分、白竹……ママだよな?

 身体のラインからすると、大人っぽいし……しかもでかい!

楓蓮お嬢様。この方をご存知なのですか?
多分知ってると思う。学校での友達のお母さんっぽいんですけど
マジ?
 俺は普通に言っただけだった。だが……


 急に平八さんが俺の顔を無表情で覗き込むと、

学校のお友達ですか?
ええ。聖奈も知ってますよ。白竹さんのお母さんかなって

 あれ? 無表情だけどめっちゃ固まってるぞ。

 だけど視線は俺の胸の先っぽだが。

では……これは?

 スマホを弄くり出した平八さんは、自分のページから他の人のページに飛ぶと、一つの画像を見せてくれた。



 ん? あっ! これ絶対白竹さんだろ。


 平八さんと同じく顔を隠した画像だけど、フワフワロングのピンクの髪の毛をした女の子はウチの制服を着ていた。


 100%白竹さんだってこれ。

おいおい。誰だこの画像アップしやがったのは

 投稿者の名前を見ると「穴バースト」だと?

 ふざけた名前しやがって。


 こりゃ一応彼女に聞いてみて、無断ならば俺が捕まえてスマホを破壊してやる。

そうそう。この子が多分……俺の友達だと思います。
そうでしたか。楓蓮お嬢様のお友達でしたか。
そうです。その子の家の喫茶店でバイトしてるんですよ

それはそれは。では今度聖奈お嬢様と共にお伺いしましょう。

楓蓮お嬢様のメイド姿も……スマホに納めなければなりますまい

そして平八さんは「そろそろ戻らねば」と立ち上がると、俺はちょっと待ってと引き止める。
どう致しました?
あの、何で俺は評価低いんですかね?

 実はツイッタ上の評価に納得できない楓蓮であった。

 明らかに俺の「いいね」は他の奴らより少ないのだ。

良いアングルで撮らせてもらえませんからな
 ん? 本当にそれだけなのだろうか。
じゃあ。一枚だけ取ってくださいよ
 俺の提案にも顔色一つ変えない。だが「了解しました」とスマホをこちらに向ける平八さんは、マイ視点である俺の胸に固定された。
もう少し両手を寄せる感じで

 寄せて上げる感じだな。まぁいい。少しだけ平八さんと遊んでやろう。


 俺が平八さんの指示通りに動くと、上から胸元を覗き込みたいのか、首が伸びたように見えるぞ。

おぉ。いいですな。素晴らしい。

 やべぇ……その無表情で首を伸ばす平八さんに、すげぇ面白いんだけど。


 胸元を強調させるように前かがみになると、少しだけ顔を傾かせながらスマホでパシャリと取り始めた。

これは間違いなく、3000いいね。確定ですぞ

そこから白竹さんのクネクネよろしく、色んな角度からシャッターを押しまくる平八さん。口元が僅かに上がっており上機嫌なのが良く分かる。


そんな平八さんにちょっとイタズラをしたくなった俺は、わざとシャツの裾をパタパタとすると、一気に真下からのアングルに早変わりする。床に顔を擦りつけてるぞ。

も、もう少しパタパタできますか? 


四千……いや、五千八百いいね。か、確定……

 そんな事を言う平八さんに盛大に噴出してしまった。
さすがは神の乳を持つ麗華さんのご子息ですな。お見事なおっぱいでございました
では楓蓮お嬢様。もっと自分のおっぱいをご自愛なされい。今の評価は素材そのものだけの評価に過ぎませぬ。おっぱいを磨かれてこそ、更なる高みへと進むことが出来るのです
 平八さんはそういい残し、リビングがら姿を消すのであった。

 平八さんは色々と警戒しないとヤバイかもしれないぞ。

 ツイッター上に顔は載せてないけど、あまり気分のいいものではない。


 とは思うものの、ちゃっかり自分も撮って貰うという……

 

 いあ。だって俺の写真だけやたら「いいね」が少なすぎてだな……悔しいじゃないか!

 

 とにかく! 今日撮った写真が平八さんの予想通りだったら、俺も多分満足するだろう。

 

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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