本題

文字数 1,346文字

思いつきでインドの企業に転職した。

出世&高級取り街道まっしぐらなアメリカ外資系コンサルの仕事をやめて、インドに行く決心をしてしまった。

親も多分知らない。

もといた会社はアメリカ外資のアクチュアリー系のコンサル企業で、お給料はかなり良かったし、仕事の内容も結構好きで気に入っていた。だから(ほぼ)新卒で入った時には「10年は働こう」と思っていた。

コロナウィルスにより世界が混沌としていく様子を見て、「好きな国に自由に行けなくなる世界になるのかもしれない」と私は焦った。そんな焦りから「このまんまだと何があってもインドに住んだことのない日本人のままで一生を終えることになる。後悔することになるぞ。」と強く思い、一念発起して、インドに移住することにしてしまった。

運良く、すぐにインドの企業に入社できた。コロナによる国際線の関係で、今は日本からリモートで働いている。

日本の企業で真面目に働いた経験はない。日本の企業で働いた経験に一番近いと思うのが、会計事務所で大学4年間アルバイトをしていた事だろうか。
(ほぼ)新卒で入ったアメリカ外資は、働けばそれでいいと言った具合で勤務時間や場所、勤務態度などはかなり自由が認められていた。だから半沢直樹のようなドラマや島耕作のような漫画で見るような息苦しい世界を私は知らない。

私はインドで生活をして、「インドと日本のビジネスの違い」なんて本を書いたり講演をする人間になりたい。なのに、インドの企業に勤めて初めて気付いたのである。

「私は、日本の普通を知らない。」

両親はカメラマンだから、普通のサラリーマンの家庭をよく知らない。私自身数学科を中退し、なんとなくアメリカの企業に入社して、半年で辞めてインドの企業に流れ着いてしまったので、日本の普通の企業なんて、知らない。

インドを語る前に日本を知る必要が私にはあるのではないか。日本の普通ってなんだろうか。

そして、こうも思っている。
「インドの会社に入って二ヶ月経ったけど、商文化の違いを感じていない…」
確かに、日本の企業よりかは、はるかにビジネスに関する意思決定が早いと感じる部分はある。
また、日本と違って良くも悪くも「おおらか(おおざっぱ)」ではあると思う。
日本人が日常生活でも気になるような細かいところも、素通りで仕事が進んだりもする。
でも、それはその会社の問題であって、インドの会社だからじゃない。前のアメリカの企業も結構大雑把だったし、バイトをしていた会計事務所もあまりうるさいことは言われなかった。
ドラマや映画で見るうるさい会社は、勤めている人数が多すぎて従業員を管理するので精一杯で、会社の目的を忘れているだけなのかもしれない。

「インドに行くと人生が変わる、価値観が変わる。」と良く言われる。
私は過去に4〜5回もインドに行ったし、今はインドの企業に勤めているし、これからインドに住む予定である。

それなのに私の価値観も人生も全く変わっていない。これから先、まだまだインドに関わっていきたい。
その中に私の人生を変えるような出会いが待っているのかもしれない。出会わないのかもしれない。それでも私は残りの人生をかけてインドをもっと知っていきたい。
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