エピローグ 再訪の意義
文字数 882文字
漫画、アニメ、ゲーム、小説、ドラマ、あるいは、歌といったフィクションの物語の舞台背景、そして、そうした空間のモデルになっている実在している場所を訪れる〈物語の舞台探訪〉、こうしたフィールド・ワークに基づいた作品の分析、これが、僕のライフ・ワークの一つであり、実を言うと、このエッセイ「虚構の中の坂道」は、そうした壮大なテーマ『虚構の中の都市空間』の中でも、坂に特化したものである。しかもさらに、東京都の文京区・豊島区・新宿区の境界に位置している、神田川と関口台・目白台の間というエリアに題材を絞ったものになっている。この区域には、何本もの急坂が走っていて、その中でも、フィクションの中に出てくる坂だけをピックアップして叙述した次第である。
この〈関口台・目白台〉は、狭い領域であるにもかかわらず、『バンドリ!』、『ノルウェイの森』、『時をかける少女』、『冴えない彼女の育て方』など、さまざまな作品の中で繰り返し描かれてきた。それだけ描かれてきたということは、このエリアは、おそらく〈絵〉になるトポスとして魅力的なのだろう。そして、分析は未だなのだが、上記の作品以外にも、このエリアを背景にした作品も存在している。
とまれかくまれ、結果的に、〈関口台・目白台〉を題材に七本ものエッセイを書いたわけなのだが、この随筆を書くにあたって、作品を繰り返し観たり、何度も現地を訪れて、幾度となく坂を上り下りしてみた。そして、その度に、前回の訪問の際には気付かなかった新たな発見があったり、実際に現地を探訪した後に作品を観た際に、新たな気付きがあったりと、実に興味深い体験の連続であった。
そうした経験を通じて思ったことがある。
初訪問は、作品の舞台を初めて訪れた感動で心が一杯になってしまいがちで、細かい所にまで目が行き届かないものなのだ。
つまり、物語の舞台は〈再訪〉して初めて、舞台背景や作品の本質の理解が始まり得る。
だから、次に〈関口台・目白台〉の激坂を再訪した時、また何らかの新たな発見があるかもしれない。
ある場所は、一度訪れてそれで終わりということはないのだ。
この〈関口台・目白台〉は、狭い領域であるにもかかわらず、『バンドリ!』、『ノルウェイの森』、『時をかける少女』、『冴えない彼女の育て方』など、さまざまな作品の中で繰り返し描かれてきた。それだけ描かれてきたということは、このエリアは、おそらく〈絵〉になるトポスとして魅力的なのだろう。そして、分析は未だなのだが、上記の作品以外にも、このエリアを背景にした作品も存在している。
とまれかくまれ、結果的に、〈関口台・目白台〉を題材に七本ものエッセイを書いたわけなのだが、この随筆を書くにあたって、作品を繰り返し観たり、何度も現地を訪れて、幾度となく坂を上り下りしてみた。そして、その度に、前回の訪問の際には気付かなかった新たな発見があったり、実際に現地を探訪した後に作品を観た際に、新たな気付きがあったりと、実に興味深い体験の連続であった。
そうした経験を通じて思ったことがある。
初訪問は、作品の舞台を初めて訪れた感動で心が一杯になってしまいがちで、細かい所にまで目が行き届かないものなのだ。
つまり、物語の舞台は〈再訪〉して初めて、舞台背景や作品の本質の理解が始まり得る。
だから、次に〈関口台・目白台〉の激坂を再訪した時、また何らかの新たな発見があるかもしれない。
ある場所は、一度訪れてそれで終わりということはないのだ。