第19話:岩下の内輪での送別会

文字数 1,593文字

 そこで女の子二人組をターゲットに誘いはじめた、やっと一緒に飲んでくれる仲間ができた。名前は栄子さんと早苗さん、隣町の出身で電気関係の会社のOL入社二年目だとの事だった。
 彼女たちが、踊り疲れたというので、少し静かなスナックへと移動した。

 そこ店は、意外に空いていた。ちょっと奥の席に4人で座って乾杯した。続いて、場を盛り上げるために、その当時はやっていた「スカイハイ」を村下が、情熱的に歌った。うけて場が盛り上がってきた。次に彼女たちが、2人で、アバのダンシングクイーンで反撃に出た。リズム感も良く声もとおり、かなり遊び慣れてる様に感じられた。

 佐藤君に、何か歌えよと言うと、先輩、私、音痴でダメなんですよと泣き事を言っていたので歌を選んであげた。そして、我々二人で歌う事で、しぶしぶ歌い始めた。彼は、ビートルズが好きだという事で「イマジン」を歌った。何とか歌い終えた。すると佐藤君の演歌歌手の様な真面目な歌い方が、かえって好印象だったようだった。

 続いて彼女たち二人組が選んだのはアバの恋のウオータールーだった。歌が、あまりに上手なので、歌っている早苗さんのマイクをむりやり取り一緒に踊りだした。最初は。慌てていたが、すぐにリズムに乗って踊りだした。佐藤君も入って、大いに盛り上がった。次に気分を変えてサイモンとガーファンクルの「明日にかける橋」を歌った。

 これが他のお客さんにも大うけで、サイモンとガーファンクルの他の歌にも、リクエストが、来た位だった。次に彼女たちが続いて、またアバのマネー・マネー・マネーを歌いだした。これにはスナック中が、大変な盛り上がりで、他のお客さんも近くに来て、気さくに飲み物をおごってくれた。

 彼女たちに聞いてみると、歌は大好きで、特に栄子さんは、かなり歌いこんでいる様だった。 それに早苗さんが、誘われる様になったそうだ。そこで栄子さんに今、興味持っている歌手や歌を聴くと、洋楽が好きで、特に声のきれいな人が好きだと話した。

 最近、オリビア・ニュートンジョンが好きと言ったので、何か歌ってというとカントリーロードを歌ってくれた。これも非常に感動的な、歌い方で上手だった。私はお返しにサイモンととガーファンクルのコンドルは飛んでいくを歌った。彼女は、「そよ風の誘惑」で返してきた。そこで、また「ボクサー」で対抗した。

 佐藤君は、と言うと、かなり酔った様で、水を飲んでいた。スナックの中はというと、依然、
大盛り上がりで拍手の嵐。歌ってる者にとっては、答えられない、雰囲気だった。会場から、またアバを歌ってとの、リクエストが飛び出した。そこで彼女たちが選んだのは、マンマ・ミーアだった。周りのお客さんも、この歌に合わせて、踊りだした。

 彼女たちは、踊りながら、歌ったので、さらに、盛り上がった。遅くなったので、帰ろうという事になり、会計をお願いすると、マスターが、いえ結構ですと言ったのだった。マスターが、あの窓際の女性が、みんなの分は、私につけておく様に、言ったんですとの返答だった。そこで窓際の女性の方へ行き、お礼を述べた。

すると、彼女は、こんな楽しい夜は、久しぶりと、喜んでいた。少し、お話を聞いてみると、少し前に、旦那さんに、先立たれたと語った。そして、長岡の中心街で、数十年も商売をしていたんですが、やる気が失せて、店を閉めた様だった。旦那さんの残してくれてた蓄えで、今は悠々自適に過ごしている様子だった。

 たまに、この店にも来るのよと言っていた。若い人の元気をもらって、長生きするためよと笑っていた。だから私こそ、あなた方に、お礼を言いたいわ楽しい時間をありがとう。なんと素敵な言葉だろう。久しぶりに熱いものがこみ上げてた。涙を見られない様に、その場を去った。席に戻り事の顛末を全て、みんなに話した。全員で窓際の女性に、お礼を言い、失礼した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み