第20話:薫子との再会と積もる話

文字数 1,693文字

「その時のキリッと男らしい清水君を見て身震いしたのを今でも思い出すと述べた」
「柔道してる格好いい清水君に、抱かれたいと思った位よと打ち明けた」
「笑いながら、もう遅いよ、なんで、あの時言ってくれなかった話した」
「もし言ってくれたら、一緒になっていたかも知れないのにと言った」

「薫子が、信じられない、冗談でしょと言い、声を殺して笑った」
「なぜ、あの時、君が好きだと言ってくれなかったのと薫子が清水の肩をたたいた」
「清水が、人生って、えてして、そんなものかも知れないなと、静かに言った」
「その後、清水が、薫子に、高校卒業し、地元の大手銀行に入行し給料も多かった」

「そして、優秀な男達が周りにいたのに銀行で旦那さんを捜さなかったのかと聞いた」
「当時の銀行は、新規口座獲得や販売競争が熾烈を極めて体を壊す人も多かった」
「そんなのを見ていると、同じ銀行人と結婚する人は、少なかったと語った」
「でも何故、金沢の水道屋の息子さんと結婚する気になったのと薫子に聞いた」

 それに対し入社4年目、22歳、銀行の社員旅行で金沢の有名温泉旅行へ2泊3日で来た時、偶然にも隣の部屋で金沢の商売人の飲み会があった。その時、軽部と初めて会った。
 その晩、旅行の宴会の2次会で同じホテルのカラオケで、再び一緒になり、軽部が、薫子に一目惚れして、住所と電話番号を教えてくれと、せまられて教えた。

「その後、度々、手紙が届き、毎年、横浜に行くから会って欲しいと書いてあった」
「1対1は、嫌と、言うと、友人と2人で来て、薫子は友人の節子と2人で会った」
「その後、軽部の情熱に負け銀行を退社し金沢の軽部商店に嫁いだと打ち明けた」
「つまり軽部さんの情熱に、ほだされ結婚したって訳かと清水が聞いた」

「すると、そうと静かに答えたでも、その後、後悔したと語り始めた」
「結婚後、軽部さんを本当に好きで結婚したのかどうかと迷い始めたと話した」
「結婚後、悩み、何度、別れて横浜の家に帰ろうかと涙を浮かべ語った」
「実家の両親の事を考えると帰れず子供を授かると、遂に、あきらめたと言った」

「子育てと店の仕事、育児で、手一杯になり、あっという間に40年が過ぎた」
「その間、軽部は、愚痴ひとつ言わず一生懸命に働いてくれ本当にありがたかった」
「そして、地元での信用も勝ち得て、少しずつ資産も増えた」
「やがて軽部の両親も亡くなり自分の子供達2人も家を出たと寂しそうに言った」

「その後、冬の寒い日、旦那の車が、仕事中、滑って電柱にぶつかって亡くなった」
「死因は、頭部外傷で即死だったが、大雪で、軽部の車が見つからなかった」
「翌日の昼、雪が解け、軽部の遺体が見つかった時、呆然としたわ」
「そりゃー大変だったねと言うと、首をたてに振った」

「その後、軽部の両親が、亡くなり、金沢に娘1人しかいないと語った」
「余りに気が動転し、川か、日本海に身を投げて死のうかとも思った」
「でも、可愛いい孫の顔が浮かび死ねなかったと言うと清水の目にも涙が浮かんだ」
「よく頑張ったと言い、その気持ちよくわかると、清水は、薫子の肩を抱いた」 
 そんな話をしていると、22時となった。

「清水が、明日が、金沢、最後の夜だから明日も、また話をしようと言った」
「その後、今日は、もう遅いからと言い清水がタクシーを呼んで薫子が帰った」
「薫子を見送り清水は、自分の部屋に戻り、ウイスキーを飲んで眠りについた」
 翌日は、9時に起きて少し飲みすぎ酒が残っていた。

 そこでホテルの周辺を30分程、散歩して、多少、汗をかくと頭がすっきりとした。その後、ホテル近くのカフェでモーニングセットを食べてホテルの部屋に戻り風呂に入った。まだ眠さが残り、ウトウトしてベッドに入って目が覚めると11時となっていたので、ホテルを出て、香林坊へ向かった。

 香林坊について金沢21世紀美術館に入った。無料エリアだけでも、こんなに楽しいのかと思うほどだった。洗練されたデザインの空間に人の集まるイベントやワークショップも開催されていた。この日もイベントをやっていたので、のぞいてみたが、多くの観光客が来ていて、にぎわっていた。
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