第48話 曽我水軍
文字数 654文字
「わたしもいろいろ考えたのだけど、真砂 の曽我 水軍を頼ろうと思う」
「真砂の、曽我水軍とな……」
結城は顎に手をやり、考え深げにつぶやいた。
真砂は海に沿った隣国で、草薙とは代々友好関係にある。
「曽我水軍を頼るとは、いかがされるおつもりですか」
「まず曽我家当主に船を貸してくれるよう文を書く。返事が来たら、わたしが出向いて直接お頼みするつもりだ」
「船を借りるのでございますか。しかしわれらは船の扱いなど……」
違う違う、と隼人は顔の前で手を振った。
「船だけ借りてもわたしたちには操る技術がない。わたしが考えているのは、草薙の兵を分散させ、少人数ずつ曽我水軍の船に乗せて羅紗の港まで運んでもらえないか、ということだ。もちろん船賃はきちんと支払って」
「なるほど」
「もともとわれらは陸の軍だ。羅紗の港についたら船を降り、後は陸路を行けばよい。帰りは再び曽我の船に乗せてもらえるよう取り計らっておく」
曽我水軍がどれだけ草薙の兵を運んでくれるかはわからないが、交渉してみる価値は充分ありそうだ。
まずは曽我家当主に文をしたためなくては。
当主の曽我 兼光 は父が生きていた頃、何度か会っている。義に厚く思慮深い、信頼に足る武将だ。
そうと決まれば今日の軍議は終わりだ。
船賃はいくらかかるやら……という結城のつぶやきは聞こえないふりをして、隼人は立ち上がった。
「真砂の、曽我水軍とな……」
結城は顎に手をやり、考え深げにつぶやいた。
真砂は海に沿った隣国で、草薙とは代々友好関係にある。
「曽我水軍を頼るとは、いかがされるおつもりですか」
「まず曽我家当主に船を貸してくれるよう文を書く。返事が来たら、わたしが出向いて直接お頼みするつもりだ」
「船を借りるのでございますか。しかしわれらは船の扱いなど……」
違う違う、と隼人は顔の前で手を振った。
「船だけ借りてもわたしたちには操る技術がない。わたしが考えているのは、草薙の兵を分散させ、少人数ずつ曽我水軍の船に乗せて羅紗の港まで運んでもらえないか、ということだ。もちろん船賃はきちんと支払って」
「なるほど」
「もともとわれらは陸の軍だ。羅紗の港についたら船を降り、後は陸路を行けばよい。帰りは再び曽我の船に乗せてもらえるよう取り計らっておく」
曽我水軍がどれだけ草薙の兵を運んでくれるかはわからないが、交渉してみる価値は充分ありそうだ。
まずは曽我家当主に文をしたためなくては。
当主の
そうと決まれば今日の軍議は終わりだ。
船賃はいくらかかるやら……という結城のつぶやきは聞こえないふりをして、隼人は立ち上がった。