元冒険者、釣りをする、そして伯爵令嬢を拾う

文字数 892文字

 ファズリーに住み始めて1ヶ月が経過した。
 1ヶ月もすれば色んな事が慣れてきた。
 畑の方は順調に作物は育っていて収穫も後少しだ。
 ケイマ村とシイナ町とは定期的に交流をしている。
 男の一人暮らしは大変だろうから、おばさん達から野菜とか色々もらう。
 貰ってばっかりではしょうがないので村の手伝いもしている。
 ケイマ村もシイナ町も、若い男女が足りないらしい。
 やはり若者達は王都に行ってしまうそうだ。
 戻ってくる者もいるが大体何か挫折して心が折れている者が多い。
 俺がそうなんだから間違いない。
 まぁ、俺の場合は帰れる故郷も無いんだけどな!
 そんな事は良いとして、今日はのんびりと魚釣りをする為にバケツと釣竿を持って近くの川に行く。
 餌は現地調達、小さな虫を捕まえて釣り針につける。
「準備完了、と。さて、何が釣れるかな?」
 数分後に釣竿に手応えを感じて引くと小魚をゲット!
 記念すべき獲物第1号だ。
 その後も小魚をゲットしていつの間にかバケツ一杯の小魚をゲット出来た。
「上出来上出来、今夜は魚尽くしだな・・・・・・、ん?」
 上流から小舟が流れてきた。
 小舟は微妙に揺れている。
 この時、冒険者の感が働いた。
 すぐに俺は川に入り小舟を陸地に引き寄せた。
 小舟の中を覗くと・・・・・・。
「んーっ!! んーっ!!」
 手首両足を縛られ口にもテープが貼られ涙目の女の子がいた・・・・・・。
 えっ、どういう事?
 とりあえずテープをゆっくりと剥がした。
「ぷはぁ・・・・・・、はぁはぁ・・・・・・、あ、ありがとうございます。このまま流されてしまうかと思っていました。」
「そりゃあ大変だったな、あ、俺はレッドと言うんだが、あんたは?」
「私『ミラーゼ・エルヴィル』と言います。ラズリ王国に属する伯爵家の娘です、元ですが・・・・・・。」
 元?
 どうやら色々あるみたいだな・・・・・・。
「よかったら家に来ないか? 話だけなら聞いてやるぞ。」
「・・・・・・よろしいんですか?」
「あぁ、どうせ暇だからな。」
 俺はミラーゼを背負って屋敷へと戻った。 
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