第16話 パソコン(1) PC
文字数 1,122文字
ゲーテがバルサーモ家を騙してから、すでに一週間が経過した。それ以降、一向に、カミーラについての情報が入ってこない。ニーチェは、それとなく焦っていた。今頃は、本部の方で、移住先を見つけてくれているのだろうか。それとも、まだ、本部にいるのだろうか。もしかしたら、これから、第一研究所に移送されて、自分たちが、責任を持って、移住先を見つけるのかもしれない。
前回は、こうしてGRC本部を信頼していたがために、カミーラを危機に陥らせてしまったのだ。ニノ轍は踏まない。早々に、確認をしなければならない。
最初は、機会を見て、ゲーテに聞こうと思った。だが、最近は忙しそうだ。別の依頼が入っているのか、ほとんど他の団員といたり、外出したりしている。聞く時間もない。
となると、友達が二人しかいないニーチェには、選択肢が一つしかない。ニーチェは初めて、クリスティアーネが自分の部屋へ来ることを待ち望んだ。
クリスティアーネはその夜、いつものように、小さな音で扉を叩いた。それから、満面の笑みを浮かながら、忍ぶようにしてニーチェの部屋へと入ってきた。
「あらん。今日はどうしたのーん?」クリスティアーネはコミュニティ能力が高い。すぐに、ニーチェの様子がいつもと違うことに気づいた。
ゲーテやクリスティアーネだったら、軽快な小話から話を始める。だが、ニーチェには話術がない。クリスティアーネがベッドに座るなり、単刀直入に、本題へと入った。
「クリス。聞いてくれ。カミーラについての情報を知らないか?」クリスティアーネは、ニーチェの太ももに置こうとした手を止め、考えた。
「カミーラ? 女吸血鬼のこと? 私のところには、本部に移送されて以降、その話は入ってきてないわねー」
事務管理を一括しているクリスティアーネでも何も知らない。なるほど。ニーチェは気がついた。依頼者の十二貴族を騙している関係上、裏でこっそりと情報を処理しているのかもしれない。ということは、やはり、当事者で幹部のゲーテに聞くしかない。ニーチェは、ゲーテに会うタイミングを見計らうことにした。
「わかった」ニーチェは立ち上がった。いつものように、窓から外を見る。夜の闇は、どこまでもいっても、ただ、暗い。
「待って」その手首を、クリスティアーネが掴んだ。
ニーチェは振り向いた。クリスティアーネは、艶かしい目をしている。
「どうしても知りたいの? なら、私、GRCのデータベースから調べようか?」
「出来るのか?」ニーチェは少し屈んで、クリスティアーネの両肩を掴んだ。
「ええ」クリスティアーネは、たっぷりとニーチェと視線を絡ませた後、少し顔を近づけた。
「いらっしゃい」立ち上がり、総務室へとニーチェをいざなう。
前回は、こうしてGRC本部を信頼していたがために、カミーラを危機に陥らせてしまったのだ。ニノ轍は踏まない。早々に、確認をしなければならない。
最初は、機会を見て、ゲーテに聞こうと思った。だが、最近は忙しそうだ。別の依頼が入っているのか、ほとんど他の団員といたり、外出したりしている。聞く時間もない。
となると、友達が二人しかいないニーチェには、選択肢が一つしかない。ニーチェは初めて、クリスティアーネが自分の部屋へ来ることを待ち望んだ。
クリスティアーネはその夜、いつものように、小さな音で扉を叩いた。それから、満面の笑みを浮かながら、忍ぶようにしてニーチェの部屋へと入ってきた。
「あらん。今日はどうしたのーん?」クリスティアーネはコミュニティ能力が高い。すぐに、ニーチェの様子がいつもと違うことに気づいた。
ゲーテやクリスティアーネだったら、軽快な小話から話を始める。だが、ニーチェには話術がない。クリスティアーネがベッドに座るなり、単刀直入に、本題へと入った。
「クリス。聞いてくれ。カミーラについての情報を知らないか?」クリスティアーネは、ニーチェの太ももに置こうとした手を止め、考えた。
「カミーラ? 女吸血鬼のこと? 私のところには、本部に移送されて以降、その話は入ってきてないわねー」
事務管理を一括しているクリスティアーネでも何も知らない。なるほど。ニーチェは気がついた。依頼者の十二貴族を騙している関係上、裏でこっそりと情報を処理しているのかもしれない。ということは、やはり、当事者で幹部のゲーテに聞くしかない。ニーチェは、ゲーテに会うタイミングを見計らうことにした。
「わかった」ニーチェは立ち上がった。いつものように、窓から外を見る。夜の闇は、どこまでもいっても、ただ、暗い。
「待って」その手首を、クリスティアーネが掴んだ。
ニーチェは振り向いた。クリスティアーネは、艶かしい目をしている。
「どうしても知りたいの? なら、私、GRCのデータベースから調べようか?」
「出来るのか?」ニーチェは少し屈んで、クリスティアーネの両肩を掴んだ。
「ええ」クリスティアーネは、たっぷりとニーチェと視線を絡ませた後、少し顔を近づけた。
「いらっしゃい」立ち上がり、総務室へとニーチェをいざなう。