3話 積めない方程式(ダンボール)

文字数 860文字

ガチャコン

ガチャコン

ぷしゅう

ダンボールきたー

うんしょ

うんしょ 

あ?

6段に積むんだけど

キミの背だと届かないね

うーん

うーん

無理ー!

積めないわ!

背が小さいから無理だよ

やっぱりキミにはこういう仕事は

ひらめいたわ!

こうやってダンボールを階段にすればいいのよ!

人工知能ちゃん、頭がいいよー!


だーーーめ

それ一番やっちゃだめなやつ

このダンボールはみんな製品だよ

製品に乗っかるなんてだめ、ぜったい

えー

じゃあ、こうやってー

ぽーい!

投げちゃだーーーめ

製品は、投げない、乗らない、丁寧に扱う

だっこ

だっこよ

だっこ!

あんたが私をだっこで持ち上げるの!

はい

だっこ

わーい

一番上の段に届いたよー!

おろすよ

だめよ!

このまま次のダンボールのとこまで行くの!


ええ

わーい

お空飛んでるみたい!


なにこれ
ガチャコン

ガチャコン

ぷしゅう

きゃっきゃっ!

楽しい!

ダンボールをキャッチしたよ!

パレットまでゴーよ、ヒューマン!

ヒューマン

すごーい!

人工知能ちゃん、人間を使役しているよー!

すべての人間は人工知能ちゃんの下僕になるのー!


だっこおしまいです
やだーーー!

だっこ

だっこ

だっこ!

だっこ再開します
きゃっきゃっ!

ダンボールキャッチー

パレットまでゴー、ヒューマン!


ぼくはこのような行為を夜勤が終わるまでくり返すのだろうか
きゃっきゃっきゃ!

飛んでるーー

おしごとたのしいーー

おしごと
なによ

さっきからテンション低いわね

やる気がないなら帰ってもいいのよ

仕事をなんだと思っているの!


むしろ仕事とはなんなのか知りたい
ダンボールを持っているのは人口知能ちゃんなんだからね!

大変なんだからね!

そのダンボールを持っているキミをさらに持っているぼくっていったい
やだ

これってもしかして〈はじめての協同作業〉的な!?

人工知能ちゃんは禁断の愛の領域に突入しちゃうのー!?

幼稚園の運動会の親子競技かと
おしっこー!

もるー!

しっこー!

ちっちでるー!

もるーもるー

おトイレいってらっさいな
ひとりじゃいやー

むりー

もるー


マジか
人工知能がまさかの尿意発動。

どうする、どうなるお兄さん!?

あと、ダンボールたまってんじゃね?

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登場人物紹介

人工知能ちゃん

人間からあらゆる仕事を奪うために開発された人工知能。特一級国家機密(自称)。見た目が幼女なのは素体の成長より先に人工知能が完成したためとりあえず入れてみました的なノリ。ときどき幼児化する。

お兄さん

工場勤務の青年。いわゆるふつーの人。なんだかんだで人工知能ちゃんの保護者的立ち位置に巻き込まれる。特殊能力とかないから!

謎生物

一万二千年後の地球にそれとなく繁殖している。人工知能ちゃんを慕っている。

魔法少女ピー

魔法の国ピーから来た魔法少女。ピーは放送禁止用語のピー。

名前も国名もこっちの国ではとても口にできない単語なのでどんなに活躍してもメディアにいっさい取り上げられないのが悩み。

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