7話 猛進する首無しライダー
文字数 1,705文字
「アルバ!! 無理矢理止める必要ないぞ。そうだな、保安官の車を狙って止めろ」
中々思うように車に停止をさせることが出来ないアルバに冴木はそう声をかける。
「わかりました!!」
アルバは冴木の助言通り赤色灯を車の上につけた保安官の車を狙って停止を求める。
法定速度の60kmで走る保安官の車はアルバの合図を見てすぐに理解、徐々にスピードを落としやがて停止した。
「やりました!!」
「よし」
冴木は止まったことを確認すると今まで止めていた一番端の車線を解放、車を流し始めた。
時刻は気づけば11時。その間にもゴブリン水道の工事は進んでいき、既に穴を掘る作業は終わり、穴の中に入り水道管の交換作業をしている。
「このまま行けばあと3時間ちょいで終わるな」
冴木はふと車線の奥の方を見る。車は少しだが減り始めていた。
しかし、アルバがいる車線のずっと先の方にバイクに乗った不審なライダーがいるのがわかる。
そのバイクに注目しよく観察すると、ヘルメットを被っていない、というよりは首がない。
「アルバちょっとこっち来てくれ!!」
「わかりました」
アルバは同じ要領で車を止めると右車線にいる冴木と場所を交換する。
「首がないってことは顔もないんだよな」
冴木はそう呟く。
既に首無しライダーは僅か100m先、およそ時速70kmのスピードで真っ直ぐ進んでくる。
ようやくそれに気付いたアルバは冴木に声をかける。
「冴木!! 首無しライダーは目がありません。感覚で運転してるんです!! なので工事のような非常事態は全く想定せず走ってます!!」
「やっぱり……どうする……」
冴木は一人考える。しかし首無しライダーは待ってはくれない。
目前まで全くスピードを緩めない首無しライダー。
冴木は咄嗟に両手を地面へ。そしてその両手に力を込めその両手を上へ上げる。
すると冴木の目の前にコンクリートのジャンプ台が建造される。
首無しライダーはそのジャンプ台に知らず知らずのうちに乗り上げそのまま20mほどの工事帯を飛び越えた。
「おい!! なんか飛んできたぞ!?」
タケヤマの怒号が鳴り響く。それと共にタケヤマが冴木の元へ走ってくる。
「問題ないので大丈夫です」
冴木はすかさずそう答える。
「なら。いいがよ。あー、あと二時間弱くらいで終わるからな。頼むぞ」
タケヤマはそう言うとまた工事帯へ。
冴木とアルバはしばらく二車線の道路で交互通行をしていると、遠くの方からサイレンの音が聞こえてくるのがわかった。
「アルバ!! そこからサイレン鳴らしている車見えるか?」
「私の車線に救急車が走ってきてます!!」
「わかった!! こっちの車線の車を止めるからまだ少し止めといてくれ」
冴木はそう言うと前から続々と走ってくる車に注目。前から何台も来るのは黒塗りの見るからに高そうな車、乗っているのは明らかにヤクザ。それもこの工事帯に気づくとクラクションの嵐を鳴り響かせる。
「関わりたくないのが来た……」
止まることを知らない生粋の暴れ馬が迫る、しかし、サイレンを鳴らした救急車はアルバのすぐそこまで来ている。
無論、止めなくてはならないのはこのヤクザ。
「建造を使うにもこのヤクザの車の列じゃ許容限界だ……」
そう冴木の得た建造というスキルは何も万能な訳ではない。もし無限に建てることが出来るならその力で車線上に橋をかけるだろう。
冴木の建造には二つの制限がかけられている。
一つは時間。建造した物が10分以上経過するとそれはこの世界から跡形もなく消失してしまう。
そして二つ目は量。一定量の物を建造すると後から建造したものから徐々に崩れて消失してしまう。
冴木はあらかじめそのことを知っていた訳ではないが、工事最初にアルバの目の前に建てたコンクリートが消失していたことと、首無しライダーのジャンプ台を建造した時に新しくコンクリートの床が建造出来なかったことからそれを理解したのだ。
「よし……轢かれよう」
中々思うように車に停止をさせることが出来ないアルバに冴木はそう声をかける。
「わかりました!!」
アルバは冴木の助言通り赤色灯を車の上につけた保安官の車を狙って停止を求める。
法定速度の60kmで走る保安官の車はアルバの合図を見てすぐに理解、徐々にスピードを落としやがて停止した。
「やりました!!」
「よし」
冴木は止まったことを確認すると今まで止めていた一番端の車線を解放、車を流し始めた。
時刻は気づけば11時。その間にもゴブリン水道の工事は進んでいき、既に穴を掘る作業は終わり、穴の中に入り水道管の交換作業をしている。
「このまま行けばあと3時間ちょいで終わるな」
冴木はふと車線の奥の方を見る。車は少しだが減り始めていた。
しかし、アルバがいる車線のずっと先の方にバイクに乗った不審なライダーがいるのがわかる。
そのバイクに注目しよく観察すると、ヘルメットを被っていない、というよりは首がない。
「アルバちょっとこっち来てくれ!!」
「わかりました」
アルバは同じ要領で車を止めると右車線にいる冴木と場所を交換する。
「首がないってことは顔もないんだよな」
冴木はそう呟く。
既に首無しライダーは僅か100m先、およそ時速70kmのスピードで真っ直ぐ進んでくる。
ようやくそれに気付いたアルバは冴木に声をかける。
「冴木!! 首無しライダーは目がありません。感覚で運転してるんです!! なので工事のような非常事態は全く想定せず走ってます!!」
「やっぱり……どうする……」
冴木は一人考える。しかし首無しライダーは待ってはくれない。
目前まで全くスピードを緩めない首無しライダー。
冴木は咄嗟に両手を地面へ。そしてその両手に力を込めその両手を上へ上げる。
すると冴木の目の前にコンクリートのジャンプ台が建造される。
首無しライダーはそのジャンプ台に知らず知らずのうちに乗り上げそのまま20mほどの工事帯を飛び越えた。
「おい!! なんか飛んできたぞ!?」
タケヤマの怒号が鳴り響く。それと共にタケヤマが冴木の元へ走ってくる。
「問題ないので大丈夫です」
冴木はすかさずそう答える。
「なら。いいがよ。あー、あと二時間弱くらいで終わるからな。頼むぞ」
タケヤマはそう言うとまた工事帯へ。
冴木とアルバはしばらく二車線の道路で交互通行をしていると、遠くの方からサイレンの音が聞こえてくるのがわかった。
「アルバ!! そこからサイレン鳴らしている車見えるか?」
「私の車線に救急車が走ってきてます!!」
「わかった!! こっちの車線の車を止めるからまだ少し止めといてくれ」
冴木はそう言うと前から続々と走ってくる車に注目。前から何台も来るのは黒塗りの見るからに高そうな車、乗っているのは明らかにヤクザ。それもこの工事帯に気づくとクラクションの嵐を鳴り響かせる。
「関わりたくないのが来た……」
止まることを知らない生粋の暴れ馬が迫る、しかし、サイレンを鳴らした救急車はアルバのすぐそこまで来ている。
無論、止めなくてはならないのはこのヤクザ。
「建造を使うにもこのヤクザの車の列じゃ許容限界だ……」
そう冴木の得た建造というスキルは何も万能な訳ではない。もし無限に建てることが出来るならその力で車線上に橋をかけるだろう。
冴木の建造には二つの制限がかけられている。
一つは時間。建造した物が10分以上経過するとそれはこの世界から跡形もなく消失してしまう。
そして二つ目は量。一定量の物を建造すると後から建造したものから徐々に崩れて消失してしまう。
冴木はあらかじめそのことを知っていた訳ではないが、工事最初にアルバの目の前に建てたコンクリートが消失していたことと、首無しライダーのジャンプ台を建造した時に新しくコンクリートの床が建造出来なかったことからそれを理解したのだ。
「よし……轢かれよう」