第1話

文字数 1,265文字

はじめに
このお話は本当にあったことも書いてあります。それがどんなことか、良かったら考えながら読んでみてください。不思議なことは案外近くにあるのかもしれません。

【 二匹の不思議な猫】

まりん、みさき、ゆうなは仲良し三姉妹です。
まんまるで大きな満月の夜でした。
おじいちゃんの家で夜ご飯をご馳走になり、三人はお母さんが運転する車に乗って家に帰ってきました。
お母さんは先に車を降りて玄関の鍵を開けに行きました。
小学校の六年生のまりんと四年生のみさきは、チャイルドシートに乗っていた三歳のゆうなのシートベルトを外して車から降りるお手伝いをしてあげています。
まんまるお月様の光がとても綺麗に辺りを照らしていました。
その時ゆうなが
「猫ちゃん!」
と叫びました。
見ると二匹の猫が夜道を並んでゆっくり歩いています。
でも、なんだか変です。
二匹とも、尻尾が一メートルくらいあります。体も、やけに大きく見えます。
「こんな長い尻尾の猫見たことないね」
とみさきがひそひそと小さな声でまりんにいいました。
まりんも黙って頷きました。
すると突然ゆうなが猫に向かって駆け出しました!
「猫ちゃん、触りたい!」
みさきとまりんは大慌て!
急いでゆうなを追いかけました!
まりんとみさきが同時にゆうなの服を掴んで連れ戻そうとしました。その時、ゆうなの手が猫の尻尾の先に触れました。
途端にあたりが霧に包まれたようにサーッと真っ白になりました。
段々と辺りが見えるようになったかと思うと、いつの間にか三人は広い広い草原の真ん中にいました!たくさんの猫じゃらしが風に揺れています。
三人がびっくりして立ち止まっていると、二つの影が目の前に現れました。

よく見るとその影は、先程の二匹の猫でした。
一匹は灰色、もう一匹は真っ黒でした。
二匹とも二本の後ろ脚で人間のように立って歩いています。
灰色の猫が、言いました。
「困ったわねぇ」
どうやらメス猫のようです。
真っ黒い猫も言いました。(こちらはオスのようです)
「ダメじゃないか!ついて来たりしたら!」
「!‥猫が喋った!!」
驚いたみさきが思わず言いました。
二匹の猫は顔を見合わせてニャフニャフと笑いました。
「私達、もう五十年も生きてますからね。猫は長生きすると、二本足で立てるようになるし、人間の言葉も喋れるようになるし、人間の姿に化けることもできるのよ」
灰色の猫が教えてくれました。
「そ、そうなんですか」
まりんはちょっとビクビクしながら答えました。なにしろ後ろ足で立ち上がった猫達はとても大きく、四年生のみさきと同じくらいの背丈です。
「すみませんでした。あの、私達すぐに帰りますから!」
まりんがそう言うと二匹の猫が顔を見合わせました。
そして灰色のメス猫が言いました。
「でもねぇ。道はもう閉じてしまったわ」
「残念だが、女王様にお伺いしないと帰り道を案内できないんだよ」
黒いオス猫も言いました。
「ついてらっしゃい!案内してあげる」
そう言うと猫達は一匹ずつゆうなの右手と左手を手に取りズンズンと道を歩き始めました。
まりんとみさきは慌ててその後を追いかけました。
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登場人物紹介

長女まりん、勉強もスポーツも得意な小学六年生。ヘアスタイルはショートカット。

次女みさき、歌が好きでゲームが得意な小学四年生。ヘアスタイルはポニーテール。

三女ゆうな、天真爛漫な三歳児。いつも思いついた閃きをすぐ行動に移すので事件に巻き込まれる。ヘアスタイルは二つ結び。

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