08.【Let's Play a Prank on...】
文字数 2,992文字
無駄に上から目線な言葉に、なぜか勝ち誇ったような笑顔。思わずブレインの背筋は凍り付く。
――そしてその一部始終を、飛行理論の教科書を眺めるふりをしながら聞いていたエイミーは、柑菜に個人チャットで一言、こんな文言を送るのだった。
周囲は外のはずなのに、視界を黒い絵の具で塗りつぶしたみたく真っ暗。しかし狼狽える彼女の口がもう一度動く隙すら与えず、彼女の目の前に点々と光が現れる。――それは、空中に浮かぶ幾つもの不安定な青白い炎だった。
傍から見れば一周回って幻想的な光景に見えたかもしれない。が、彼女にとっては違う。
言い切る前に彼女の肩を誰かが掴む。
……どっちなんだ? 実態を持った教官の怨霊? いや、もしかしたら何かの間違いでブレインが――? 二つの予想が脳内でせめぎあう――どちらかといえば後者が優勢な――中、彼女は恐る恐る首を捻る。
……彼女の目に映るは、暗闇の中で目の前ほぼゼロ距離で浮かぶ、二つの口。