第1話 水木カナエは修行中~現代の忍者見習い~「プロット」

文字数 2,003文字

起)昔ーー何百年も前から存在していた本物の忍者は、時代と共に姿を消したはずだった。
 しかし、人知れず忍者の流派は続いていた。
 水木カナエはそんな忍者の末裔(まつえい)
 幼い頃から忍者になる為の修行を()んできた。
 カナエは小学六年生の今、忍者の末裔や忍者を目指す者が多く集められた学園を受験することになった。

承)入学試験は筆記と面談と実技。一般人の生徒は筆記と面談だけだが、忍者と関係ある受験生は実技試験もあるのだった。
 実技は体力と智力と協力が勝負の鍵を握るとも(うわさ)されている。
 実技試験の場所は体育館。
 しかし、体育館近くの校舎にある、女子更衣室でジャージに着替えるときに、敵対する流派の末裔である受験生達が、喧嘩(けんか)を始めたのだ。
 カナエは弱小流派の末裔なので、特に敵対している流派はなく、早々に着替えて女子更衣室から出てきた。
 男子更衣室の中からも、騒がしい音が聞こえてくる。
 同じように更衣室から出てきた受験生と共に更衣室の前で様子を伺っていると、5分もしないうちに更衣室の中が静かになった。
 ーーと、その直後。
「倒された者、逃げ遅れて巻き込まれた者は失格。今から受験番号を呼ばれた者は至急体育館に集合です」 
 とのアナウンスが流れてきた。
 どうやら更衣室には防犯カメラが仕掛けられていたようだ。
 カナエも番号を呼ばれたので、急いで体育館へと向かう。
 男子更衣室からも番号を呼ばれたらしい男子生徒達が出てきた。
 そこにはカナエ幼馴染みである土田(しょう)の姿もあった。一緒に受験にきていた翔の無事を知って、カナエは安心した。

転)カナエと(しょう)を含む残った受験生達が体育館に着くと、試験官の先生と、この学校の生徒が20数人ほど体育館の中で待機していた。
 試験官の先生は無情にも言った。
「実技試験は団体戦。残った受験生達は、この体育館の中にある10枚の密書(みっしょ)を探し出し、在校生より1枚でも多く、私のところに持って来るように。互いに妨害はありだから。力を合わせて密書を見つけ出してちょうだい。これが最終試験だから受験生達は頑張って」
 各して、試験は始まった。
 まずは10分ほどの作戦会議。妨害班と捜索班にわかれて在校生より1枚でも多くの密書を見つけ出さなくてはならない。基本2人1組で行動。
 カナエと翔のように同じ流派から何人かで受験に来ている者、1人で来ている者、様々(さまざま)だ。
 カナエと翔は1組になって、密書を探すことになった。
 忍者というものは、ときには流派を越えて協力しなければならない場合もある。
 だから流派が敵対しているからと言って受験中に喧嘩(けんか)など論外(ろんがい)なのである。
 しかし、喧嘩していた流派の者も男女共に何人か残っていた。まだ微妙にいがみ合あってはいたが。
 そして、験生達は力を合わせて密書を5枚まで見つけだした。が、在校生も5枚の密書を見つけ出していた。

結)最後の1枚。それが中々見つからない。だが、喧嘩をしていた流派の男子生徒の1人が(ひらめ)いた。
 その男子生徒は捜索役だったが、在校生の妨害役を買ってでた。
「弱小流派やほぼ素人の者達に最後の密書を託すのは少々不安だが、在校生の相手は俺達有名処の忍者見習いじゃないと務まらないだろうからな」
 あまりの上からの物言いに、カナエと翔を含む弱小流派の受験生達、どこの流派にも所属してないが忍者を目指す受験生達は怒りに肩を震わせたが、まずは力を合わせることが大事だと思い、最後の一枚を手に入れるべく、試験官である先生の座っている椅子へと向かった。
「先生! 失礼します!」  
 カナエが先生に声を掛けると翔達受験生数人で先生を抑えつけ、椅子から引きずり下ろす。
 そこには6枚目の密書があった。
「先生! 最後の密書です! どうぞ!」
 カナエはしっかりと密書を掴んで、椅子からずり落ちている先生に渡した。
 残りの5枚は既に渡してあった。
 こうして、どうにかカナエと翔の達受験生は最後の試験を突破した。
 ーーが、後日、カナエの元には補欠入学の知らせが入ってきた。
 どうやら筆記試験の点数が微妙に足りなかったらしい。
 カナエが合格出来たのは、最終試験で最後の密書のありかを見つけた受験生が合格を辞退したからだった。
 ライバル流派の者と共に学ぶのはどうにも我慢が出来なかったらしい。
 ともあれカナエは補欠といえど、目標だった学園へと入学出来た。
 但し、カナエは師匠である両親と祖父母に、勉強不足だと烈火(れっか)(ごと)く怒られた。
 両親も祖父母も、幼馴染みであは翔が普通に合格したのに、カナエが補欠だったことを情けなく思ったのだ。
 そして、カナエは……入学までのあいだ、厳しすぎる修行を課せられてしまったのだ。翔も修行に付き合ってくれたが、それでも厳しさは変わりはしない。
 カナエは入学までに知識も体力も増えたものの、入学式には翔に肩をかして貰いながらどうにか学校まで歩いて行ったのだった。
 
 
 
 
  
  
 
 
 
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