第43話

文字数 688文字

二人は山を奥へ奥へと駆けていた。すると、遥か遠くから雄叫びが轟いた。
「こっちに気づいたようだな」
ルミナリスが足を強く踏んで更にペースを上げようとした瞬間だった。二人の横を風の衝撃波が襲った。木々が一瞬で吹き飛び跡形もなくなる。二人は更地を凝視した。
「ミツケタゾォォ‼︎」
その間にもチェスリンが叫びながら迫る。がむしゃらに魔法を放ち、二人の近くだけでなく、山全体を破壊しつくしていく。二人はたまに飛んでくる攻撃を左右に交わしながら器用に逃げて、奥へと進んでいく。。
「何か次の手はあるのか? 因みに俺はそのまま闘っても良いんだぞ」
「今は距離が取れてるから大丈夫だけど次は本当に死ぬよ? 滝まで誘い込んだら取り敢えずは二人で撹乱して時間稼ぎをしよう」
「……またハルシウス頼みか」
厳しい顔で舌打ちする。しかし、プリシラは冷静に自分の意見を述べる。
「……別に無理とは思ってないよ。あの魔法臓器、もしかしたらそんなに長く使えないんじゃないかな。弱点が露出するから使わなかった可能性もあるけれど。この前のも痛み止めを飲まないと使えない程の激痛。それなら弱点の肩を狙いながら時間稼ぎをして弱った所を二人で倒そう」
「ほう、ちゃんと考えているんだな。しかしあの薬を使われる前にやった方が良いんじゃないのか」
「うーん。今の時点でまともに戦ったらヤバいし使えないことを祈るしかないんじゃない? どちらにせよ消耗戦が効くのは分かってるから」
ルミナリスはニヤッと笑った。
「それはいい提案だな」
相談している間にもチェスリンとの距離は狭められていく。二人は更にスピードを上げた。
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