二人の繋がり

文字数 1,322文字

車は救急の担当病院に向かってる。


今日は土曜日。


普通の病院は午前中で診療時間を終了してしまったの。


運転席には武藤さん。


私は毛布を被って助手席に座ってるよ。


吐息は浅くて炎の様に熱い。


頭は割れる様に痛い。


カラダにはチカラが入らない。


武藤さんに言われて熱を計ってみたら41℃あったよ。


上がっちゃったみたい。


着替えも出来ず髪もボサボサ。


すっぴん顔で車に乗り込んだの。


こんな格好で病院なんて本当は嫌だったケド…


そんなワガママを言える雰囲気じゃなかったよ。


武藤さんは本当に心配してくれて、わざわざ病院に付き添いまで付き合ってくれてるの。


「もう着くから頑張ってね」


武藤さんは何を考えてるんだろう?


さっきまであんな話をメールしてたのに…。


診察までの順番待ちは結構長かったよ。


すぐ隣には武藤さんがいるのに話し掛けれない。


沈黙は更に時間の体感を遅くするよ。


何か話さなきゃ。


何か話さなきゃ。


何か話さなきゃ。


診察の結果はインフルエンザ。


しばらく高熱が続くみたい。


脱水症状の疑いがある私は点滴をする事になったよ。


その部屋にはベッドが3つ有ったけど私達しか居ないの。


「2時間くらいだって」


武藤さんがベッドの横にある椅子へ座った。


・・・・・・。


「武藤さん…お願いがあるよ」


「手を…手を繋いでほしいの」


・・・・・・。


武藤さんの優しい顔が少し悲しい表情をしたよ。


やっぱり駄目かな?


諦めかけたその時…


彼は両手で私の左手を握りしめてくれたの。


「どう?

私のすっぴん顔は?

お化粧しなくてもイケてるでしょ?

今日だけのサービスだよ」


武藤さんと繋がってる手がとても温かいの。


このままずっと点滴していたい…。


でも…


私は意を決したよ。


武藤さん聞いてくれる?


私は武藤さんの事が好きだよ。


ただそれを伝えたかったの。


大丈夫。


自分がフラれた事くらいわかってるよ。


私は武藤さんの事が好きだから幸せになってほしいの。


武藤さんが幸せなら私も幸せだから。


もう武藤さんを困らせる事は絶対にしないから。


また友達からやり直そうよ。


そう伝えると武藤さんはとても優しい顔でうなずいてくれたよ。


「ありがとう

少し疲れちゃったから眠るね」


瞳を閉じると溢れた涙が頬を伝って流れたよ。


『貴方が幸せなら私も幸せ』って考え方…


私はキライだったよ。


でも…


今の私ならその人の気持ちが理解出来るよ。


本当は私の気持ちをぶつけたかった。


待ってるよ!


奥さんと別れるまで!


千夏ちゃんが自立するまで!


私は待ってるから!


でも、それを伝えたら昨日と同じになってしまう。


少なくても私は千夏ちゃんのママには絶対になれない。


今、私が武藤さんと付き合っても誰も幸せにはなれない。


それじゃ駄目なんだよ。


大好きな人の幸せを願うのは当然の事でしょ?
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登場人物紹介

ヒロイン(HN:藍苺ランメイ)


北海道の土産店に勤める高卒女性社員。

社会人として頑張っているがまだ若い。

趣味は自分磨き。


写真素材[モデル:Lala*]

武藤さん


仲卸しの営業マン。

妻子持ちの働き盛り。

ブルーベリーを使った中国酒が好き。

無糖あずは無関係(゜-゜)


写真素材[モデル:ゆうせい]

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