ブロックの玩具

文字数 293文字

“せっかく、作ったのに“と、何度思ったことでしょう。
幼少期の私は、自分に与えられた資源の少なさに、憤慨する事は無かった。
それでも、作りたい物を思いつく度、手の中に有る既得物を、バラバラにするのは怖かった。
怖かったし、とてもワクワクしたものだ。
我ながらよく出来た作品を、1つ1つのブロックに分解する程、私は脳内にある新作を欲しているのだろうか。
この新作を、頭の中から取り出し、限られた資源を元に、目の前に錬成する事は、果たして可能なのだろうか。

あれから二十数年が経ち、私は長らく勤めた業界から、丸腰で飛び出そうとしている。新作を思いついてしまったのだ。
久しぶりに、怖くてワクワクしている。
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