それぞれの帰り道
文字数 1,987文字
練習が終わり、校門前でまこと別れた。
鈴と朝陽は帰り道を並んで歩く。もうすっかり暗くなっていた。
鈴と朝陽が笑顔に変わっていった頃、正反対へ向かう道を、漆原礼、優の姉妹と、岩見悠子、水崎美晴の四人が歩いていた。
みんな徒歩通学で自転車は使っていない。
礼はため息をついた。
妹の優は常時ダウナー気味だ。試合中でも大声はほとんど出さない。
原因は明白だった。
何をやっても姉と比べられてしまうこと。
――お姉さんの方が優秀だよね。
そんな周りの態度が、優から気力を奪っている。
自分に起因した問題だからこそ、礼にとっては対処が難しいのだった。