第10話 馬鹿の考えはやっぱり馬鹿かもしれない

文字数 7,225文字

「バッハのアヴェ・マリアね…いいんじゃない?」

 翌日、教室でちょっとセンチメンタルな気分に浸っていると、静乃が次のコンクールの曲の相談をして来た。

「ちょっと、あんたも副部長なら真面目に考えなさいよ。」

「考えてる考えてる…」

「なんならあんた歌ってもいいのよ?三年間もピアノ伴奏のみって…合唱部入った意味ないでしょ?」

「絶対嫌。」

「…まぁ、あんたがそう言うなら無理強いはしないけど…いつまでも引きずっててもロクな事ないわよ?」

「…そうなんだけど……」

 静乃はあたしが歌わなくなった理由を知る数少ない人間だ。だからこそ彼女にしては珍しく気遣わし気な言葉を言ってくれているのだけど…

『絶対無理とは限らないだろ』

 有沢伴もそう言っていた…

 それはあたしだってどこかで気づいて分かっていた…

 でも…それでも初めの一歩を踏み出すには難しいくらいあの時から時間が経ってしまったように感じる……

「気が向いたら言いなさいよ?その時は私も付き合ってあげるわよ。」

「静乃…」

「…ま、まぁ…私の気も向いたらの話だけど…」

 そう言い残し静乃は自慢の巻き髪を揺らし去って行ってしまった。それが颯爽としていて恰好良いい。

「…あたしだって…そろそろ抜け出したいんだよ…」

 いつもなら腹を立てて不貞腐れている所だが、今日は違う…なんだかいつもより少しだけ素直な自分がいる気がする。

 あの時、有沢伴と話していたらあいつの言っている言葉がすっと心の中に入って来て納得出来てしまったというか…させられてしまったというか…

 よりにもよってあんな奴にっていう所は何だか悔しくて腹立たしいけど…

「…というか…あいつの叔母さんっていつ来るんだろ?」

 あれほど騒いで巻き込んでおきながらもう一月近くも経っている…と思う。

 だって季節はいつの間にか梅雨。あの五月晴れの爽やかな季節と入れ替えに蒸し暑く、じめっとした嫌な季節に突入している。

「ん?って事はあたし…あいつと一カ月近くもほぼ一緒の時間を過ごして来たってわけ?」

 うわぁ…信じられない…!!

 今までの記憶を辿ってみると……

『何すんのよ!!』

『ぐはっ!!』

 背後から近づく有沢伴にアッパーを決め…

『だ~れだ?』

『き、気持ち悪いことしてんじゃないわよ!!』

 背後から目隠しされバカップルが言いそうな台詞を言う有沢伴…そして鳥肌が立つあたし。直後綺麗に回し蹴りが決まる。脳天に。

『…お前、このままじゃ俺の身が持たねぇ…』

『じゃあその顔変えてよ!!』

『俺に死ねって言ってんのか!?』

『じゃあせめてこれ被って!!』

『プロレスマスクじゃねーか!!ふざけんな!!』

『じゃあ大仏とか?あ、鹿もあるけど…』

『ありのままの俺を受け入れて下さい!!頼むから!!』

 と、思わずか故意にか抱き付く有沢伴…それをまたかかと落としで静かにさせるあたし…

 えっと……

 こ、これは………

「…やべぇ…ここ数日の暴力行為はヤバいんじゃ……?いや!でもそんな事言ったらあいつだって強制わいせつ罪だわ!!うん、お互い様よ!!」

 と、ぶつぶつ一人呟き納得させ…

「…けど、あいつ悪い奴じゃないんだよなぁ…顔は無理だけど。」

 一カ月も一緒にいたらさすがに慣れてしまったのか…近寄られても、多少手を触れられても平気になってきた。さすがに思い切り手を握られたり抱き付かれたりすればぶっ飛ばしてしまうけど。

 いや…でも…あたしこのままで本当大丈夫なんだろうか?もしうっかり突然光代叔母さんとやらがやって来て、慌てた有沢伴があたしの手を掴み、あたしが拒否反応で投げ飛ばしでもしたら……

『嗚呼ぁ~…我が道よぉ~…』

 し、新様が!?あたしの憧れの新様のサインが亡き物に!?そんなの絶対許せない!!

 頭の中でヒット曲『嗚呼、我が道よ』を響かせながら、あたしは頭を抱え今まで以上に深刻に今の状況を考え始めたのだった。今更ながら。

「…と言う事で…あんた、今日から宮園家の一員になると良いわ。」

「はぁ!?」

 その夜、あたしは考えに考えた結果出た答えを有沢伴へぶちまけてみた。

 有沢伴は人気アイドル…多忙の日々…仕事終わりにそのまま宮園家へ来てくれるが、留まる時間は限られている…なぜなら、彼もその後家に帰らなければならないから。

 普通のアイドルならあたしの提案はまずい…が!有沢伴は超が付くほどの人気アイドルだが普段は全くオーラがない!!そのオーラゼロレベルはファンにすら気づかれないほど重症的だ。

 そんな彼が…一女子高生の家に居てもきっとなんの違和感もない…むしろ今は馴染んでいるし。近所の人も彼の事を『アイドル志望の桐原君』として認識している。あの有沢伴とは知らずに。

 つまり…ここに留まる時間(あたしといる時間)が長ければ良いのだ…一カ月でこんなにも進歩したのだから…

「…思ってる事全部口に出てるから大体お前の考えてることは分かったけど…」

「あ、しまった…」

「その顔のどこが『しまった』って顔なんだよ…はぁ、いいや…」

「じゃあ話は早いわ。どうする?」

「…どうするって…」

 まぁ、簡単に彼一人で決められる問題でもないか…黒沢さんにも相談しないとだし。

「…俺とお前がこういう生活をして一カ月近くは経ったと思う…」

「そうね…」

「それで結果お前は俺に近寄られても、軽く肩を叩かれても殴る蹴るなどの暴力行為をする事は無くなったわけだ…」

「なんか犯罪者っぽいわね…」

「…これは俺とお前の努力の結果なわけだけど…俺、言ったよな?『俺の彼女になってください』って…まぁ、ふりだけど…」

「言ったわね…」

「恋人同士ってさ…もっとこう…距離とかもそうだけど信頼関係とかも大事だと俺思うんだよな。スキンシップとか?」

「……」

 有沢伴は今の現状を見ながら冷静に淡々と言葉を続けた…

「…なんでだよ?なんでいつも俺と真面目な話する時……緋乃ちゃん間に挟んで壁作ってんだよ!!」

「きょ、今日は忍だけど?」

「一緒だろ!!」

 そうなのだ…こうして面と向かって近くに来られると身構えてしまうというか…体が勝手に殴り飛ばしそうになるのだ。危機察知能力と言うやつか。

 最近緋乃が紫乃さんの家に渋々引きずられ帰って行ってしまったので…あたしと有沢伴の間に入るクッション的な物がどうしても必要だったのだ。

 それまでは緋乃を間に置き奇妙な形の会話をしていたわけだけど…

 そして今日はたまたま家にやって来た忍。こいつの場合いつでもどこでもダラダラ寝ているので役に立たないけど…無いよりマシってことで…

「…俺さ…お前のなんとかしなきゃならないっていう努力は認めるよ?」

「ど、どうも…」

「が!しかし!!お前一体いつになったら俺に懐くの!?せめて手くらい握らせろよ!なんでいつも投げ飛ばすの!?その癖隣で平気にダラダラしてるし!!警戒心あるのか無いのか訳わかんねーし!!」

「…す、すみません…意識はしてます…」

「じゃあトキメけよ!!」

「それは一生無理です…」

「ちょっとは考えろよ!!」

「いや、無理だって。」

「開き直るな!!」

 と、有沢伴の騒がしい声がしても尚…忍は眠り続けている…起きる気配すらない…

「…分ったよ…俺今日からここで暮らす。」

「え!?本気!?」

「お前が言ったんだろ?だから…」

「いや…言ったけど…嫌なら嫌って…」

「一度口にした事取り消すんじゃねーよ…女に二言はねーよな?」

「それは男の子のことじゃ…」

「同じようなもんだろ…」

 有沢伴はそう言うと真顔であたしを見つめ…と言うか…まるで決闘前のカーボーイの如く鋭い目つきで睨み付けやけくそになってそう言ったのだ。

 おお…なんか役者顔負けの迫力がここに……!!

 まるでそれはテレビドラマのワンシーンの様…やっぱり腐ってもアイドル様だ。

「よし、そうと決まれば…お前の部屋連れてけ…」

「は!?なんで!?」

「俺もそこで寝る。」

「は!?訳がわからない!!」

「…誘ったのはお前の方だろ?こうでもしないとお前絶対一生俺に懐かない!!」

「な、懐くって人を犬猫みたいに!」

「…お前相手に変な気なんて起こさないから安心しろって。俺の好み小柄で可愛い子だし。ついでにグラマーで…」

「…また殴られたい?顔。」

「…ごめんなさい。」

 こうして…あたしは色々な意味で危機感を感じながらも、有沢伴を部屋へ案内した。

 ああ、新様のポスター…引くんだろうな…

 ガチャッ…

「どうぞ…色気も何もない部屋へ。」

「自分で言うなよ…なんか俺まで悲しくなる…」

 そう言えば…男…しかも同年代の人間を部屋に入れるのは久しぶりかもしれない。忍はほぼリビングだし…というかほぼ紫乃さん家の縁側に生息してるし。

「…へぇ、意外と可愛いじゃん。」

「そりゃどうも…」

「あ!これキャプテン・バニーのぬいぐるみ!?」

「うん、好きだから…このもふもふが…」

「あ~…いいよなぁ…俺も色違い持ってんだよ~!!ミントグリーンのメリッサちゃん!癒されるんだよなぁ!!」

 と、有沢伴は大きめのうさぎのぬいぐるみを抱きしめ頬ずりなんかしている。あの有沢伴がだ。
 
 キャプテン・バニーとはうさぎの海賊のゆるアニメで、深夜にやっている物凄く放送地域が限られたマイナーキャラクターだ。中々可愛らしいカラフルなうさぎがカラフルな眼帯をしてゆるく世界の財宝だかを目指すというありふれた内容の。

 ここ、星花町ではそのキャプテン・バニーを物凄く推していて、ファンにはたまらないレアなグッズまでもが販売されており、この大きめキャプテン・バニーのぬいぐるみもその一つだ。

 ちなみにあたしが持っているのはピンク。女キャプテンのジャックと言う名のうさぎ。片目に掛かる黒い眼帯がまたその可愛らしさを引き立てている。ちなみにメリッサはちょっとドジな女の子の海賊さんだ。彼女の眼帯だけ星のアップリケがついている。

「…てかあんたもファンだったの!?あの超マイナーアニメの!?星花町住人しか知らないと思ってた…」

「俺の地域でも放送されててさ、いつも見てる。アニメでもわかるあのもふもふ感に癒されてる…」

「うん…いいよね…」

 意外だ…アイドルがこんな超マイナーアニメキャラのファンだったなんて。しかも色違いのぬいぐるみまで持ってるって…

 はっ!?これってお揃いって奴か!?い、いや…でも偶然だし…何動揺してるんだあたしは。

「…お!?これ藤桜の制服じゃん!?お、お前まさか…」

「生徒だよ?」

「マジか!?つ、蕾ちゃん…いや蕾様!今度是非可愛い女の子を見繕って合コンなんぞ…」

「断る。」

「即答かよ!お前は良いからさぁ…だって藤桜っていや乙女の花園!容姿高ランクのお嬢様学校だぞ!?男の憧れだよ…」

「制服に頬ずりしながらうっとりしないで頂けますか…有沢さん…」

 こ、こいつ変態か!?

 あたしのセーラー服に頬をすりすり、まだ見ぬ乙女の花園に妄想を膨らませながらうっとりする有沢伴の姿からは、とても人気アイドルとは思えないほど不審者臭がして来た…

 うわぁ…この様子を動画サイトに投稿したらどうなるんだろうなぁ…本当、カメラの前以外じゃアイドルとは程遠い奴だ。

 その後も有沢伴はあたしの部屋を物色しては合コンをせがんだ。『月間プロレス』という雑誌を発見するなり大人しくなったけど。

「じゃああんたはここに寝てね。」

「おう、じゃあ俺は今日からここに…って床!?布団的なもの一切無し!?」

 お風呂から上がると、有沢伴はあたしの部屋で寝ると言い張るのでもう面倒臭くなり同意してやった。

 なので…こう親切にベットの下をお勧めしたやったのに…

「冗談よ…はい!特別に個室用意しといてあげたわよ!!」

「押入れかよ!?俺はドラ●もんか!!」

「え?だってあるんでしょ?四次元ポケット。」

「そうそう…このパーカのポケットからはなんでも…って出るわけねーだろ!!」

「ちっ…使えないアイドルね…あんたなんか寝袋で十分だわ…」

「なんで失望してんの!?…ま、まぁ…ありがたく寝袋は使わせてもらうよ…」

「本当あんたってノリ良いわねぇ…芸人目指したら?」

「お前が相方になってくれるなら…」

「え~?嫌だ死んでも…」

「だからちょっとは考えろよ!!」

 その後この漫才みたいな言い合いは長く続いた…母に止めを刺されるまで…

 はぁ…提案したのは自分とは言え…本当にこれで良かったのか?あたし?

 寝袋にくるまり速攻寝息を立てる有沢伴の姿を見て、なんだか幸先が不安になって来た。

 こいつ…本当順応力高いな…そして緊張感がないっていうか…

 ちょっと癖の入った毛先…これはおしゃれなのか元々なのか分からない…サラサラしてそうな前髪…まつ毛も長くやはり鼻筋も整っている。

 おまけにお肌ぴかぴかの艶々だし…なんて羨ましい…

 ベットの上から有沢伴の無防備な寝顔を見つめながら、あたしは自分の頬に触れてみた。

 そりゃああたしだってまだ高校生だし…肌も衰えてなんかいないけど…ここまで艶々になるもんかね…

「…触ってみようかな…」

 いつものあたしからは考えられない言葉…だけど目の前に理想のお肌があっては仕方がない…

 だ、大丈夫…触るだけ…相手は死んだように眠ってるし、別にがっつり触る訳じゃないし…

 恐る恐る有沢伴の頬に手を伸ばし…その完璧なるお肌に指先が微かに触れた…

「や、やっぱりこれだけじゃ細かい感触が分からないわね…」

 いや、しかし…ここでさらに触れたら鳥肌とか蕁麻疹が…

 いや!!それよりも!こいつがうっかり目を覚ましたりしたら何と言い訳をすれば!?

 でも目の前に理想のお肌が!ってあたしも変態なのか!?でもこんな機会滅多にないし!!

 もういいじゃない!あなた元々変わってるって言われ続けて来たじゃない、蕾!!今更変態とか言われたって傷ついたりしないでしょ?

 勇気を…勇気を出すのよ!!

 自分が何故こんな行動に出たのか…もう分からなくなって来た……

 ええい!なるようになれ!!

 ピタッ…

 目を閉じ、やけくそ気味に有沢伴の頬に掌を乗せる…

 お、おお!?何このハリと潤いに満ちた肌!?こいつどんなスキンケアしているの!?

「…そう言えば…何ともない…」

 目を開き、触れた手を見ると特に変わりはなく…鳥肌も動悸もない…

 も、もしかして…あたし…慣れたの!?

「…よ、よし…ならもうちょっと触っても大丈夫よね…ふ、ふふふ…」

 もう変態でしかない…今のあたしは…

 不気味な笑い声を漏らしながらあたしはさらにぺちぺちと有沢伴の頬に触れてみた…

 ああ、これ普通に考えたら犯罪なんじゃ…人気アイドルの寝込みを狙ったセクハラ行為的な…

 いや、でもこれも慣れる為だし!!く、訓練よ訓練!!

「…ん?」

「!?」

 お、起きた!?お目覚めになった!?

 いや、落ち着けあたし!!忍だって起きたと思ったら速攻すぐ目を閉じて熟睡っていうパターンがあるじゃない!!こいつだってきっと寝ぼけて夢を見てると思うに違いない。

 うっすら目を開け、頬に触れ顔を覗き込むあたしをぼんやり見つめる有沢伴は寝起きでもやっぱり綺麗で…

「…お前、何してんの?」

「夢です有沢さん…これは全て夢です。起きたらどうってことはありません…」

「いや…俺さっきから起きてたし…」

「それも気のせいです有沢さん。さぁ、お眠りなさい…」

「眠らねーよ?」

 ゆっくりとりあえず冷静に頬から手を離そうとすると…有沢伴が手を握りあたしの掌に頬を擦り寄せて来た。

 いつもみたいに馬鹿にしたように笑ってくれるか騒いでくれるかした方がよっぽど良かった。

 なのに…じっと真面目な顔をしてあたしから目を離さず…ただあたしの掌に自分の頬を押し当て…

「…気持ち悪い?」

「…よ、よくわからない…」

「…へぇ…ならそれでもいいけど…」

「あ、あの…有沢さん?」

「伴…ちゃんと名前で呼べって言っただろ?」

 そんな事いつ言った!?いや初めの時に言われた気がする!!

 そんな事より…何この胸の高鳴り!?動悸息切れとも違うような…じゃあ何!?

 内心戸惑い動揺しまくっているあたしは、目を反らしたいのに反らせないでいる。振り払って殴るなり蹴るなりすればいつも通りなのに…

 何でこんな時体まで金縛りに掛かった様に動けないの!?

「…蕾、お前…」

「な、何?」

「よく見ると綺麗な顔してるんだな……」

 おおぃ!?何を言い出すのこの人は!?

 目の前の有沢伴はあたしの知るあのだらけきったオーラゼロの馬鹿…いや調子の良い男ではなく…

 今目の前にいるのは…テレビでいるような芝居がかった表情…いや、それとも違うような…いや、そうなのか?

 あ~…もう!!良くわからなくなって来た…!!

 吸い込まれそうな瞳に何故か良く響く声…なんだかそれが現実であって現実ではないような…

 今のあたしはそんな不安定な世界に急に迷い込んでしまったかのようだった。

 頭の中も……… 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

宮園 蕾(みやぞのつぼみ)


長身がコンプレックスの高校三年生、ただいま崖っぷちの受験生。『FORESTFLOWER』と言う花屋の一人娘。イケメン・アイドルが大の苦手(というか嫌い)で、拒否反応を起こすこともある。猪突猛進、アグレッシブで口と一緒に手(または足)が出るが人は選んでいるとかなんとか。いつも明るく元気なのでポジティブに見えるが、実はかなりのネガティブ思考者で、未だ過去のトラウマから抜け出せずにいる悩み多きお年頃の主人公。合唱部所属。演歌歌手の大御所、藤岡新之助の大ファンでファンクラブにも入っている。

有沢 伴(ありさわばん)


本名は桐原伴利(きりはらばんり)と言う。人気絶頂中のアイドルユニットAZURE(アズーロ)で、とにかく明るく前向きなポジティブ男子。思ったら即行動してしまうので、相方の時やマネージャーの黒沢に良く叱られることもある。可愛い女の子が好きなので、チャライ面もあるが実は一途な努力家だったり。人気アイドルだが、オフの時は全くそのオーラーを感じないオーラゼロ男でもある。オフの日はジャージでダラダラしている。猫とみかんが大好き。

如月 紫乃(きさらぎしの) 


妙な和装の星花町の優しいお兄さん。商店街で『青嵐堂』と言う古書店を営んでいるが、実は腕利きの祓い屋でもある。また、幻想和風を得意とした人気の若手イケメン作家東雲青嵐(しののめせいらん)でもある。蕾が幼い頃から面倒を見てきたため、紫乃の妹と同じくらい過保護な時もあるが基本蕾には優しいため、蕾もよく頼っている。時に優しく厳しく蕾を暖かく見守っている。妹ラブなちょい腹黒な人たらし。

柏崎 静乃(かしわざきしずの)


蕾の中学時代からの親友。女子高生とは思えぬ美貌と貫禄とナイスボディの持ち主で、常にネイルは欠かさないおしゃれ番長。見た目が派手で、常に理想と意識が高いため男をとっかえひっかえしているが、意外と面倒見のよいツンデレ気質。クールな現実主義者。蕾に日々的確なツッコミをしてくれる。持ち前の美貌と長身で読者モデルも気まぐれにやっているお嬢様だが、家族と折り合いが悪く家を出て知り合いの家に下宿している。紫乃の大ファンでもあり密かに恋心も抱いている。合唱部部長。よく奇抜なユニーク創作料理を生み出す。

桃瀬 苺(ももせいちご)


蕾の友人。小柄でか弱い心優しい保護欲そそるシャイガール。声も気も小さく、人見知りもするためよくいじめられたりするが、蕾や静乃がその度に助けてくれる。小学校から女子だらけの世界で育ったためか、男が苦手。声を掛けられたらまず逃げる。内気だが歌声は見事、合唱部でも常にトップで彼女に憧れる後輩も少なくはないが、本人は自信がないので全く気付いていない。お菓子作りと編み物が得意で、可愛い物が大好き。飼っているうさぎと猫と過ごす時間が癒しのひと時。三人姉妹の真ん中っ子。

九条 時(くじょうとき)


人気アイドルユニットAZURE。歌やダンスだけでなく、演技力も優れているため舞台などもこなす完璧なアイドル。本人も期待に応えるため日々努力を惜しまず、緩み切っている伴を日々叱咤している。非常に意識の高い完璧主義人間。とにかく何事も完璧にこなす。自分にも他人にも厳しく、伴には人一倍厳しいが、ちゃんと信頼と友情はある。普段は礼儀正しくにこやかだが、とにかくAZUREのためにプラスになる事はするが、その妨げになる者は容赦なく排除する冷酷な所もある。東雲青嵐の大ファン。趣味は勿論読書。年の離れた妹と祖母と過ごす時間がほっとする一時らしい。

皐月 聡一郎(さつきそういちろう)


蕾の住む星花町の商店街、喫茶店金木犀の若き店主。元は刑事だったが、金木犀を経営していた両親が亡くなったため後を継ぐことにした。イケメンで落ち着いた物腰とバリトンボイスが魅力的で、隠れファンも多い。蕾とは五年前からの付き合いで、色々と面倒をみてくれている。堅物で過保護なお兄さんの面も……。蕾の初恋の人。

皐月 珠惠(さつきたまえ)


聡一郎の妹で高校一年生。五年前、星花町に越して以来の付き合いでいまでは蕾の妹的な存在。小柄で元気いっぱいな明るい女の子だが、かなりの霊感体質なのが日々の悩みの種の一つ。紫乃が現れてからはちょくちょく相談しているらしい。猫と小鳥が好きで、家で文鳥を飼っている。小柄な割にかなりの食欲魔人。合唱部所属で、蕾とは同じ学校へ通っている。

文月 忍(ふづき しのぶ)


蕾の幼馴染みで実は結構なご近所さんでもある。長身の眼鏡(伊達)イケメンだが、中身はかなりのお子様で常に眠そうで気だるげ。放っておけば速攻眠る。ドS気質のジ●イアンだが、腐ってもイケメンなのでモテる。だが、本人は興味も示さない。退屈するのが大嫌いで、自分が楽しければそれでいい…というどうしようも無い駄目人間だが、芸術肌で絵を描くことに関しては天才的な才能を持っている。しかし、創作時はアトリエに籠り、集中しすぎて基本的な生活行動が疎かになったり、音信不通になったりしてよく周りの人間達を心配にさせる。ひ弱なもやしっ子に見えるが意外と力は強い。緋乃と如月家の縁側が大好き。

如月 緋乃(きさらぎひの)


蕾と忍の幼馴染みで紫乃の妹。見た目はか弱そうな美少女だが、中身は全く違う。兄同様かなり変わった女の子で、同じく祓い屋として紫乃を手伝ったりたまに自分一人で仕事をしたりしている。いつもにこにこゆったりとしていて幸せそうにみえるが、結構苦労している。口では兄を突き放す様な事を言っているがきっと本当はお兄ちゃん大好きなはず(紫乃談)。お嬢様口調なのは、祖母の影響かららしい。ふわもこの触感と甘い物、そしてホラーを愛してやまない。愛猫の琥珀のお腹を撫でるのが好き。めっちゃ力持ち。

日下 凛(くさかりん)


金木犀のアルバイト店員。美少女のような愛らしい容姿をしているが、立派な二十歳の成人男性。都内の洋菓子専門学校へ通っているため、お菓子作りが得意。また、愛らしい容姿は凛にとってコンプレックスなので『可愛い』と言うのは禁句となっている。もし言ったら……彼の逞しい拳が飛んでくるだろう。人懐っこく明るいので、金木犀では人気のマスコット的存在。愛らしい容姿のため、よくストーカーや痴漢に遭うが逞しく撃退している男らしい一面もある。

千石 正宗(せんごく まさむね)


星花町の治安を守る星花警察署の警部。一人娘の蛍をこよなく愛するバツイチのイケメンお父さんでもある。警部なのに常に緊張感が無くゆるふわすぎる空気を醸し出し、よく仕事と言っては町内をふらりとうろつき部下を困らせているらしいが、人望は何故か厚い。『星花署のハシビロコウ』と呼ばれている。

菖蒲 茨(あやめ いばら)


本名は立花涼花(たちばなすずか)と言う可愛らしい名前。伴の従姉で紫乃の腐れ縁の同級生。派手な髪色とゴスロリ衣装を身にまとい勇ましく振る舞う男の様な人。豪快で態度もデカく口は悪いが面倒見の良い姐さんタイプ。普段は緑泉出版と言う小さな出版社で働きながらフリーのカメラマンをしている。ウィッグ&カラコンマニア(?)なので日々髪形や目の色が違っているためたまに知り合いにあっても気づかれないこともあるとか。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み