プロローグ

文字数 196文字

小学生の頃、俺はずっと病院にいた。

子供の頃の六年間――それは永遠にも似た年月だった。

あの看護師さんに出会っていなかったら、俺はどうなっていたのかわからない。

俺は、親に手を引かれながら笑顔で退院する子を何人も送り出し、悲しみに暮れる家族に囲まれた重病の子を何人も看取った。

でも俺はずっと病院にいた。一人きりで。
白い壁の内側の孤独、病んでいく俺を救ってくれたのは、優しい――看護師さんだったんだ。
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登場人物紹介

かとう はくや

加藤白夜

一条家の専属看護師に転職。理想の看護師になるため、愛長医大を去った。

いちじょう るりひと

一条瑠璃仁

「境界失調症」患者。精神科医が邸に往診している。数学書を読んでいる時だけ幻聴がきこえない。

はりま りく

針間俐久

愛長医大に勤務する精神科医だが、情け容赦のない鬼として医療従事者や患者からは恐れられている。

いちじょう いお

一条伊桜

「不明熱」患者。小学校六年生。春には卒業を控えている。一条家末っ子令嬢。

みなみ そうた

南 颯太

愛長医科大学病院精神科外来唯一の「白衣の天使」。白夜の「強さ」に憧れている。

やとり あきら

矢取 暁

一条家に代々仕える矢取家の長男。勝己を慕っている。プライドが高い。

いちじょう りょうや

一条椋谷

一条家使用人で下働きをしている。勝己達に対し仕事中にもタメ口が黙認されている。

わたなべ はるま

渡辺春馬

一条家庭師。優しく穏やか。瑠璃仁の世話をよく担当している。

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