第18話 勝者は

文字数 491文字

 頭が痛い。

 急にやってきたのだ。

 この無数のタワーが出来てから。

 ならば、ジュウキの能力?

「ならば、壊すまで」
 俺はひたすらに、ジュウキが作ったタワーを蹴り壊していった。
「ジュウキ、正解だ。俺の真ん丸な瞳孔を見た者は視界を失う。だが、細く尖った瞳孔を見ても、視界を失う」
 あれ?
 蹴っても蹴っても、タワーが減らない。建て続けているのか?
 頭の痛みも取れない。むしろ増すばかり。
「視界の失い方が違う。前者は真っ暗で、後者が真っ白」
 喋るのも辛くなってきた。

 僕は、蹴るのを辞めた。

 あれ?

 ジュウキがいない。

 くっくっく。

 動物の索敵能力を知らないな?

 あぁ。

 そこにいた。

 もう面倒だから。ジュウキの息の根を止めよう。

 耳の穴から、爪を入れて、掻き回せば。

 きっと、俺の頭痛も取れる。

 んー、三秒あればいける。

 俺は、ジュウキが隠れているであろうタワーに向かって走った。

 三。

 俺にとっちゃ、障害物でも何でもない。

 二。

 速度を緩めなくとも、十数本程度。

 一。

 ほら、目的のタワーが……………。



 俺の記憶が、そこから無い。



 勝者   ジュウキ   



 俺は気付けば、負けていたのだ。
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