第42話 歯医者さんでの私

文字数 902文字

 毎日、いつ、何回、歯磨きしていますか?私は朝2回、昼0〜1回、夜1回。毎度の検診で、必ず歯磨き指導を受けます。歯磨きって、難しくないですか?

 三ヶ月に一度の歯科検診。もうずいぶん前から続けている。私の行っている歯医者さんは、治療ゾーンと検診

ゾーンに分かれている。待合室はひとつ。ゾーン毎に名前が呼ばれ入室。治療の人は、すごすごと。検診

の人は堂々と……と私には見える。ここ一年ほど、私は検診ゾーンの患者だ。

「では、歯茎チェックしますねー」 先の(とが)った器具が、私の無防備な歯茎に触れる。前回と比べてどうなのかは、毎回渡される検診結果を見ればいいこと。あえて「どうでしたか?」 なんてことは聞かない。「じゃ、クリーニングしていきますねー」 歯石取りは意外と痛い。いつも思うことなのだが、人の口の中を見て、汚れを取るなんて行為、たとえ資格を持っていても、私には出来ない。だから自分の子どもくらいの年齢の歯科衛生士さんたちには、多大なる尊敬と感謝をもって接している。

 今でこそ、有り難く行くことのできる歯医者さんだが、それはそれは失礼な態度で臨んだことがあった。小学校低学年のころ。夏休み中に治療をするようにとの書類を手に、幼い私は歯医者へ連れて行かれた。記憶に残る限りだが、恐らく初めての治療だったと思う。

 診察台に横たわり、周りを見ると恐ろしくなった。先生が「はい、お口開けて〜」と言ったかどうかは定かではないが、いきなり泣きわめき中断。母に「あの、先生嫌だ」と言ったらしい。顔も覚えていないが、先生は私に嫌われ、もう一人の息子先生に交代。それでも駄々をこねた。母の語りぐさは「若い人がいいだの、おじいちゃんに替えてくれだの大変だったのよ〜」と。それで、治療は?やらずに帰ったそうだ。嘆かわしい。

 そんな私も今では立派に?患者を努めている。年々歳々治療方法も器具も変わってきているだろうが、歯医者さんは私にとって、居心地のいい場所となった。

 虫歯が無ければ、歯医者さんに行かないという人もいるでしょう。若いときにこそ検診の習慣をつけてほしいものです。大人の歯は生え変わりません。歯は、一生の財産です。
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