パレード潰しの日(3)
文字数 911文字
象は。小象はどこ。無事なの?
小象は、わたしの後ろに、まるで動かぬ模型の象になったように、そこにいた。いや、これは……象じゃない。紙でできた模型の象だ。紙が破れて、デブのピエロがぴょこんとおどけた顔を出した。コンニチワ!
わたしの小象を、こんなにして。許せない。わたしは、四副さんの落としたピエロ斬りを掴み取り、ピエロに斬り付けた。斬れた……思いがけず。
切り開いたピエロのなかから、長い鼻がひょこひょこ出てくる。
切り開いたピエロのなかから、長い鼻がひょこひょこ出てくる。
えっ。
わたしはそれを引っ張り出す。小象が、ぱぽーと雄叫びをあげて出てくる。
わたしはそれを引っ張り出す。小象が、ぱぽーと雄叫びをあげて出てくる。
小象を、抱きしめる。傍らに、草里が降り立つ。
ぱぽー。だけど小象は一直線に、ピエロの紙屑を蹴散らしてこちらにのっしと向かってきている巨象に向けて突進していく。その姿はあまりに、無邪気で――
くしゅん。
小象は、パレードの巨象の足の下に入って次の瞬間にそんな音を立てて、潰れて消えた。
ああっ……あ……。
草里の手のなかでチャリン、と黄色の鍵が廻る。
そんなっ……
わたしはさっきの紙の四副さんを探した。周囲の紙屑は近づいている象の風圧に流されて散らばっていく。
象が来る。わたしの小象を踏み消した巨象。
草里がわたしの背中を掴んで、鍵を廻した。
象が来る。わたしの小象を踏み消した巨象。
草里がわたしの背中を掴んで、鍵を廻した。