2021/03/09

文字数 3,800文字

 5時半に起床。
 昔の知り合いと会う夢を見たせいか3時ごろに目が覚めて、彼らの動静が気になってTwitterを見るなどして眠れませんでした。当時から友人を作れなくなってしまった自分を恥ずかしく思いました。
 録画容量がいっぱいなので少しだけ映画を見始めました。分けてみるというのは初めての試みなのですが案外悪くないです。
 その後支度を済ませて朝食、母が朝からちょっとした悪戯心で私の自転車の鍵にキーホルダーをつけました。嬉しかったのですが、車輪に当たってちぎれやしないかすごく気になりました。駅についてから申し訳ないですが外しました。こんなふうにちょっと母が茶目っ気を見せてくれたことと、空が晴れて綺麗な朝焼けが上っているのとで、割と良い気持ちです。眠気は中々ですが。
 ボールプールが欲しいとふと思いました。子供の頃ボールプールに埋もれてじっとしているのが好きで、それをまたやりたいなと思いました。しかし調べてみるとまあそれなり高いのでどうしようかと。
 今日は初めから座ることができて、それから1時間寝ました。ネックウォーマーをアイマスク代わりにして、よく眠れましたが少し頭が痛くなりました。
 買い物して出社。
 今日は隣席のojtの先輩が休みなので少し不安です。仕事に対しては義務感から意欲はありますが頭が冴えるかどうかです。今日も一日頑張ります。
 仕事を始めたは良いものの、一緒に出張に行くはずの先輩から、もしかしたら自分一人で行くことになるかもしれないということを伝えられ、かなり動揺して少し手がつかなくなってしまいました。少し泣きそうになりました。何でこう次々と関門が生じてくるか。これが普通で自分がまだ未成熟で根本的に能力が劣ってるからそう感じるだけなのか、とかなり狼狽しました。何とか仕方のないことだと自分に言い聞かせて目の前の仕事に取り掛かるも、先輩方は会議をしており、困ったことをどうすればいいか聞けない状況で、かなり追い詰められているのを感じます。かなりしんどいです。結局全く進まないまま昼休憩に。ここまで来ると少し諦めの念が出てきました。間に合わなくても良い。新人の自分が間に合わないのは環境が悪いのだと、そんな言い訳が湧き起こってきます。よくないです。
 昼食を済ませて昼寝、眠れて少しさっぱりしました。これのために生きているとさえ感じました。頭がだるくて痛いです。仕事がうまく行かなくて辛いです。何がどういうことでどうすればてんで考えが纏まらず、どうしようという焦りばかりが浮かびます。私には向いていないのでしょうか。しかし私に向いている仕事などきっと無さそうで、新卒という肩書きで何とか入れたこの会社にいるより他は無いと思います。
 何とか頑張ります。
 午後はもうストレスを回避するためあまり悩まないように心がけました。最悪間に合わなくても大丈夫と自分に言い聞かせました。今日は早く帰ろうとも。さもなくば余計にパニックになりそうでした。本当に皆この苦痛を乗り越えて働いているのでしょうか。私が頑張れていないだけなのでしょうか。結局仕事をうまく進められず、1時間半残業して退勤しました。本当に自分は仕事が出来ないゴミだと思います。何故分からないのか、何故頭が回らないのか、能力がないくせに人に助けを求められるコミュ力もない真の無能です。途中から座ることができて帰りの車内で1時間近く寝ました。色々考えてしまってあまり眠れはしませんでした。
 明日はもう躊躇せず先輩方に頼りたいと思います。色々今日は話していたり自分の質問を持ち帰って考えくださったりして遠慮してしまいました。明日は在宅、チャットなのをいいことにちゃんと相談するようにします。出なければ終わりそうにありません。また遅れるとだけ言っていいのかもしれませんが、実際仕事内容が急遽変わったのも遅れた原因の一つなので、それを言い訳にしてしまいましょうか。自己嫌悪が終わると少しやけになり、人生が無意味なものだと思えてきます。しかしその中でちょっとした趣味のものがいつにもして輝いて見えるので、それで何とか悩みを誤魔化したいと思います。
 家に帰ると玄関のドア越しに父と母の話し声が聞こえました。入ると二人は何やら言い争っていました。仕事のことで悩んでいた所での揉め事だったので、正直億劫に思ってしまいました。リビングで姉は沈痛そうに飼い犬を膝に乗せていました。私はそそくさと逃げるように風呂に、入ろうとした所で母が手を洗わせてと洗面所に来ました。飼い犬にひどく噛まれたらしく、かなり手が血で汚れていて痛そうでした。父は自室の戸を乱暴に閉じて篭りました。私は風呂に入りながらまた悩みました。家の揉め事に際すると仕事の悩みが薄れます。家がこんなのだから仕事はただ熟すしか道がないと決心というより諦めが付きます。一旦そこで自分は心を閉ざしました。自分のことだけを考えて心の平穏を保とうとしました。
 しかし風呂から上がってリビングに来ると母は泣いていました。これは洒落にならないことだと察し、かける言葉が思い浮かばずただ沈黙しました。少ししてから何があったのか聞きました。母は、今日父が車を売りに行く段取りをつけに行くと思って色々準備をしていたのに、父は体調が悪いといってそれをせず、早くしないとと母が言うと父は上からものを言うなと怒鳴り、それに興奮した飼い犬が母を噛んだそうです。母は父が自分だけが屈辱を感じていると思って人に当たり散らしていると怒りました。好きで病気になったわけじゃないと言うがそれは自業自得だし、体調悪いと言うがしばしば出掛けには行くじゃないか、と父への不満を爆発させました。
私はそれをただ頷きつつ聴きました。何も言えませんでした。私がそのことで父を悪くいっても問題にちゃんと関わっていない自分は無理解なことを言ってしまうのではないかと恐れました。母と姉は、もう本気で父には早く死んで欲しいと言いました。私はそう考えてないかもしれないが、と二人は言いましたが、内心今日の父の振る舞いを聞いて私も少し同じように思いました。
 前々より父のことを信じられなくなっていました。父は少し自分のことに金を使い過ぎるのではないか、しかし父はいずれそれが価値になることを期待して金を使っているのではないかと、あるいは私たちが父の気持ちに寄り添えてないから自分の趣味に走っているのではないか。でも私たちが父と少し距離を取ってしまうのは元はと言えば自分の考えが絶対に正しいとしているその振る舞いのせいじゃないか、などと考え、ずっと父を肯定したくても心からは出来ない状況でした。
 私達には父の病気の辛さを心から共感することは出来ません。少しだけ共感できるのは病気の孤独さです。熱を出して部屋で寝込んでいる時、家族が談笑しているのを聞いて寂しく思った経験があります。父は病気そのものの苦痛に加えてずっとその孤独の中にいるのだと考えると、しんどいとしても趣味に生きがいを求める気持ちが身体を動かすのだと推量することはできます。しかし私達にはそれが自分の好きなことだけをして、手続きなど嫌なことにはしんどがって後伸ばしにしているように思えました。
 父は病気になって仕事をやめたからって自分を見下しやがってと言い、また以前母に死ねと言われたことを根に思って母に死ねと言ってしまったそうです。諍いが苛烈になると父はしばしば文句あるなら離婚しろなどとか酷いことを言います。本心ではないのだと思いますが、頑固な父は謝ったりなどしないので、余計に隔絶が生じてしまいます。姉はどちらかというと母寄りなので、せめて自分くらいは父を肯定し、その気持ちを理解して救ってあげたいと思うのですが、どうしたらいいかわかりません。私と父は似ていると気付きました。周囲を否定せずにはいられず、それで孤立しては自己完結した世界に幸せを見出し、周囲は自分を肯定してくれないと余計に捻くれて周囲を否定する悪循環にいます。父は病気と老いが孤独に拍車をかけて、より偏狭になってしまっています。自分さえも救えない自分がどう父を救えるのか、とても検討がつきません。
 結局はお金という問題に終着します。そのお金の問題を母は父に原因があると考えています。世間の普通の50代後半の主婦といったら子供も独立して、年金と貯蓄で余裕があるから友達としょっちゅう遊びに行ったりしている。なのに自分は働かないといけないと。それは事実ではあると思います。父は自身の給料を食い潰していた祖父を恨んでいますが、父は父で趣味にそこそこの金を使っていました。もっと経済的なことに頓着があれば、まだマシだったのではないかと。でもそれは私にも返ってくる言葉です。最善を言い出せばキリがありません。少なくとも到底そういったことで私は父を責められません。私だってもっとその辺りを勉強しているべきでした。
 明日も仕事なのでもう考えるのをやめたいと思います。今私に、ひいては家に降りかかっている不幸は世間的に見れば普通か、あるいはそれより少しだけひどいもので、もっと不幸なのに頑張っている人はいくらでもいると思って、何とか乗り切れたらと思います。

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