第二章 IN THE BOX(4)
文字数 4,251文字
シンの「質問空振り、投入重複作戦」は確かにすぐれた作戦だけど、カード6枚では脅威にはなり得ない。Aさえブロックしておけばパスされても獲れる得点は高が知れている。
沙織が最悪と展開だと思ったのは、シンの戦略を見て、Wに次ぐカード多数保有者のサクラが必勝法の存在に気付いてしまうのではないか、と懸念したからだった。
このゲームにはカード多数保有者だけが使える必勝法がある。
沙織はその存在に気が付いた時、一時は絶望と後悔で泣きたい気持ちになった。
何でもっと懸命にルール表に書かれている裏の意味を考えなかったのか!
何でもっと早く【SHOP】の存在に気付けなかったのか!
そうすれば私もカード多数保有者になって必勝法だって使えたのに。
でもそこで諦めなかった。
これまでの楽なことだけをしてきた人生から脱却するため、目の前に沼地が出現しようと巨大な壁が立ちはだかろうと、まっすぐに自分の足で突き進んでいく、と心に決めた。
はっきりと敗北という烙印が押されるまで、みっともなく足掻いてやる。
何としてでも必勝法を討ち破る、必勝法破りを見つけ出す!
通常のありふれた感覚では駄目だ。常軌を逸した破天荒な思考……。
柔らかく、柔らかくなれっ、と自分を洗脳するように唱えた。
実際、自分の指で自分の頭をマッサージもした。
誰も思いつかいような突拍子もない発想……。
ゲーム開始のほんの数分前、沙織はついに必勝法破りの奇策を発見した。
正当な方法ではないので、裏ワザといった方がいいかもしれない。
それも完全に必勝法を打ち破るわけではなく、必勝法の効果を抑える防波堤のようなもの。
それでも発見した時は血液が逆流するような興奮を覚え、全身の震えが止まらなかった。
問題は主催者がこれを認めるかどうか。
ルール上は問題ない、と沙織は思うことにした。
もともと正攻法では破ることができないから必勝法なのだ。これぐらいのギリギリの裏ワザでないと、Wの牙城に罅1つ入れることはできない。
もし主催者に認められなければ、その時は潔く散る覚悟はできている。
裏ワザを実行するには、もう1つの不安があった。
もしかしたらWがこの必勝法に気付いていないんじゃないかという不安だ。
せっかく必勝法封じの裏ワザを実行しても、Wが必勝法をやっていなければ、ただの空振りとなり、お笑い草となってしまう。
しかしその不安も杞憂であったことがゲーム開始と同時に分かった。
理由はWの順番が玄の直前、最後狙いであったこと。
カード多数保有者が何人いるかは分らないけど、Wが必勝法に気付いていれば、それを真似されたくないという心理が働くため『親』番の一番最後を狙ってくるだろうと読んでいた。
そしてまさにWはその通りに動いていた。
Wは間違いなく必勝法を使ってくる。沙織はそう確信した。
必勝法封じの裏ワザは何度も使えない。だからその標的をWだけに絞った。
裏ワザを実現させるためにはW以外のプレイヤー全員の協力が不可欠であった。
そのための最低条件は、Wの『親』番までプレイヤー全員に予選突破のチャンスが残されていること。
予選通過の目がなくなれば、投げ遣りになり協力する気なんて起きなくなるプレイヤーが現れるかもしれないからだ。
今のところは得点の突出したプレイヤーもなく計画は順調だ。
であったのに、シンが余計なことをしてくれた。
このゲームの必勝法は、言うなればシンの「質問空振り、投入重複作戦」の真逆に位置する作戦だ。
だからサクラがシンの思考を地面に穴を掘るように掘り下げていき、地球の真裏で地表に出た時に、必勝法の存在に気付いてしまうかもしれない。
そんなきっかけを与えてしまったのだ。
サクラが先に必勝法を使えば、プライドの高そうなWのことだ、同じ必勝法は使ってこないに違いない。そうなれば温めておいた裏ワザが空振りに終わる。
お願い、サクラちゃん! 必勝法には気付かないで。
本戦への椅子1つを渡してもいいから必勝法には触れないでよ。
沙織が手を合わせて勝手に懇願している間に、『子』の投入結果が発表されていた。
B→緑1枚 白3枚
C→赤3枚 青1枚
シンの作戦にまんまと嵌り、『子』の投入はBに白が3枚、Cに赤が3枚と見事に重複させられていた。
Bの緑に誰かが入れてくれたことで辛うじてBのブロック漏れは免れたけれど、もしそのプレイヤーが白を入れていればBをパスさせられる可能性が残ってしまっていた。
危なかった。これが「質問空振り、投入重複作戦」の怖ろしいところだ。
Bの緑に入れてくれた誰かに感謝したい。
だけど……。
シンの投入結果は……。
C→緑5枚
やられた!
プレイヤー全員のどよめきが聞こえてくるようだった。
シンは手持ちの緑5枚を最高の形でパスさせ、予選突破争いに踏みとどまった。
【シン(5点 1)】
『親』番がサクラに移った。
彼女はすぐには投入をしてこなかった。
嫌な感じがする。
本当にシンの投入がヒントとなり必勝法の存在に気付いてしまったのかもしれない。
あ~、やめてよ。
必勝法は使わないでよ。
沙織は緊張と不安でぐっしょり濡れていた手のひらをハンカチで拭いながら、サクラの投入が終わるのを待った。
制限時間ぎりぎりにサクラの投入は行われた。
果たして彼女は気づいたの?
気づかなかったの?
《廃 人》 Aに赤は入っていますか?
《サクラ》 いいえ。
沙織の口からほっと安堵のため息が漏れた。
廃人の質問はありきたりのオーソドックスなものだけど、答えが「いいえ」であることからサクラが必勝法に気付いていないことが判明した。
おそらく今頃Wは高らかに笑い、誰も使わなかった必勝法の存在に予選突破を確信していることでしょう。
その伸びた鼻先が、これからへし折られるとも知らずに。
《泥人形》 Aに青は入ってるか?
《サクラ》 いいえ。
「いいえ」が2つ続いたことでサクラが投入までに時間がかかった理由が分かった。
彼女はシンの作戦を見てそこから真逆の必勝法の方には行かず、これは使えると「質問空振り、投入重複作戦」をそのまま真似ることを考えていたのだ。
シンと同じ作戦でもカード枚数の多いサクラの方がより破壊力がある。
うまく追い込まないと必勝法を使わずとも高得点を叩き出されてしまう。
《 W 》 赤を多く入れたのはBか? Cか? 同じ数の場合はBと答えろ。
ずっと他人の質問を真似ていたWがここを勝負どころと判断したのか、ついにオリジナルの質問を飛ばしてきた。
やっと本気になったようね。
沙織はWの質問の意図を考えた。
サクラは手持ちカード15枚であることからファーストステージは積極的にバトルに参加し、勝ち続けてきたと推測できる。つまり手元に赤のファイブカードはある。
そこでWはサクラがたくさん持っている赤をどこで捌きに来たかを調べに行った。
Aはすでにないと言われているので普通ならBに赤を入れたかどうかを聞けばいいような気がするけど、Bに1枚だけ入れておいてCで大量パスという場合を懸念して、多く投入されている方を潰しに行こうと考えた。
でも……、とここで沙織は首を捻った。
工夫はされてはいるけどWにしては効果が少なすぎる質問なような気がした。
何故ならここに残っているプレイヤーなら誰もがサクラが赤を多く持っていることを予想している。だからWの質問がなくても、誰もがBとCの赤をブロックしに行く。
Wの狙いは別にある?
でもその狙いが分からない。
そうこうしているうちにサクラの回答が表示された。
《サクラ》 C
サクラの作戦はやはり「質問空振り、投入重複作戦」で間違いない。
次の質問者は沙織。
さて、どんな質問でサクラを追い詰めるかと考えた時、Wの先程の質問の真の狙いが分かった。
ずばり、「質問空振り、投入重複作戦」の完全封じだ。
1つの色を1つの箱、例えば赤がAに入っているか、といった感じに順番に聞いていくと、質問者が足りず、分からない色と場所が多く残ってしまい『子』の投入が重複してしまう。
だけど2箇所のうち多く入っている方だけをブロックしようと思えば、1つの質問で2箇所を潰すことができるのだ。
Wの質問はまさにそんな質問だ。
そしてWは他のプレイヤーに俺の質問を真似ろよ、と仄めかしている。その証拠にWはこの質問を特許申請していない。
本当に嫌味な奴で、そして怖ろしいまでに頭が切れる。
それなら私はWの誘導に乗せられているということを演じるためにも、Wの質問形式を真似ておくか。
《 玄 》 青を多く入れたのはBですか? Cですか? 同じ数の場合はBと答えて下さい。
《サクラ》 C
真似ていいと知ったプレイヤーたちが後に続く。
《さっちん》黄色を多く入れたのはB? C? 同じ数ならBと答えてね。
《サクラ》 C
《GOGOGO》緑を多く入れたんはBでっか? Cでっか? 同数の場合はBと答えてや。
《サクラ》 B
《写 楽》 白を多く入れたのはBですか? Cですか? 同じ数の場合はBと答えて下さい。
《サクラ》 C
サクラは5色中、実に4色をBよりCに多く投入していた。
Wがこの質問形態を使わずAから順番に質問していたら、質問が空振りばかりで、相当な得点を獲られていたかもしれない。
『子』の投入が結果が表示された。
A→黄1枚 緑2枚
B→緑1枚
C→赤1枚 青1枚 黄1枚 白1枚
重複したのは質問されなかったAの緑だけで、『子』の投入は見事なまでに分散している。
この時点でサクラの「質問空振り、投入重複作戦」は完全に崩壊していると言っていい。
サクラの投入結果が発表された。
C→赤3枚 青1枚 黄2枚 白2枚
サクラの投入カード全てが消滅した。手持ちカード15枚のうち実に8枚も投入したというのに奪えた得点はない。
W相手に、他人の二番煎じは通じない。
やはり彼は絶対的王者。覇王だ。
続く廃人、そして泥人形の『親』はどちらも手持ちカードが少ないため、カードの半分をB、C中心にバラ撒いてそれぞれ1点ずつを獲得した。
サクラの0点を見て気持ちが怯んだのか、とりあえず1点でも取っておこうという消極的な投入だった。
しかし既に5点の獲得者がいるだけに、そんな弱気じゃ予選は突破できない。
そして、ついにWの『親』番が回ってきた。
沙織が最悪と展開だと思ったのは、シンの戦略を見て、Wに次ぐカード多数保有者のサクラが必勝法の存在に気付いてしまうのではないか、と懸念したからだった。
このゲームにはカード多数保有者だけが使える必勝法がある。
沙織はその存在に気が付いた時、一時は絶望と後悔で泣きたい気持ちになった。
何でもっと懸命にルール表に書かれている裏の意味を考えなかったのか!
何でもっと早く【SHOP】の存在に気付けなかったのか!
そうすれば私もカード多数保有者になって必勝法だって使えたのに。
でもそこで諦めなかった。
これまでの楽なことだけをしてきた人生から脱却するため、目の前に沼地が出現しようと巨大な壁が立ちはだかろうと、まっすぐに自分の足で突き進んでいく、と心に決めた。
はっきりと敗北という烙印が押されるまで、みっともなく足掻いてやる。
何としてでも必勝法を討ち破る、必勝法破りを見つけ出す!
通常のありふれた感覚では駄目だ。常軌を逸した破天荒な思考……。
柔らかく、柔らかくなれっ、と自分を洗脳するように唱えた。
実際、自分の指で自分の頭をマッサージもした。
誰も思いつかいような突拍子もない発想……。
ゲーム開始のほんの数分前、沙織はついに必勝法破りの奇策を発見した。
正当な方法ではないので、裏ワザといった方がいいかもしれない。
それも完全に必勝法を打ち破るわけではなく、必勝法の効果を抑える防波堤のようなもの。
それでも発見した時は血液が逆流するような興奮を覚え、全身の震えが止まらなかった。
問題は主催者がこれを認めるかどうか。
ルール上は問題ない、と沙織は思うことにした。
もともと正攻法では破ることができないから必勝法なのだ。これぐらいのギリギリの裏ワザでないと、Wの牙城に罅1つ入れることはできない。
もし主催者に認められなければ、その時は潔く散る覚悟はできている。
裏ワザを実行するには、もう1つの不安があった。
もしかしたらWがこの必勝法に気付いていないんじゃないかという不安だ。
せっかく必勝法封じの裏ワザを実行しても、Wが必勝法をやっていなければ、ただの空振りとなり、お笑い草となってしまう。
しかしその不安も杞憂であったことがゲーム開始と同時に分かった。
理由はWの順番が玄の直前、最後狙いであったこと。
カード多数保有者が何人いるかは分らないけど、Wが必勝法に気付いていれば、それを真似されたくないという心理が働くため『親』番の一番最後を狙ってくるだろうと読んでいた。
そしてまさにWはその通りに動いていた。
Wは間違いなく必勝法を使ってくる。沙織はそう確信した。
必勝法封じの裏ワザは何度も使えない。だからその標的をWだけに絞った。
裏ワザを実現させるためにはW以外のプレイヤー全員の協力が不可欠であった。
そのための最低条件は、Wの『親』番までプレイヤー全員に予選突破のチャンスが残されていること。
予選通過の目がなくなれば、投げ遣りになり協力する気なんて起きなくなるプレイヤーが現れるかもしれないからだ。
今のところは得点の突出したプレイヤーもなく計画は順調だ。
であったのに、シンが余計なことをしてくれた。
このゲームの必勝法は、言うなればシンの「質問空振り、投入重複作戦」の真逆に位置する作戦だ。
だからサクラがシンの思考を地面に穴を掘るように掘り下げていき、地球の真裏で地表に出た時に、必勝法の存在に気付いてしまうかもしれない。
そんなきっかけを与えてしまったのだ。
サクラが先に必勝法を使えば、プライドの高そうなWのことだ、同じ必勝法は使ってこないに違いない。そうなれば温めておいた裏ワザが空振りに終わる。
お願い、サクラちゃん! 必勝法には気付かないで。
本戦への椅子1つを渡してもいいから必勝法には触れないでよ。
沙織が手を合わせて勝手に懇願している間に、『子』の投入結果が発表されていた。
B→緑1枚 白3枚
C→赤3枚 青1枚
シンの作戦にまんまと嵌り、『子』の投入はBに白が3枚、Cに赤が3枚と見事に重複させられていた。
Bの緑に誰かが入れてくれたことで辛うじてBのブロック漏れは免れたけれど、もしそのプレイヤーが白を入れていればBをパスさせられる可能性が残ってしまっていた。
危なかった。これが「質問空振り、投入重複作戦」の怖ろしいところだ。
Bの緑に入れてくれた誰かに感謝したい。
だけど……。
シンの投入結果は……。
C→緑5枚
やられた!
プレイヤー全員のどよめきが聞こえてくるようだった。
シンは手持ちの緑5枚を最高の形でパスさせ、予選突破争いに踏みとどまった。
【シン(5点 1)】
『親』番がサクラに移った。
彼女はすぐには投入をしてこなかった。
嫌な感じがする。
本当にシンの投入がヒントとなり必勝法の存在に気付いてしまったのかもしれない。
あ~、やめてよ。
必勝法は使わないでよ。
沙織は緊張と不安でぐっしょり濡れていた手のひらをハンカチで拭いながら、サクラの投入が終わるのを待った。
制限時間ぎりぎりにサクラの投入は行われた。
果たして彼女は気づいたの?
気づかなかったの?
《廃 人》 Aに赤は入っていますか?
《サクラ》 いいえ。
沙織の口からほっと安堵のため息が漏れた。
廃人の質問はありきたりのオーソドックスなものだけど、答えが「いいえ」であることからサクラが必勝法に気付いていないことが判明した。
おそらく今頃Wは高らかに笑い、誰も使わなかった必勝法の存在に予選突破を確信していることでしょう。
その伸びた鼻先が、これからへし折られるとも知らずに。
《泥人形》 Aに青は入ってるか?
《サクラ》 いいえ。
「いいえ」が2つ続いたことでサクラが投入までに時間がかかった理由が分かった。
彼女はシンの作戦を見てそこから真逆の必勝法の方には行かず、これは使えると「質問空振り、投入重複作戦」をそのまま真似ることを考えていたのだ。
シンと同じ作戦でもカード枚数の多いサクラの方がより破壊力がある。
うまく追い込まないと必勝法を使わずとも高得点を叩き出されてしまう。
《 W 》 赤を多く入れたのはBか? Cか? 同じ数の場合はBと答えろ。
ずっと他人の質問を真似ていたWがここを勝負どころと判断したのか、ついにオリジナルの質問を飛ばしてきた。
やっと本気になったようね。
沙織はWの質問の意図を考えた。
サクラは手持ちカード15枚であることからファーストステージは積極的にバトルに参加し、勝ち続けてきたと推測できる。つまり手元に赤のファイブカードはある。
そこでWはサクラがたくさん持っている赤をどこで捌きに来たかを調べに行った。
Aはすでにないと言われているので普通ならBに赤を入れたかどうかを聞けばいいような気がするけど、Bに1枚だけ入れておいてCで大量パスという場合を懸念して、多く投入されている方を潰しに行こうと考えた。
でも……、とここで沙織は首を捻った。
工夫はされてはいるけどWにしては効果が少なすぎる質問なような気がした。
何故ならここに残っているプレイヤーなら誰もがサクラが赤を多く持っていることを予想している。だからWの質問がなくても、誰もがBとCの赤をブロックしに行く。
Wの狙いは別にある?
でもその狙いが分からない。
そうこうしているうちにサクラの回答が表示された。
《サクラ》 C
サクラの作戦はやはり「質問空振り、投入重複作戦」で間違いない。
次の質問者は沙織。
さて、どんな質問でサクラを追い詰めるかと考えた時、Wの先程の質問の真の狙いが分かった。
ずばり、「質問空振り、投入重複作戦」の完全封じだ。
1つの色を1つの箱、例えば赤がAに入っているか、といった感じに順番に聞いていくと、質問者が足りず、分からない色と場所が多く残ってしまい『子』の投入が重複してしまう。
だけど2箇所のうち多く入っている方だけをブロックしようと思えば、1つの質問で2箇所を潰すことができるのだ。
Wの質問はまさにそんな質問だ。
そしてWは他のプレイヤーに俺の質問を真似ろよ、と仄めかしている。その証拠にWはこの質問を特許申請していない。
本当に嫌味な奴で、そして怖ろしいまでに頭が切れる。
それなら私はWの誘導に乗せられているということを演じるためにも、Wの質問形式を真似ておくか。
《 玄 》 青を多く入れたのはBですか? Cですか? 同じ数の場合はBと答えて下さい。
《サクラ》 C
真似ていいと知ったプレイヤーたちが後に続く。
《さっちん》黄色を多く入れたのはB? C? 同じ数ならBと答えてね。
《サクラ》 C
《GOGOGO》緑を多く入れたんはBでっか? Cでっか? 同数の場合はBと答えてや。
《サクラ》 B
《写 楽》 白を多く入れたのはBですか? Cですか? 同じ数の場合はBと答えて下さい。
《サクラ》 C
サクラは5色中、実に4色をBよりCに多く投入していた。
Wがこの質問形態を使わずAから順番に質問していたら、質問が空振りばかりで、相当な得点を獲られていたかもしれない。
『子』の投入が結果が表示された。
A→黄1枚 緑2枚
B→緑1枚
C→赤1枚 青1枚 黄1枚 白1枚
重複したのは質問されなかったAの緑だけで、『子』の投入は見事なまでに分散している。
この時点でサクラの「質問空振り、投入重複作戦」は完全に崩壊していると言っていい。
サクラの投入結果が発表された。
C→赤3枚 青1枚 黄2枚 白2枚
サクラの投入カード全てが消滅した。手持ちカード15枚のうち実に8枚も投入したというのに奪えた得点はない。
W相手に、他人の二番煎じは通じない。
やはり彼は絶対的王者。覇王だ。
続く廃人、そして泥人形の『親』はどちらも手持ちカードが少ないため、カードの半分をB、C中心にバラ撒いてそれぞれ1点ずつを獲得した。
サクラの0点を見て気持ちが怯んだのか、とりあえず1点でも取っておこうという消極的な投入だった。
しかし既に5点の獲得者がいるだけに、そんな弱気じゃ予選は突破できない。
そして、ついにWの『親』番が回ってきた。