File15:頼もしい用心棒
文字数 3,971文字
「お待たせ、ローラ。全く……本当に毎回飽きないわね」
「言わないで。自分で嫌になるから。でも、駆けつけてくれて本当にありがとう」
「いいのよ。あなたの為ならいつでも駆けつけるわ。まして事が怪物絡みなら尚更ね」
ミラーカは刀を構え直して、油断なく『子供』達を見据える。『子供』達はミラーカを警戒してすぐには襲ってこない。一瞬の間隙が生まれていた。
「ミラーカ……私からも礼を言わせて。本当に、ありがとう……」
連れ去られる寸前だったクレアも、まだ青い顔のままミラーカに礼を言った。ミラーカは気にしないで、という風に肩を竦める。ジョンとニックも近付いてきた。
「お、おお……ま、まさか……まさか、君、いや、あなたは……!?」
ニックが信じられない物を見るような目と口調で語りかけてくる。ミラーカが戸惑う。
「ローラ? 彼は……?」
「あ、ああー……FBIの捜査官よ。クレアの新しい相棒」
ローラの声にニックはハッとしたように正気を取り戻す。
「おお、こんな場で失礼。ニコラス・ジュリアーニです。以後お見知りおきを、マドモアゼル。本来ならすぐにでもお話をさせて頂きたい所ですが、今はこの状況を脱する方が先ですな」
気障な台詞で一礼したかと思うと、意外とまともな事を言うニック。
「そのよう……ねっ!」
言ってる傍から『子供』達再びが襲い掛かってきた。その目は怒りに燃えており、自分達を傷つけたミラーカを完全にターゲットにしている。
「下がっていて!」
それを見て取ったミラーカが、敵をローラ達から引き離す為に敢えて自分から前に突っ込む。『子供』の1体が翼を大きく広げて多数の『刃』を放ってくる。
「ふっ!」
ローラ達ではその一つを目で追うのがやっとの無数の『刃』を、ミラーカは全て刀で正確に弾く。その間にもう1体の『子供』が肉薄してくる。両腕のカギ爪で挟み込むように攻撃してくるが、ミラーカは素早い身のこなしで躱す。そしてカウンター気味に刀を振り下ろし、『子供』の胴体を袈裟斬りにする。
銃弾も通さない羽毛が裂けて、血がパッと噴き出す。
ギィェェェッ!!
怒り狂った『子供』は翼をはためかせて加速すると今度は両足のカギ爪を前に向けて、ドロップキックのような要領で身体ごと突進してきた。ミラーカは……躱さない!
刀を構えたままそれを待ち受ける。ミラーカと『子供』、二つの身体が交錯する。そして……
ギェッ!! ゲゲェッ!
『子供』は自らの突進の勢いも合わさって、ミラーカの刀によって頭頂から股間までを一刀両断にされた! 奇怪な断末魔と共に大量の血を噴き出し息絶える『子供』。
「おお、1体倒した! 素晴らしい!」
「久しぶりに見たが……やっぱりとんでもないな……」
少年のようにはしゃぐニックの横では、ジョンが驚きとも呆れとも付かないような溜息を吐いている。
「待って、ジュリアーニ。あなたミラーカの強さに驚いていないわね。どういう事? 彼女の事を知っているの?」
クレアが疑問符を浮かべる。確かにそれはローラも気になった。今の反応を見る限りはクレアから聞いたという訳でもなさそうだ。ニックが肩を竦める。
「僕がこのLAに来た理由の一つがまさに彼女なんだよ。人外の事件が頻発する背景に興味を持った僕は、事前に探偵を使って独自に調査していたのさ。それでギブソン刑事と彼女を助ける謎の黒髪の女性の存在に行き着いたって訳さ。まあその正体も既に見当は付いているけどね」
ニックが話している間にも戦いは続いていた。形勢の不利を悟ったもう1体の『子供』は、翼を大きくはためかせて一気に空に飛び上がる。銃が碌に効かない化け物に空に逃げられると非常に厄介だ。空中から『刃』で一方的に攻撃される事になる。
遠距離攻撃の手段を持たないミラーカが取った戦法は……
「おぉ……あ、あれは……!」
ニックの興奮した声。ミラーカの背中から一対の白い皮膜翼が生える。同時に黒髪が逆立ち、目が赤く光り怪物じみた姿になる。第二世代吸血鬼の戦闘形態だ。
ミラーカもその翼をはためかせて一気に空に舞い上がる。まさか自分達のフィールドに踏み込まれるとは思っていなかったらしい『子供』は激しく動揺し、慌てて『刃』を飛ばしてくる。
だがミラーカは鳥人間顔負けの華麗な空中機動で『刃』を躱すと、その勢いのまま『子供』に肉薄。カギ爪を振るってくるのに構わず、その腕ごと首を一刀のもとに切断した。
両断された首と胴体が地に墜ちる。それを見届けてからミラーカも着地して変身を解いた。刀の血糊を拭い、大きく息を吐く。そこにローラ達が駆け寄ってきた。
「ミラーカッ! 怪我はない!?」
「ええ、大丈夫よ、ローラ。しかし思ってたよりも更に大事になっているようね……」
周囲の公園内では未だに銃撃や怒号、そして『子供』達の奇怪な叫び声が轟いている。幸い、というか何というかミラーカが変身したのを見ていた余裕のある者はいないようだ。
出来れば加勢したいが、今のローラ達が加わった所で出来る事は限られている。下手をすると余計に邪魔になってしまう可能性すらある。ミラーカの力も余り大っぴらに振るう訳にも行かない。どうしたものか考えあぐねていると、ニックが近寄ってきた。
「向こうの事は向こうで対処させよう。そこまでは僕等の受け持った範囲じゃない。むしろ流れ弾に当たらないように、余り近付かない方が賢明だよ。それよりも……」
ニックはミラーカに視線を向ける。
「こうして本人 にお会いできて感無量だよ。あなたがミラーカ・スピエルドルフ……。いや、本当の名はワラキア公国の名門・シルヴェストリー家の令嬢、カーミラ・シルヴェストリー、で間違いないね?」
「……ッ!?」
ミラーカがギョッとしたように硬直してニックを凝視する。
「あなた……何故その名を……?」
「かの有名なワラキアの『串刺し公』ヴラド3世の愛妾の1人……。同じく寵愛を受けていたシルヴィア・エミネスク、アンジェリーナ・コドレアヌと共にワラキアを恐怖に陥れ、民からは【ゴーゴンの三姉妹】などと仇名され恐れられた――」
ニックが言い終わるよりも前に、その喉にミラーカの手が掛かっていた。ローラが止める間もない程の早業だった。クレアとジョンは呆気に取られている。
「あなた、一体何者? 何故そんな事情を知っているの? その情報をどうする気?」
「ミ、ミラーカ……!?」
ミラーカが牙をむき出しにして威嚇しながらニックの喉を締め上げると、彼は苦し気に呻いた。ローラが慌てて制止しようとするが、ミラーカの手は緩まない。
「ぐ……どうも……しないさ。僕のルーツが……ワラキアにあるって言ったら……驚くかい……?」
「……!?」
その言葉に動揺し手を放すミラーカ。ニックは激しく咳き込みながら喉を押さえる。
「ワラキアに……ルーツですって?」
「ああ……僕の祖先はワラキアの一般の民だったのさ……。恐らくあなた達に恐怖で支配されていた頃のね……」
「……ッ!」
ミラーカが口元を手で押さえ、只でさえ血の気のないその顔を更に青ざめさせる。
「おっと、勘違いしないで欲しいんだけど、別に遠い祖先の事で恨んでなんかいないさ。ただ僕が君に興味を抱いて調べていた理由は解って貰えただろ?」
「…………」
ミラーカからは既に闘気は消えていた。ニックが服をはたきながら立ち上がる。
「今はただ純粋にあなたや、そしてこの街に群がる人外の怪物、それらを呼び寄せている要因。それらの謎を解明しようとしている一捜査官に過ぎないさ。今後も何かと関わるかも知れないけど、一つ宜しく頼むよ?」
ニックはそう笑って手を差し出す。恨んでいないという言葉に嘘は無さそうだ。
「ミラーカ……」
「ふぅ……解ったわ。手荒な事をして悪かったわ、ミスタージュリアーニ。でもいきなりあんな事を言い出したあなたも悪いのよ?」
ミラーカも手を差し出し、ニックと握手をする。
「解ってるさ。だから別に何も文句は言ってないだろう? こちらこそ過去をほじくり返して済まなかった、ミラーカ 」
どうにか場が収まってローラはホッとする。因みにミラーカの本名や家名などは以前に聞いたことがあったが、初耳の情報もあった。
「【ゴーゴンの三姉妹】ですって? 本当にそんな風に呼ばれてたの?」
ミラーカが少し情けなさそうな表情になる。
「ええ……それは、本当よ……。あの頃の私は議論の余地なく、シルヴィア達と全く同じただの邪悪な怪物だった。ワラキアの民にも本当に酷い事を……」
「それはヴラドの影響であって、あなた本来の性格じゃなかった。そうでしょう? それにあなたはもう充分に償いを果たしてきた。そうでしょう?」
「ロ、ローラ……。ええ、そうね……ありがとう。そう言って貰えると嬉しいわ」
ミラーカが変わったのはとある人物に出会ったお陰だ。もしその人物と出会っていたのがシルヴィアやアンジェリーナであったら?
今ローラの横にいたのは彼女らのどちらかで、ミラーカはカーミラという名の只の敵としてローラの前に現れ、あの地下駐車場か霊園で死んでいた可能性もある訳だ。
そう考えると運命という物の不可思議さ、そして儚さを実感できた。だが既に起こった確定した運命が変わる事は無い。ミラーカはそうした過去の積み重ねの結果、今こうしてローラの横にいるのだ。たらればに意味は無い。
「言わないで。自分で嫌になるから。でも、駆けつけてくれて本当にありがとう」
「いいのよ。あなたの為ならいつでも駆けつけるわ。まして事が怪物絡みなら尚更ね」
ミラーカは刀を構え直して、油断なく『子供』達を見据える。『子供』達はミラーカを警戒してすぐには襲ってこない。一瞬の間隙が生まれていた。
「ミラーカ……私からも礼を言わせて。本当に、ありがとう……」
連れ去られる寸前だったクレアも、まだ青い顔のままミラーカに礼を言った。ミラーカは気にしないで、という風に肩を竦める。ジョンとニックも近付いてきた。
「お、おお……ま、まさか……まさか、君、いや、あなたは……!?」
ニックが信じられない物を見るような目と口調で語りかけてくる。ミラーカが戸惑う。
「ローラ? 彼は……?」
「あ、ああー……FBIの捜査官よ。クレアの新しい相棒」
ローラの声にニックはハッとしたように正気を取り戻す。
「おお、こんな場で失礼。ニコラス・ジュリアーニです。以後お見知りおきを、マドモアゼル。本来ならすぐにでもお話をさせて頂きたい所ですが、今はこの状況を脱する方が先ですな」
気障な台詞で一礼したかと思うと、意外とまともな事を言うニック。
「そのよう……ねっ!」
言ってる傍から『子供』達再びが襲い掛かってきた。その目は怒りに燃えており、自分達を傷つけたミラーカを完全にターゲットにしている。
「下がっていて!」
それを見て取ったミラーカが、敵をローラ達から引き離す為に敢えて自分から前に突っ込む。『子供』の1体が翼を大きく広げて多数の『刃』を放ってくる。
「ふっ!」
ローラ達ではその一つを目で追うのがやっとの無数の『刃』を、ミラーカは全て刀で正確に弾く。その間にもう1体の『子供』が肉薄してくる。両腕のカギ爪で挟み込むように攻撃してくるが、ミラーカは素早い身のこなしで躱す。そしてカウンター気味に刀を振り下ろし、『子供』の胴体を袈裟斬りにする。
銃弾も通さない羽毛が裂けて、血がパッと噴き出す。
ギィェェェッ!!
怒り狂った『子供』は翼をはためかせて加速すると今度は両足のカギ爪を前に向けて、ドロップキックのような要領で身体ごと突進してきた。ミラーカは……躱さない!
刀を構えたままそれを待ち受ける。ミラーカと『子供』、二つの身体が交錯する。そして……
ギェッ!! ゲゲェッ!
『子供』は自らの突進の勢いも合わさって、ミラーカの刀によって頭頂から股間までを一刀両断にされた! 奇怪な断末魔と共に大量の血を噴き出し息絶える『子供』。
「おお、1体倒した! 素晴らしい!」
「久しぶりに見たが……やっぱりとんでもないな……」
少年のようにはしゃぐニックの横では、ジョンが驚きとも呆れとも付かないような溜息を吐いている。
「待って、ジュリアーニ。あなたミラーカの強さに驚いていないわね。どういう事? 彼女の事を知っているの?」
クレアが疑問符を浮かべる。確かにそれはローラも気になった。今の反応を見る限りはクレアから聞いたという訳でもなさそうだ。ニックが肩を竦める。
「僕がこのLAに来た理由の一つがまさに彼女なんだよ。人外の事件が頻発する背景に興味を持った僕は、事前に探偵を使って独自に調査していたのさ。それでギブソン刑事と彼女を助ける謎の黒髪の女性の存在に行き着いたって訳さ。まあその正体も既に見当は付いているけどね」
ニックが話している間にも戦いは続いていた。形勢の不利を悟ったもう1体の『子供』は、翼を大きくはためかせて一気に空に飛び上がる。銃が碌に効かない化け物に空に逃げられると非常に厄介だ。空中から『刃』で一方的に攻撃される事になる。
遠距離攻撃の手段を持たないミラーカが取った戦法は……
「おぉ……あ、あれは……!」
ニックの興奮した声。ミラーカの背中から一対の白い皮膜翼が生える。同時に黒髪が逆立ち、目が赤く光り怪物じみた姿になる。第二世代吸血鬼の戦闘形態だ。
ミラーカもその翼をはためかせて一気に空に舞い上がる。まさか自分達のフィールドに踏み込まれるとは思っていなかったらしい『子供』は激しく動揺し、慌てて『刃』を飛ばしてくる。
だがミラーカは鳥人間顔負けの華麗な空中機動で『刃』を躱すと、その勢いのまま『子供』に肉薄。カギ爪を振るってくるのに構わず、その腕ごと首を一刀のもとに切断した。
両断された首と胴体が地に墜ちる。それを見届けてからミラーカも着地して変身を解いた。刀の血糊を拭い、大きく息を吐く。そこにローラ達が駆け寄ってきた。
「ミラーカッ! 怪我はない!?」
「ええ、大丈夫よ、ローラ。しかし思ってたよりも更に大事になっているようね……」
周囲の公園内では未だに銃撃や怒号、そして『子供』達の奇怪な叫び声が轟いている。幸い、というか何というかミラーカが変身したのを見ていた余裕のある者はいないようだ。
出来れば加勢したいが、今のローラ達が加わった所で出来る事は限られている。下手をすると余計に邪魔になってしまう可能性すらある。ミラーカの力も余り大っぴらに振るう訳にも行かない。どうしたものか考えあぐねていると、ニックが近寄ってきた。
「向こうの事は向こうで対処させよう。そこまでは僕等の受け持った範囲じゃない。むしろ流れ弾に当たらないように、余り近付かない方が賢明だよ。それよりも……」
ニックはミラーカに視線を向ける。
「こうして
「……ッ!?」
ミラーカがギョッとしたように硬直してニックを凝視する。
「あなた……何故その名を……?」
「かの有名なワラキアの『串刺し公』ヴラド3世の愛妾の1人……。同じく寵愛を受けていたシルヴィア・エミネスク、アンジェリーナ・コドレアヌと共にワラキアを恐怖に陥れ、民からは【ゴーゴンの三姉妹】などと仇名され恐れられた――」
ニックが言い終わるよりも前に、その喉にミラーカの手が掛かっていた。ローラが止める間もない程の早業だった。クレアとジョンは呆気に取られている。
「あなた、一体何者? 何故そんな事情を知っているの? その情報をどうする気?」
「ミ、ミラーカ……!?」
ミラーカが牙をむき出しにして威嚇しながらニックの喉を締め上げると、彼は苦し気に呻いた。ローラが慌てて制止しようとするが、ミラーカの手は緩まない。
「ぐ……どうも……しないさ。僕のルーツが……ワラキアにあるって言ったら……驚くかい……?」
「……!?」
その言葉に動揺し手を放すミラーカ。ニックは激しく咳き込みながら喉を押さえる。
「ワラキアに……ルーツですって?」
「ああ……僕の祖先はワラキアの一般の民だったのさ……。恐らくあなた達に恐怖で支配されていた頃のね……」
「……ッ!」
ミラーカが口元を手で押さえ、只でさえ血の気のないその顔を更に青ざめさせる。
「おっと、勘違いしないで欲しいんだけど、別に遠い祖先の事で恨んでなんかいないさ。ただ僕が君に興味を抱いて調べていた理由は解って貰えただろ?」
「…………」
ミラーカからは既に闘気は消えていた。ニックが服をはたきながら立ち上がる。
「今はただ純粋にあなたや、そしてこの街に群がる人外の怪物、それらを呼び寄せている要因。それらの謎を解明しようとしている一捜査官に過ぎないさ。今後も何かと関わるかも知れないけど、一つ宜しく頼むよ?」
ニックはそう笑って手を差し出す。恨んでいないという言葉に嘘は無さそうだ。
「ミラーカ……」
「ふぅ……解ったわ。手荒な事をして悪かったわ、ミスタージュリアーニ。でもいきなりあんな事を言い出したあなたも悪いのよ?」
ミラーカも手を差し出し、ニックと握手をする。
「解ってるさ。だから別に何も文句は言ってないだろう? こちらこそ過去をほじくり返して済まなかった、
どうにか場が収まってローラはホッとする。因みにミラーカの本名や家名などは以前に聞いたことがあったが、初耳の情報もあった。
「【ゴーゴンの三姉妹】ですって? 本当にそんな風に呼ばれてたの?」
ミラーカが少し情けなさそうな表情になる。
「ええ……それは、本当よ……。あの頃の私は議論の余地なく、シルヴィア達と全く同じただの邪悪な怪物だった。ワラキアの民にも本当に酷い事を……」
「それはヴラドの影響であって、あなた本来の性格じゃなかった。そうでしょう? それにあなたはもう充分に償いを果たしてきた。そうでしょう?」
「ロ、ローラ……。ええ、そうね……ありがとう。そう言って貰えると嬉しいわ」
ミラーカが変わったのはとある人物に出会ったお陰だ。もしその人物と出会っていたのがシルヴィアやアンジェリーナであったら?
今ローラの横にいたのは彼女らのどちらかで、ミラーカはカーミラという名の只の敵としてローラの前に現れ、あの地下駐車場か霊園で死んでいた可能性もある訳だ。
そう考えると運命という物の不可思議さ、そして儚さを実感できた。だが既に起こった確定した運命が変わる事は無い。ミラーカはそうした過去の積み重ねの結果、今こうしてローラの横にいるのだ。たらればに意味は無い。