無知の知 〜無知を自覚する事は難しいんだ〜

文字数 1,182文字

真面目に答えないなら帰っていただけますか?
それがお望みならば、是非……
面接官としてのプライドがズタズタになる。

そう、「やる気が無いなら帰れ!」と言って、
本当に生徒に帰られてしまった新人教師の様に……。
さっ、最後に言わせてやるよ! お前、何が目的なんだ?
いい年こいて、こんな事している場合じゃ無いだろう?
あなたと面接(バトリング)して、腕試しする事、でしょうかね。
ま、結果は残念なものになりましたが。
「バトリング? 何だそれは? ふざけてるのか!?
花尾。
自分の空間(スタンダード)に持ち込む。
偶然では無い、蓋然であった。

伊達に数百以上の「お祈りメール」をもらってはいない。


※お祈りメール:企業が採用を見送る事。
       「●●様のご成功をお祈りしています」という文面が多い。
多くを知らぬ者、多くを語る事無かれ。
炸裂する。

『誰も知らない創作ことわざ(タイニー・ワード)』

誰も知らない、あたかもそれがあるかの様なことわざを放つ論理話術(アーム・ロジカ)。
無知な自分がいるような錯覚を与える場合がある。
なっ、なんだと……!?
多くを知らない者はお前だろう?
では、御社……失礼しました。この会社は1日にどれほどのシステムを作っていますか?
その過程を含めてお答えください?
お前、立場分かってるのか?
こっちは面接してやって……
(違う、こいつはハナから合格するつもりはない……)
面接などする気もないですね。
私がしたいのは単純なバトリングなんですよ?

さぁ、お答えください。
追撃する。

『自己矛盾への言及(ピック・ザ・パラドクス)』

この刹那、花尾は2つの『自己矛盾への言及(ピック・ザ・パラドクス)』を放っていた。

一つは「システムを作ってるかどうか知らないだろう? 推測もできまい?」
一つは「俺は面接なんて受ける気がないと、すでに知っているだろう?」

自分で言った言葉に縛られるのが意味するのは。
………………………………。
そう。

沈黙のみ。
面接官さん、あんたを監査するのは上司だけじゃないんだぜ?
バトラーはどこにもいる。覚えておくんだな。
あ……あがっ……。
面接終了(ロジカ・エンド)

部屋を去る花尾。

その背中を見つめる面接官。

勝敗はすでに付いていたのだ。
(俺は採用(勝ち)なんか興味ねえんだよ。
 俺にとっての採用は不採用を意味するんだ)
時間に余裕があるニート、いやバトリストは強い。
採用などにはこだわっていないから。

持つものがないバトリストは強い。
最悪、暴れられたら会社側が困るから。

守るべきものがない者は強い。
特攻(スーサイド・ロジカ)が使えるから。

失われたものは多いようで少ない。
普通に他の人を面接すれば良いのだから。

バトリストは、跡を濁さない。


                        第1章 エンド・ロジカ
                        第2章へつづく・ロジカ
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登場人物紹介

花尾武(はなおたけし)  

中学中退。夢は最強の面接バトリスト。
合計1350社から不採用になっている。
現在32歳、独身、彼女いない歴は主観で40年以上(見込み)。

面接官より年上のこともしばしばある。
その人に敬語使うかどうかで微妙な空間ができあがる。

第一話 IT企業編に出てくるITベンダー『MPC』の人事部長。

初めて面接バトリストと遭遇して、困惑する。
面接時は怖いけど、家に帰ると二人の娘の良いお父さん。

趣味はネット大喜利(本編には関係ありません)。

第二話 事務編に出てくる『株式会社テイワ設計』の人事部社員。

爽やかな顔を見せるのは、社内の女性を意識するため。
そのハンサムフェイスは面接バトリストによって崩される?

好きな麻雀の役は大三元四暗刻(本編には関係ありません)。
積み込みも得意で燕返しができる(本編には関係ありません)。
週末は趣味の古そうな石を集めているか、雀荘にいる(本編には関係ありません)。

第3話 書店編に出てくる『大和田書店』のキレる系面接官。

面接(バトリング)で花尾を封殺する事が出来るのか?

お見合いサイト18サイトに登録しているその道のプロ(本編には関係ありません)。
特技は国旗を見て大体の国を言える事(本編には関係ありません)。
女子プロとJ2に詳しい(本編には関係ありません)。
ちょっと偏った思想の持ち主でもある(本編に関係あります)。

二宮桃子

第三話でちょっとだけ出るうら若き乙女。
臭味は読書と履歴書には書いてあるものの・・・。

ラインの既読無視には物理的に仕返しをするタイプ(本編には関係ありません)。
ポッケに必ずチョコが入っている(本編には関係ありません)。
「来週までには」が口癖(本編には関係ありません)。

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