一年目 七月下旬 社会学者・笠原隆太郎

文字数 357文字

「君達、何て真似をしたか判ってるのか?」
 Unknown調査委員会の担当官僚が、調査委員会のメンバーの1人である笠原隆太郎の居場所を突き止めたのは……笠原が失踪してから一週間以上経ってからだった。
「い……いえ……あの……我々は上からの命令通りに……」
「うるさい。先生は無事なんだろうな?」
「先生では有りません。容疑者です」
「うるさい」
 その官僚は、自分を()()()に案内している()()の警官を怒鳴り付けた。
 そして……留置所の一室のドアを開け……。
「先生……」
「……」
「先生……」
「……」
「あの……先生?」
「……」
「お……お前ら……先生に何をした?」
「何をと言われましても……取調べですが……?」
 笠原の目は開いていたが焦点は合っておらず、目からは涙を、鼻からは鼻水を、口からは涎を、股間からは小便を垂れ流し続けていた。
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