夕暮れ

文字数 310文字

痺れる
ほど
赤く
照らされた
案山子が
お風呂
上がりの
ふやけた
指で
カレンダーを
めくる
そのとき
ようやく
思い出した
あなたの
命日

それでも
私は
透き通った
青空の
ように
薄く
儚い
今にも
消えいり
そうな
表情で
めくるしか
ないのだろうか
あなたの




(読書灯が夜をさまよって)

未来の私は、未来から来たという私
で、私はいつか
その未来へ行くはずだ。その青空の
向こう側の流れ去った部屋に
残る、精神科の
待合室の匂いが残雪を想像させ
 る。
きっと、私は恐れている
のだ、新しい景色を見たいと
希望に怯えていた、もうこの世にいない

自殺した夕暮れを。

いま、
このときだけでも
止まったままの茜色の空
に、涙で埋まる水田に、
また
いつか
あなたを
めくる日が
やってくるのでしょうか。
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