第1話

文字数 2,006文字

人生は一瞬である。地球上で鼻くそほじってる間に人の命は数える程度は消えている。地球の全ての命を見ているほど神様は暇ではないのだ。地球にいる人間を動物園のケモノのように扱っているのかと、人間より高等な生物がいるように思えて少年は、はじめて飼っている犬のジョンの立場に立っている。ジョンは、右手に持つドッグフードを上にあげると犬のように卑屈な唸り声を出した。当然だ、犬なんだから。身の丈は誰が決めたわけではない。出来ることは最初から、言うなら生まれたときから決まっている。でも人間は本能でそれに気づかないことが出来る。この犬は自分の身の丈を知ることはできない。それは人間の決めた身の丈だからだ。出る杭は打たれる。こいつは噛み付けば餌はもらえないことを知っているから何も吠えない。少年にとって宗教とはそんな、くだらない監視者のルールとしか思わない。失礼承知で言うが、災害も当事者しかその辛さが伝わることはない。目を背けたくなることはみんな覚えてくれないし、知ったかぶりの人間が増えるだけだ。そのように、少年には伝えることの大切さが抜けている。
当然だ。
人間はわざわざ死ぬ人のことを考えてこなかった。当時は犯罪も加害者側に立つのが普通だった。問題をおこすのは加害者だからだ。時代は変わり、今は道徳の知らない親が道徳を語る。一生かけて伝えるはずの心を少年は曲がった社会と膨大な意味のあるかわからない情報で、大切なものを取られた気がしていた。友達も、猫を被り、いい顔ばかり浮かべて、道理を知ったかぶりして、その裏をつく。要するに話しをうやむやにしてくるのだ。その話を親は贅沢な悩みとしか思わず、祖父母は同じことしか言わない。
ジョンは餌に飛びつき、メソメソしている少年を怒鳴った。
「犬は犬じゃないワン。」
突然ジョンが喋りだした。
「ワンワン星では犬のことをワンワンというワン。」
母は腹話術で時々こうして少年とジョンをだしにして遊んでくる。
「マジおもんねえし。」
そう頭を抱えて騙されたことに苛立っていると母がイチゴ牛乳を一人で飲んだことに腹を立て、「買いに行ってくるワン」とジョンの散歩ついでにコンビニに向かった。
しばらくして庭の手入れをしているところにジョンが血まみれになって吠えて少年に飛びついた。その時、地面が揺れた気がした。
「ジョン!どうした?母さんは?」
ジョンがこっちに来るように服を口で引っ張ってくるので、母に何かあったことを悟った。
時はスローモーション。そこには赤いペンキをぶっかけられた母の泣き顔があった。
「ごめんなさい。服弁償しますんで。」
塗装屋のオッチャンが顔を真っ赤ににして、本当に赤い母に謝っている。
「もう最悪だワン!」
その中の真っ赤な塗料まみれの呼吸できない草花(雑草)をみて思った。
「かわいそうに---草も生きてるのに。」
母はなにを言っているか分からず、ジッと見つめいる眼前の草を踏んで怒っている。
その時警報が町中に響いた。
「地震ですかね。この塗料も地震のせいですから」
オッチャンの感があたったが少年は地面が揺れて時にはジョンが塗料まみれになっていたことを思い出す。
「母さん。この人地震のせいにしてるよ。」
「------」
少年は母の焦りを目にした。
「それどころじゃない!」
母は津波を知っているのだろうか?慌てて家に戻る。

「ゲキレツ戦隊ガーレンジャーの浩史様の勇姿を見る時間だわん!」
ジョンは賢い、母のテレビを見ながらお菓子を食う趣味のそのお菓子のおこぼれを貰いたくて少年を差し向けたのだ。
「ジョン。母さんまず風呂に入れよ。」

「ワンワンはお前に任せるワン。」

母はマンガ走りで帰っていく。
地震は震度1だった。
「誰が地震のせいだ!全く人騒がせな。」
オッチャンが頷く。
「お前のことじゃ!オッチャン!」
オッチャンは「仕事仕事」と呟き子供の俺を無視して仕事場に戻る。

俺も宿題しないとな-------------

さっきのサイレンなんだったんだろう。
頭に真っ赤な踏まれた雑草がよぎる。どしん!どしん!と何かの音が耳をよぎる。
「ゴ●ラだーーーーーっ!」
そう音が窓が開けっ放しの家からテレビの音が聞こえた。
「やかましい---」
ぼくはその日いやーな夢を見た。
ジョンが血だらけで母さんのところへ案内し、母さんが死んでいて、津波のせいで母さんは消え、あげくゴ●ラに踏まれ日本がめちゃくちゃになる夢----------そして寝言で母にこう言った。
「母さん---------------ワンワン星ってどこ?」
母はクスクス笑って「あなたの頭の中よ」と返した-------------------------
でももし、それが一つでも夢じゃなく。現実にあるものだとしたらあなたは許せますか?それはニュースをみてよーく考えてみましょう。
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